2011年5月24日火曜日

原発事故は単なる失敗?:事故調査委員長の人選

 復興構造会議の委員長に財務省との繋がりが大きい五百旗頭氏を選び、第1回の会議から早々予算、増税の話題が提示されたのと同様に、事故調査委員長の人選も、恐らく政府にとって都合のよい人材をトップに据えるに違いないことは容易に推察されることであったが、委員長は失敗学でおなじみの畑村氏になったという。

原子力工学の専門家で、原子力村の汚染を受けていない志の高い研究者が我が国にもいるにもかかわらず、あえて畑違いの機械工学の専門家を原発の事故調査委員長に据えたのだろうか。

心臓手術の事故調査をするのに、皮膚科の医師を委員長に据えるようなものである。

あえて失敗学の専門家を委員長に据えるということから見えてくるのは、政府側が福島原発の事象を、単なるひとつの不幸な事故、人であれば誰でもがおかすであろう過ちや失敗としての側面からとらえるという枠組みを委員会の中に作ることで、この事象の大きな組織犯罪としての側面を覆い隠してしまいたいと考えているのではないかということである。

ちなみに私は、福島第一での事象は、事故ではないと思う。

事故とは「予期せずに人や物などに損傷や損害を及ぼす出来事のことであり」、福島原発の事象ということも、決して予期できないものではなかったからである。

(原発では、過去に何度も深刻なトラブルが起きていたにもかかわらず、それに対する抜本的な対策が何も講じられず、改善策が講じられなければ、さらなるトラブルが生じる可能性があること、耐久年数が来ればその危険性が刻一刻と高まることは、馬鹿でない限り十分に認識していたはずであること、大型地震や津波が来たら持ちこたえられないことも、全電源喪失から回復できなければ炉心溶融は免れないことも、どんな状況で電源が喪失するかも、中学か高校レベルの理科を学んだことがある人間であれば、わからなかったというはずはないからである)。

もし都心の東電本店の真横に原発が設置されていて、そこでこの事件が起きたのであれば、まだ「電力会社は原発を安全だと信じ込んでいた。誰しも危険であることに目を向けたくないから、彼らも危険であることに目を向けようとしなかっただけである」と言えるかもしれない。

しかし、そうではない。明らかに危険なものであるという認識があったからこそ、東京都の中には建設せず、あえて人里はなれた場所に設置し、安全であると言って地域住民を洗脳し続けたのだからーー。

せめて地域住民を対象にこういう緊急事態が起きたときに、彼らが避難時に何をすべきかという安全講習ぐらいは定期的に行い、簡単なマニュアルぐらいは当然配布しておくべきであった。

ところが、それさえもなされていなかったのだから全くひどいものである。私が一番呆れ返ったのは、10キロ圏内から避難民が屋外避難をしている状況が、テレビ画面に写し出されたときに(今にして思えば、あの地域一帯に高濃度の放射能物質が飛散していたわけであるが)、住民の中で、マスク、手袋、帽子(フード)の少なくともこの3点セットで最低限身を守っている人がほとんど誰もいなかった点である(風邪でマスクをしている高齢者の姿や、寒い時期であったせいか帽子をかぶっている人はちらほら見られたけれども、赤ちゃんや子供は外出用に厚着をさせているだけで、ほとんど何も防御が施されていなかった)。

福島の事件は決して「失敗」などという次元で片付けられるような事象ではない。

事故後の対応に関しても、周知のとおり、政府、官邸、東電はいずれも責任の所在を明らかにせず、都合の悪いデータの隠蔽を繰り返し、人々の健康や暮らし、財産や生産活動に甚大な損害や損傷を与えるような事象を引き起こしているにもかかわらず、未だ消費者や周辺住民に当然提供すべき正しい情報開示を意図的に行っていないのであるから、これは、むしろ検察庁が早急かつ集中的に捜査を行う必要がある案件ではないのだろうかとさえ、思えるのである。

もう一点、畑村氏が調査委員長に委嘱された理由は、以下の氏への「原発事故考」というMSN・産経ニュースに記載されているインタビューの内容を見れば明らかであろう。畑村氏は、「悪いのは東電ではなく日本企業文化である」とし、「人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ」との考えからも明らかなように、未曾有な原発事故を引き起こしまだ収束のめどさえつかない技術力でありながら、「他の代替エネルギーとともにこれからも原発を推進していく」などと世界に言い放って、憚らない政府や東電にとっては、誠に都合のよい人物なのである。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110421/dst11042103130002-n1.htm

もちろん他の電力会社をはじめ、日本企業が、今回の原発災害を他山の石としなければならないことは言うまでもない。しかし、今回のこの事件は、単なる日本企業文化論で片づけられるような事象だろうか。

原発災害は、氏がこれまで手がけてきたような回転ドアの事故や交通事故とはその規模も、災害が世代を超えて人や環境に及ぼす期間も全く次元が異なる。原発による今回のような未曾有な大災害は、失敗を繰り返して推進すればいいものではなく、二度と引き起こされてはならないのである。

この原発災害から我々が学ぶことがあるとすれば、日本のような地震や津波の被害を受けやすい、国土の狭い国が、国土が広いアメリカや岩盤のしっかりしたフランス並に原発を持つということが、どれほどリスキーで馬鹿げているか、そして貪欲なごく一握りの人間の利権を守るために、どれだけ多くの人間が今も、そしてこれから何十年にもわたって大きな不安にさらされ、かつ多大なつけを支払わされ、被害や迷惑を被らなければならないかということである。

せめて調査委員には国民の目から見て、この人物ならば政府にも、役所にも、電力・電力関連会社にもなびかず、原子力工学・法律・放射線安全学などの専門性を持ち、公正な目で事故原因や経過を吟味・検証できると思えるような信頼できる専門家を多数委嘱しない限り、事故調査委員会は、名ばかりのものとなることは自明であろう。















【話の肖像画】

原発事故考(下)失敗学会理事長・畑村洋太郎

2011.4.21 03:11
 ■企業文化が生んだ組織災害
 --想定外を失敗学の視点から捉えるとどうなりますか
 畑村 (繰り返すけど)起こると困ることは考えようとしない。(考えないから)それが想定外になる。
 --そうすると、災害対策における重要なことは
 畑村 (1)自分の目で見る(2)自分で考える(3)自分で決める(4)自分で行動する。この4つが重要で、第三者が決めたことに従って失敗すると、「自分は悪くない」と言い訳をする。
 --それを東日本大震災の大津波のケースに当てはめると
 畑村 三陸海岸では小学校で津波に対する教育や訓練を日ごろから実施していた。しかし、あらかじめ町や村が決めた避難所に逃げたのに津波にのみ込まれてしまった惨事がある一方で、決められた避難所よりもっと高い場所に逃げないと危険だと自分たちで早く判断して逃げて助かった小学校もあった。
 --自分たちで判断するか、判断しないかが明暗を分けたわけですね
 畑村 はい。人間は想定だけでは生きられない。現実を見て判断することが大切だ。
  《ウラン燃料が発する崩壊熱を下げるため、原子炉圧力容器や燃料貯蔵プールへの注水作業は続けなければならない。だが、核分裂生成物がこの水に入り込んで放射能汚染が拡大する悪循環が起きている》
 --この悪循環を断ち切るには
 畑村 すでに悪循環を断ち切るための時間を失してしまった。東京電力にも政府にも時間のあるうちに考える人がいなかった。放射能汚染が広がる前に配管をつなげて新たな冷却システムを取り付ければよかったのだが、もう別のことを検討しなければならない。
 --どうして早くそれができなかったのですか
 畑村 東電が悪いというわけではないが、日本的企業の体質がそこにあると思う。国の基準を守っているから問題ないという東電の考え方は、緊急事態では機能しない。他者に下駄(げた)を預けるような企業文化がそうした考えを生む。今回の原発事故は起こるべくして起きた組織事故、いやもっと大きいから組織災害といった方がいいだろう。
 --今後、日本は原発とどう付き合っていけばいいのですか
 畑村 人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ。(論説委員 木村良一)

2011年5月23日月曜日

公務員給料カットや増税の前にまずやるべきこと!:復興・福祉・年金財源はどこから?

 政府がどんなに努力をしても、どうしても復興財源がないというのならば、あるいは年金・福祉政策を破綻させないために、国民は「消費税の増税もやむなし」と思うに違いない。

しかし新しい政権は事業仕分け、再仕分けの対象となったはずの8~9割の無駄な事業の復活を座視するだけで、何ら対応をしてこなかった。国会議員の定数を大幅に減らすという議論については全く俎上に上がる気配すらない。

財務省が、会計方式を変えて、累積180兆円以上といわれている特別会計余剰金の取り崩しを図れば震災復興予算などなんとでもなる話である。さらに、60兆円もの米国債があるのだから、まことに逼迫しているならば、それを売却すればよい。

ところが「金がない、金がない」といいながら、日本政府は、アメリカに対して、米軍への思いやり予算を今後5年間に1兆円も拠出することをやすやすと確約している。

それどころか、この未曽有の国難の最中に、途上国援助のODA予算として5700億円以上も計上し、公共事業費として、元森総理のお膝元である北陸新幹線に1800億近い公共事業費をつぎ込もうとし、それらのつけをすべて公務員の給料カットと消費税の増税で賄おうとしているのである。

ただでさえ消費が落ち込んでいる状況下で、給料カットや消費税増税が消費をますます鈍化させることは必至である。

政府は特別会計は取り崩せないと主張しているが、国債整理基金を復興に回してもなんら支障がないことを、以下に元内閣参事官の高橋氏が明らかにしている。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110421/plt1104211621002-n1.htm


国債整理基金から10兆円を復興に回しても支障はない 財務省の言い分は間違いだ

2011.04.21
 日曜日(17日)朝のフジテレビ報道番組で、江田憲司みんなの党幹事長が、「国債整理基金の余りカネ10兆円を大震災復興のためにあてよ」と発言した。これに対して、岡田克也民主党幹事長は「国債整理基金への繰入があるから国債の信認が保たれているのでできない」と言った。

この言い分は財務省そのままだ。もちろん正しいなら問題ないが、間違った意見をそのまま鵜呑みにするのは政治家としてまずい。

まず国債整理基金の仕組みを整理しよう。国債整理基金(特別会計)は国債の償還や利払いを行うための区分整理会計である。この特別会計は、いろいろな特別会計からの繰入が多く、特別会計の間の「結節点」になっているもので複雑だが、国債の償還・利払いだけに着目すれば、構造は簡単だ。

その歳入は、借換債発行による収入、一般会計からの繰入、前年度からの剰余金で、歳出は国債の償還、利払いとなる。借換債発行によって国債の償還をするということからわかるように、満期が到来した国債はロールオーバーされている。

一般に国債発行というと、今年度予算では44兆円といわれるが、これは新規国債というもので、ロールオーバーのための借換債が110兆円発行される。このほかにも財投債14兆円が発行され、総計169兆円発行される。

新規債、借換債、財投債といっても、マーケットではまったく同じ条件なので、マーケットの人はそもそもどれを扱っているかさえもわからない。

国債整理基金の国債償還の部分は、おおざっぱに言えば、借換債110兆円、一般会計から20兆円、前年度からの剰余金10兆円が収入で、償還120兆円、利払い10兆円が支出になって、次年度への剰余金が10兆円となる。

だから、国債整理基金の収入のうち10兆円を震災復興に回しても、次年度への剰余金がなくなるだけで、国債償還には支障ない。

問題は、岡田幹事長のいうように、10兆円を回したら国債の信認が失われるかだ。このように国債整理基金を作り一般会計から一定額を繰り入れる仕組みを減債制度というが、この仕組みは日本だけのもので海外にはない。だから、この仕組みによって国債の信認を得ているという説明は海外ではまったく通用しない。

国債の信認は日本経済の実力やマクロ経済運営の巧拙などから出てくるのだ。このような奇妙な日本の仕組みを説明すると、日本はマクロ経済運営で重大なミスをしてそれを隠蔽するために、変な口実をしていると勘ぐられるのがオチだ。

民主党は、さっそく復興増税を言い出すなど財務省に完全に操られている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

2011年5月22日日曜日

原発事故調査委員会のメンバー

原発の事故調査委員会メンバーは原子力村の村民や原子力村の利権に群がっていた議員たち以外から構成すべきである。前にも書いたが、海外の専門家を招き入れることは当然だ。

ただ、海外の専門家といったときに、安易に(東電寄りの見解を示すような)IAEAのメンバーやアメリカやフランスの推進派の専門家を加えることが考えられているかもしれない。

しかし、IAEAは所詮原子力の平和利用を推進することを目的とする機関であるし、アメリカやフランスの推進派は、ヨーロッパの先進諸国が脱原発に向かい原発に逆風が吹く中、仲間を失いたくないという思惑を持っていることを熟慮した上で人選すべきである。

利益優先や関係者の庇い合いではなく、国民の安全と健康という観点からこの事象を客観的に調査してくれるであろうメンバーを中心に、ドイツの原子力安全規制行政委員会のメンバーなど、海外の専門家を加えるべきである。

事故調査委員会のメンバーとしては、

小出裕章氏ーー事故調査委員長を中心に、小佐古敏荘氏、武田邦彦氏、後藤政志氏、中村幸一郎保安院審議官に三顧の礼を持ってしてもお願いすべきであろう。国会議員をこれに加えるとすれば、河野太郎氏が適任である。

なおこれからの日本のエネルギー対策を考える新エネルギー政策検討実施委員会のメンバーとしては、

河野太郎氏、小出裕章氏、古賀茂明氏、金子勝氏、内橋克人氏を委嘱し、これらのメンバーを中心に大胆かつ斬新な新しいエネルギー政策を立案・実施してもらいたいと願うのは薔薇っ子だけだろうか。

Too big to fail ? :That is the big question

 賠償の国民負担を求める前にすべきことがいくつもある。前のブログでも書いたが、東電、特に経営陣及び原発推進に関わった管理職経験者の責任は重大であるし、会社が保養施設や社宅、ホテルなどの資産を全て売却すべきであることは言うまでもない。また、銀行もそのような企業に融資を続けた貸し手責任を取ることは当然であろう。しかしそれ以上に行うべきことは、社債権者及び株主責任を問うことである。


 「(企業)は大きければ、何をしても許される。」、「大きければ当然お目こぼしに預かれる。」「いざとなれば、波風が収まるまでテレビの前で、2,3度頭を下げておきさえすれば、後の責任は国(国民)に押し付ければそれで済むんだから」といった、とんでもない甘い目算のもとに、原発の安全神話は打ち立てられ、今度のような大きな人災を引き起こす結果を生み出したのである。


 原発を有する各電力会社が、このような事件を二度と引き起こさないためにも、上っ面だけの手ぬるいリストラ策だけで断じてお茶を濁すべきではない。


 TOPCOのような津波対策も地震対策への進言にも全く耳を貸さず、40年もたった老朽化した原発の稼働延長をさらにそのまま申請するような杜撰で企業倫理のかけらもない全く信用ならない企業の株や社債を購入して企業活動を支え、多額の配当を得てきた組織や個人が、免責されなければならない理由などはどこにも見当たらない。


騙された人たちは気の毒である。株主の中には退職金の虎の子をつぎ込んだ人もいるだろう。しかし、それはこれまで株式投資で失敗をしたすべての株主に言えることであり、TOPCOだけが例外ではないし、また断じて例外にすべきではない。


少なくとも投資家である限りは、自分が投資する会社がどんな体質の会社なのかを十分に眼を向けるべきであり、それを怠ってきた責任が今問われるのであるという一言に尽きる。


 減資は当然の措置であるし、それに加えて、賠償スキームの中には、国営化や大幅な電力改革(自由化)をも視野に入れた抜本的な対策を盛り込むべきなのではないか。

2011年5月21日土曜日

工程表の9ヶ月:福島で原発作業員を確保できるぎりぎりの限界なのか?

福島原発の作業員の内部被曝の状況は相当に深刻であるらしい。にもかかわらず、同原発で作業員の内部被曝を計測するホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、柏崎刈羽原発の3カ所のみであるという。3000人もの作業従事者がいるというのに、なんというお粗末な話だろうか。

およそ本店の上層部は、現場で働く下請けの作業従事者など、札束で頬を叩けばどうにでもなる「捨て駒」にしか思っていないのあろう。そのような体質の企業をしっかり監督し、作業員の安全・作業の保安を考え、会社に適切な指導をするのが政府の原子力関係者の責務なのでは?

多くの作業員は内部被曝の検査を受けずに県外に出て、県外の原発で被曝が判明しているようである。このままでは福島の作業員が大量に失業する可能性があると懸念されているが、ここでも不可解なのは半減期の少ないヨウ素とセシウムの数値しか示されていない点である。

先週だったか、大臣の一人が原発対応の方針の中に、外国人の雇用を増やすというようなことを匂わしたが、国内で原発作業員を確保できなくなったときには、海外から労働力を買うのだろうか。その場合、絶対にテロの危険性が伴わないような対応はしっかり考えられているのだろうか。しっかりした危機管理能力が求められる。


以下は毎日新聞jpから

内部被ばく:県外原発で働く福島出身作業員から相次ぎ発見

ホールボディーカウンターの一つ=経済産業省原子力安全・保安院のホームページから
ホールボディーカウンターの一つ=経済産業省原子力安全・保安院のホームページから
東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。大半は事故後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなどしたとみられる。周辺住民も同様に内部被ばくした可能性もあり、福島県内の一部自治体は独自に検査を検討している。【日下部聡、石川淳一、町田徳丈、袴田貴行、池田知広】

 ◇事故後立ち寄り…内部被ばく4766件

経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が16日の衆院予算委員会で明らかにしたデータによると、3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の原子力施設で、作業員から内部被ばくが見つかったケースが4956件あり、うち4766件はその作業員が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。柿沢未途議員(みんなの党)の質問に答えた。
保安院によると、体内からの放射線を測定できる機器「ホールボディーカウンター」による検査で、東電が内部被ばくの目安としている1500cpm(cpmは1分当たりに検出された放射線量を示す単位)を上回った件数を電力各社から聞き取った。1人で複数回検査を受けるケースがあるため、件数で集計した。1万cpmを超えたケースも1193件にのぼった。
いずれも福島第1原発近くに自宅があり、事故後に家族の避難などのために帰宅したり、福島第1、第2両原発から他原発に移った人たちとみられる。
柿沢氏によると、北陸電力志賀原発(石川県)で働いていた作業員は、3月13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して家族と共に郡山市に1泊して県外に出た。同23日、志賀原発で検査を受けたところ5000cpmで、待機を指示された。2日後には1500cpmを下回ったため、作業に戻ったという。
取材に応じた福島第2原発の40代の作業員男性は第1原発での水素爆発以降、自宅のある約30キロ離れたいわき市で待機していた。その後、検査を受けると2500cpmだった。「大半が(半減期の短い)ヨウ素で数値は(時間の経過で)下がると思うが、不安だ」と男性は話す。
同県二本松市には「市民から内部被ばくを心配する声が寄せられ」(市民部)、市は乳幼児や屋外作業の多い人などを選び、県外のホールボディーカウンターで内部被ばくの有無を測定することを検討している。

 ◇内部被ばく◇

呼吸や飲食などで放射性物質を体内に取り込み、体内から放射線を浴びること。体外からの外部被ばくに比べ継続的で危険が高い。体表から10万cpmを超す線量を検出すれば放射性物質を洗い落とす「除染」が必要とされるが、東電は内部被ばくの恐れがあるとする目安を、ホールボディーカウンターで1500cpm超の場合としている。大量の内部被ばくはがんになるリスクを高める一方、時間と共に排せつされ、排せつも含めた「半減期」は成人ではヨウ素131で約7日、セシウム137で約90日。

 ◇扉ゆがむ棟「そこで食事すれば体に入って当然」…福島第1の作業員

福島第1原発で作業拠点となっている免震重要棟は、3月に起きた1、3号機の水素爆発で扉がゆがみ、放射性物質が一時入り込みやすくなっていたという。40代の作業員男性は「そこで食事しているから(放射性物質は)体に入っているでしょう」とあきらめ顔だ。「『ビール飲んで(尿で体外に)出しゃいいよ』って感じですよ」

 ◇空気中線量高く機器測定不能に

今月現場に入った作業員男性(34)は内部被ばくの検査態勢の不十分さを懸念する。「周りのほとんどは検査を受けていない。特に20代の若手が不安がっている」。東電は3カ月に1回の定期検査のほか、恐れのある時の随時検査を定める。だが今月16日現在、検査したのは全作業員の2割程度の約1400人、このうち結果が確定したのは40人にとどまる。最も高い線量を浴びた作業員は240・8ミリシーベルトで、うち39ミリシーベルトは内部被ばくだった。
東電によると、同原発のホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、柏崎刈羽原発の3カ所のみ。今後増設するとしているが、内部被ばくした場合、作業に従事できないのが通例だ。県内のある下請け会社社長は「このままでは福島の作業員が大量に失業する可能性がある」とも懸念する。
毎日新聞 2011年5月21日 2時36分

原発賠償:役員の退職金返上や企業年金の減額は当然では?

日本の実業家はまことに吝嗇である。一等地の大邸宅で暮らし、贅沢三昧の暮らしをしていても、彼らは自分たちの儲けをほとんど社会に還元しようとはしない。孫正義氏がこのほどの震災で100億円の義援金を出したことは大きな話題になったが、会社や団体の義援金はあっても、企業家の中で個人で1億以上の義捐金を出したのは、薔薇っ子の知る限りでは、ファーストリテーリングの柳井氏と、楽天の三木谷氏、ニトリの似鳥氏のみである。

アメリカなどでは、一定の収入を得ている企業家たちは、多額の寄付をすることによって、自らが得た利益を社会に還元するのが当然とされ、何もしないことのほうが異常視される。それに引き換え、現代日本の企業家や富裕層たちは、我が身と家族さえよければそれでよいという方々ばかりで、およそノブレス・オブリージュなどといった言葉からは程遠い存在のようだ。

東電は社長交代案を提示したが、役員報酬だけでも7200万円と言われる大企業の役員や管理職の退職金や企業年金が満額支払われた場合、一体いかほどになるのだろうか。

彼らは一般庶民とは異なり、今更退職金や企業年金などに頼らなくても、過去何十年にもわたって、分不相応で、償還しても、余りあるほどの報酬を得ているはずである。

品性のかけらもない彼らに今更ノブレス・オブリージュを求めても所詮無理な話だから、政府がリストラ案の中に盛り込み、そぎ落とす以外はない。

2011年5月20日金曜日

銀行の債権放棄、当然では?

賠償金の賠償金の原資をどうするかのひとつとして銀行の債権放棄が提示され、それについて様々な物議がもたらされているという。

公営事業に近い企業に銀行が貸付をするのは当然のことであって、銀行に貸し手責任はないと銀行の肩をもっている議員がいるそうだ。

しかし、活断層の上で耐久年数を過ぎたような設計段階ですでに欠陥があるような原子炉を、ろくな津波対策もせずに、40年も稼動させ、様々な事故が起きるたびに隠蔽に明け暮れ、まともな対応をしてこなかったような企業に対して、それが公営事業に等しい企業だからというだけの理由で、安易に多額の貸付を行ってきた責任は、一切ないと言えるのだろうか。

銀行は、それが公的な事業であろうが、なんであろうが企業の業務内容・企業価値やリスクを的確に調査・把握し、何があっても慌てふためかずとも済むよう、適切な取引先と取引額を析出する判断力・審査能力を持たずして、厳しいグローバル社会の中で生き残っていくことはできまい。

特に電力会社に多額の融資を行ってきたメガバンクは、新しいエネルギー開発に積極的にチャレンジしているような中小企業への融資を渋り、隠蔽体質の事故処理もまともにできない危険な企業に多額の資金を貸し続けてきた責任を大いに問われるべきなのではないか。

東電賠償について、銀行に責任の一端を担わせることで、銀行は、今後公的な企業の業務内容やリスク管理のあり方を、今以上に厳しくチェックするようになり、小規模でも将来性のある優良な企業に対してもっと積極的に貸付けを行うようになるなど、これが日本の銀行の融資業務の改善・変化の契機となることを強く望みたい。

2011年5月19日木曜日

ノーモア福井、ノーモア伊方、ノーモア島根、ノーモア六ヶ所村

浜岡原発は一時停止になった。津波対策をすればまた再開もという含みを残したようだが、活断層の真上にある原発が「津波対策さえすれば大丈夫だ」と主張する前に、まず中部電力の役員を始めとする推進派の方々は、すべて浜岡原発の敷地内に家族ぐるみで転居し、そこに永住することを条件にしてもらいたい。

現在試運転中あるいは建設中の原発や再処理工場は、即刻建設・試運転中止をすべきであることは言うまでもないが、同時に敦賀や美浜など、福島よりさらに老朽化した原発や、アウトオブコントロールのもんじゅがある福井の原発銀座は全炉を即刻廃炉にすべきである。

福島のような人災事故が起こり、日本海側の原発に偏西風が流れれば列島への空気汚染の拡大はもはや福島の比ではないし、琵琶湖の水の汚染の危険性についても前に触れたとおりである。

同じく老朽化した島根原発についても、近くに大都市松江を控えており人口密度の高い市街地の近くに原発があることは、危険極まりない。


昨今この島根原発を保安院が島根原発に立ち入り調査をして安全宣言をしたそうだが、共同通信によれば、「産業省原子力安全・保安院は立ち入り検査や専門家による審議会を経た上で、ことし2月に福島原発第1に10年間の運転継続を認可したばかりだった」と報じている。設計に欠陥がありしかも老朽化した原発に対してさらに10年も運転継続のお墨付きを与えるという、重大な管理ミスをしておきながら、事故後2ヶ月以上たっても誰一人謝罪すらせず、責任を全くとらない恐るべき保安院が、いくら原発の安全点検のみ直しをしたところで、彼らの管理、点検能力が0であり、国民の健康や安全など歯牙にもかけない組織であることは、日本国民のみならず、もはや全世界の人々が知るところとなっている。

原発は安全点検さえすませれば、そのまま稼働し続けてよいなどと首相は言っているそうだけれども、保安院や安全委員会や原子力村のメンバーによる安全点検は、国民をさらなる危険にさらすだけであることを今やすべての国民は認識し、懸念しているのである。


もちろんメディアンラインの間近にある伊方原発もロートル原発の一つであり、南海地震が発生すれば、恐らくひとたまりもない。これも併せて即刻に中止すべきであろう。


政府は環境にやさしい新しいエネルギー政策を打ち出し、電力の自由化促進を図る一方、原発に頼らないクリーン・エネルギーの開発に力を入れ、そこに多くの雇用を生み出し、そこから生み出された高い技術を世界に輸出することこそが日本再生への道だと考える。

http://www.47news.jp/47topics/e/202570.php


東日本大震災で事故を起こし、危機的状況が続く東京電力福島第1原発1号機が26日、営業運転開始から40年となった。国内で運転している中では、日本原子力発電敦賀原発1号機、関西電力美浜原発1号機(いずれも福井県)に次いで3番目に古い原発だ。
福島第1原発1号機は1971年3月26日に運転を始めた沸騰水型炉で、出力46万キロワット。事故で炉心が損傷しているとみられる上、冷却のために海水が注入されており、運転再開は絶望的。枝野幸男官房長官も廃炉との認識を示している。
全国的に原発の新増設が進まない中で電力各社は既存原発の延命を図っているが、今回の事故を受け、運転延長の受け入れに難色を示す地元自治体が増えるのは確実。日本の原子力政策は厳しい局面を迎えそうだ。
福島第1原発1号機について、東電は事故前、運転開始から40年になった後も運転を継続する方針を表明。2010年3月、国の指針に基づき、さらに20年間運転を続けても温度管理や点検の強化で安全性は確保されるとする評価書と、今後10年間の保守管理方針を国に提出した。
経済産業省原子力安全・保安院は立ち入り検査や専門家による審議会を経た上で、ことし2月に10年間の運転継続を認可したばかりだった。
原発の寿命に法律上の規定はないが、各電力は当初、30~40年の運転を想定していた。国内の商業原発54基のうち、中国電力島根原発1号機(島根県)など18基が、運転開始から30年を超えている。(共同通信 2011年03月26日)

海洋汚染の調査は国が独占せず、一刻も早い情報開示を!

世界中で、グリーンピースによる環境調査を拒否した国は日本とインドネシアしかないと聞いた。

朝日系列の朝の番組で、食物連鎖による生物濃縮の話に及んだ。
水産庁が魚の放射能汚染状況を調査する場合、はじめに魚をま水でよく洗い、頭と内臓を落として、身の部分だけを計測しているのだという。

それに対して、キャスターやコメンテーターは、頭から食べる魚もあるし、さんまの内臓なども苦味があって美味いのに、身の部分だけを計測するのはいかがなものかと指摘した。

これに対してある水産学者は、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、テクネチウムの半減期を示す表を示し、少し半減期の話をした後で、セシウムは筋肉に集まりやすいから、水産庁がセシウムの量を計測するには、いかにも妥当だというような役所よりの発言をしていた。

いかにも中途半端な番組である。ストロンチウムの計測値を示さないことにはどんな問題があるのか。半減期21万年や2万2千年のテクネチウムやプラトニウムの数値を以前としてしっかり公開しないことの問題性はどこにあるのか。そこまで突っ込んでもらいたかった。

食物連鎖による生物濃縮という点で言えば、一体どこの魚が小魚を真水で洗い、頭を内臓を落としてから身だけを食べるのかということである。

高濃度の汚染水漏れが今この時点でもまだ100%否定できない限り、今も海はじわじわ汚染され
続けていると想定し、国に能力がないのであれば、グリーンピースにでも何でも依頼して信頼性のあるデータの開示を、もっと様々なモニタリングスポットで実施すべきであろう。

現状では福島原発から南のエリアに比して、福島から北の宮城や岩手ではほんの2,3箇所のスポットでしか計測されていない。都市大学教授の本田氏は、福島沖の海流は必ずしも南にばかり流れるわけではないし、汚染水は同心円状に均等に広がるわけではなく、まだらに拡散する可能性があると示唆していた。さらにグリーンピース・ジャパンの海洋調査の担当者は、あらゆる種類の魚について検査を行う必要があると言明していた。

今から秋に向けて水産業の復興に心血を注いだ宮城や岩手の沿岸部の人たちが数ヵ月後、大量に水揚げした大型魚を全て破棄しなければならないような徒労に終わらせてはならない。そのための唯一の方法は、政府だけではなく、計測能力を持つ世界の機関に海洋汚染や海流の計測を要請し、出来る限り詳細かつ正確なデータを収拾し・それを広く公開した上で、世界の海洋学者を結集し、大型魚の食物連鎖による生物濃縮がいかほどになるかシミュレーションを行い、万が一の事態に一刻も早く備えるべきないのか。

東北沿岸部の復興は、農村部と同様、原発事故による海洋の放射能物質汚染がいかほどで、それが地元の生産物に与え続ける影響がどの程度なのかをしっかり頭に入れた上で、粛々と行われるべきであり、悠長に文明論を論じているような場合ではない。

捕獲禁止や自主規制によって、この春人間が食べなかったコウナゴや小魚をたらふく食べた大型魚たちの体内には、どれほどのストロンチウムやセシウムが蓄積されているのだろうか。



2011年5月16日月曜日

福島原発の作業員はどこから来るの?

福島原発で5月14日、作業員が死亡する事件があったが、作業員が倒れたときに、Jヴィレッジには常駐の医師がおらず、病院に搬送されるまでに2時間も要したと言われている。

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110515dd
m041040193000c.html


不思議なことに一度も誰も発表しないけれども、3000人も今福島原発で作業している人々がいるというがその中に、東電の正社員は何人いるのだろうか。とくに東電本店でこれまで原子力推進をしてきた正社員やOBは、事故処理のために何%ぐらい本店から応援に駆けつけ、現場の第一線で専門性を活かして働いているのだろうか。マスコミ各社は是非そういった調査も、きっちりやってもらいたいものだ。

おそらくこの会社の体質を見る限り、札束と権力をちらつかせ、一番危険で汚い仕事は、アメとムチで末端の下請け会社に務める特別な知識や高い技術も持たないど素人の社員や臨時雇いのホームレスなどにやらせているのではないだろうか。

もしそうでないのならば、専門性を持った正社員をどれほど現場に送り込んでいるのか公表してもらいたいものである。

会長・社長の役員報酬が7200万円もの潤沢な大企業が、原発事故以降2ヶ月間もの間、何千人もの作業員を危険極まりない事故現場で作業に従事させながら、常駐の医師を一人も置くことをしなかったというようなことが許されることなのだろうか。

作業従事者の生活環境の劣悪さについてこれまで様々な報道が行われてきたけれども、何にも増して、十全なる救急医療体制を現地対策本部に置くことが当然なのではないか。

これから夏場、作業現場はますます過酷な状況に置かれるに違いない。早急に対応すべきであろう。福島の原発の作業の安全性については、虚偽の報告しかしない東電に丸投げするのではなく、政府の保安院・原子力安全委員会の専門家が現場に入り、監督責任を果たすべきなのではないか。

現場の作業員はどんな基準で採用されるのだろうか。急場しのぎに手当たり次第、人材派遣会社経由で雇用するようなことがなされていないことを願いたい。ただでさえも脆弱極まりない、危険な現場に、万が一どこかの国の工作員でも紛れ込んで、テロでも起こされたら、それこそ東日本はHiひとたまりもない。

電力会社の正社員は原子力があるから、この時代でも厳重な身元調査を経て採用されるという噂を聞いたことがあるが、こういう時こそ、東電は下請け任せにせず、社長以下、全国の支店や本店の正社員が責任をもって福島に赴き、一丸となって事故の収拾に当たるのが当然であろう。

2011年5月15日日曜日

減資さえないことに違和感:東電賠償スキーム

以下ロイターの記事によれば、東電の賠償スキームは、外資系証券幹部に究極のモラルハザードだと評され、財務省の役人でさえ、「原資さえないことに違和感を表明している」という。

結局のところ、これだけ甚大かつ深刻な人災を引き起こした私企業の経営陣、株主、社債権者は、免責され、電気料金、消費税の値上げという形で国民につけを回し、公務員給料を削減し、融資銀国に一部負担を求めて手打ちにするつもりだろうか。

確かに原子力安全委員会や保安院、通産省などで原発推進を促し、原発の安全性を維持するための努力を怠り、他の新しいエネルギー開発事業の促進に歯止めをかけてきた役人の責任は重大であるし、こうした関係者の給料をカットすることにだれも異論を唱える者はないだろう。しかし、だからといってすべての国家公務員の給料をカットする必要性がどこにあるのだろうか。

OECD23か国のうちで、すでに公務員の人件費のGDP比が最下位なのは他ならない日本なのである。こうした給与カットについては震災復興を妨げ、財政を悪化させるという意見もある。


http://news.livedoor.com/article/detail/5557641/

政府の国家公務員給与10%削減は震災復興を妨げ財政を悪化させ貧困を深刻化する

説明: すくらむ

 昨日、政府が国公労連に対して、国家公務員給与の10%削減を2013年度までの3年間にわたって実施する方針案を提示してきました。
 
片山善博総務大臣は、給与削減が必要な理由として、主に財政事情と震災復興財源への対応をあげています。しかし、国家公務員給与の削減は、財政事業や震災復興にプラスになるどころか、逆にさらなる財政悪化と震災復興にもマイナスになる日本経済の悪化をもたらすだけです。

 長くなりますので、結論を先に書いておきます。

 ▼今回の国家公務員給与削減の主な問題点

 ①「国家公務員準拠」などによって625.8万人の労働者の賃金が切り下げられ「賃下げの悪循環」を加速する。

 ②震災復興財源が増加するどころか、国と地方の税収マイナスをもたらし、財政危機はさらに悪化する。【625.8万人労働者の賃金カット→家計収入マイナス→家計消費マイナス→GDPマイナス→国と地方の税収マイナス】

 ③日本の経済全体をさらに悪化させ、震災復興にも大きな悪影響を与える。【給与10%カットで、GDPはマイナス0.6%】

 ④「小さな政府」「自己責任社会」を加速させ貧困問題をさらに悪化させる。【現時点でも先進諸国の中で日本は公務員人件費が最も低い「小さな政府」。日本の「小さな政府」の特徴は、国民生活を支える部門が極端に「小さな」「自己責任社会」であること。「小さな政府」は「国民の自己負担の大きな政府」であり、貧困者のところに最もしわ寄せが来る。そして、「小さな政府」は財政赤字を拡大する】

 ⑤ 国家公務員の労働基本権制約のもとでは人事院勧告にもとづかない労働条件の切り下げは、明確に憲法に違反する。

 それでは、いくつかの点について少しくわしく見えていきましょう。

 国家公務員の給与は、「国家公務員準拠」「人勧準拠」などによって、地方公務員をはじめ625.8万人もの労働者の賃金に影響を与えます。労働総研と国公労連などで産業連関表を用いて計算した結果は以下のようになります。(※具体的なエクセル表など詳細な計算結果については来週記者会見を行い発表します)

 ▼国家公務員の人件費を10%カットした場合

 ① 家計収入の減少総額は34,710億円
 ② 家計消費の減少額は25,937億円
 ③ 国内生産の減少額は58,472億円
 ④ 付加価値(≒GDP)の減少額は3431億円。GDPを0.6%押し下げる
 ⑤ 国と地方の税収の減少額は5,401億円

 以上の数字が示すように、国家公務員の人件費を10%削減すると、震災復興財源を増やすどころか、逆に国と地方の税収は5,401億円もマイナスになってしまいます。さらに財政状況は悪化し、日本のGDPはマイナス0.6%となり東日本大震災からの復旧・復興にも甚大な悪影響を及ぼすことになります。

 ▼以下は、国公労連のブログ「くろすろーど」の記事「どうみる?日本の財政赤字(5)-公務員人件費が高いから財政赤字が増えた?(山家悠紀夫さんに聞く)」の一部です。

 上のグラフは、公務員と公的部門職員の人件費の対GDP比の国際比較です。人件費を見ても、数字がわかっているOECD23カ国の中で日本は一番少なく、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、フランスの半分以下です。上のグラフは、8カ国だけですが、23カ国を高い方からすべて紹介すると、(1)デンマーク16.9%、(2)スウェーデン15.1%、(3)フィンランド13.0%、(4)ポルトガル12.9%、(5)フランス12.8%、(6)ノルウェー12.3%、(7)ベルギー11.7%、(8)ハンガリー11.5%、(9)ギリシャ11.1%、(10)イギリス10.9%、(11)イタリア10.7%、(12)スペイン10.2%、(13)アメリカ9.9%、(14)ポーランド9.6%、(15)アイルランド9.3%、(16)オランダ9.1%、(17)オーストリア9.1%、(18)チェコ7.6%、(19)韓国7.3%、(20)ルクセンブルグ7.1%、(21)ドイツ6.9%、(22)スロバキア6.8%、(23)日本6.2%、となっています。

 ◆国・地方の総支出に占める人件費も少ない


 さらに、上のグラフにあるように、国・地方の総支出と、国家公務員・地方公務員・公的企業を合わせた人件費の割合を見ても日本は主要国の中で最低です。金額ベースで見ても日本の国家公務員の2010年度の人件費は5.2兆円で、しかもその半分ほどは自衛官の人件費で占められているのです。




いずれにしても、リスク・リターンの原則を無視した賠償スキームは、理不尽であるとしかいいようがない。



http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-21084820110513


東電賠償スキーム、事実上株主・社債権者などを免責

2011年 05月 13日 12:33 JST
 
 [東京 13日 ロイター] 政府が13日発表した福島第1原子力発電所事故による東京電力(9501.T: 株価ニュースレポート)の損害賠償支援スキームは、株主や社債権者などの各ステークホルダーを事実上、免責するものとなった。巨額の損害賠償が発生し、債務超過に陥れば優先・劣後関係の中で損失を負担していくのが金融市場の原則だが、”too big to fail”(大きすぎて潰せない)との主張の前に、最初にき損されるべき株主も守られるスキームだ。「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。
  <破綻しないことが確約された企業の誕生>
 別の外資系証券幹部は今回の政府のスキームについて「海外の投資家には理解できないスキームになっている」と指摘する。巨額の賠償債務を抱えることになった東電は、通常ならまず株式が最初にき損することになる。東電の株主資本は約2.5兆円ある一方で、賠償額の総額は現時点で判明していないものの、政府は5兆円のシミュレーションを作成している。少なくとも2.5兆円を超える賠償債務を追った時点で株式は100%減資となり、次に貸出金や社債がき損していく順番をたどるのが、市場原理に基づいた通常の破綻処理のケースだ。
 しかし、政府案では、東電が債務超過に陥って破綻しないように、特別法を策定して設立する「機構」が優先株を注入する。「援助には上限を設けず、機構は必要があれば何度でも支援し、電力会社の債務超過を防ぐ」と盛り込んだ。破綻しないことが確約された上場企業が誕生したことになる。同スキームの作成に関わった財務省や融資銀行団の一部にさえ、「減資さえないことには、違和感を感じる」との指摘がある。
 今回のスキーム作りには、経産省や財務省に加え、融資銀行の一角も参画した。主力銀行の三井住友銀行は特別チームを立ち上げ、東電から賠償リスクを切り離す案を策定し、与野党や財務省に積極的に働きかけた。同行の接触を受けたある民主党議員の秘書は「破綻に準ずる処理を進めれば、資本市場に与える打撃が大きい、と訴えられていた」と言う。東電の株式は年金基金も多く組み込んでいるほか、社債の発行額は国内最大の約5兆円に上る。東電の破綻処理は金融市場のシステミック・リスクに直結しかねず、“too big to fail”(大きすぎて潰せない)というわけだ。ある財務省幹部は「銀行としては減資という事態になれば、その先には債権放棄や社債カットの世界が待ち受ける。それを避けたかったのではないか」とみている。
  <融資銀行団が一部負担する可能性も>
 だが、最終的なスキーム案では、当の銀行サイドも当てが外れた格好だ。政府は東電を支援する条件の一つに「金融機関から得られる協力」について政府に報告するよう求めた。協力の具体的な中身については「民間同士の問題なので東電と銀行で話してほしい」(枝野幸男官房長官)としているものの、政府が銀行に対して金利減免などの条件緩和を暗に求めていると受け止められている。
 三井住友銀などメガバンクは震災後の3月末に総額1兆9000億円の緊急融資を実行しているが、震災前の融資残高は約2兆円。いずれも低スプレッドとされ、金利減免を実行しても数百億円程度とみられ、東電にとっての効果は限定的。そもそも金融支援を実行すれば、条件緩和債権となってしまうために通常のルールでは追加融資も難しくなる。「株主責任も問われていないのに、なぜ銀行負担を求めてくるのか理解できない。順番が違う」(融資銀行幹部)との不満も銀行からは漏れてくる。
 海江田万里経済産業相は11日の都内の講演で、東電の救済策で経営破たんした日本航空(JAL)と同様な減資や債権カットの手法を取らない理由を問われ「JALとの決定的な違いは損害賠償を受ける人たちが大変たくさんいることだ」と述べたうえで、「説明責任をしっかり果たす」と強調。今後は、国会の論戦に耐えうる政策になっているのが問われることになる。
 (ロイターニュース 布施太郎 平田紀之:編集 石田仁志)