2011年6月20日月曜日

海江田経産相の言行不一致: 国内でやってること vs. 国際会議で言ってること

 保安院は、ろくな検討も加えず、早々に日本の原発の安全宣言を出し、それを受けて、18日、海江田経産大臣は原発の再稼働を自治体に要請したという(毎日新聞)。その舌の根も乾かぬ20日彼はウィーンのIAEAで、堂々と各国代表の前でこの事故の状況を国際社会に正確かつ迅速に伝えることは我が国の責務である」とし、「事故の徹底的な検証をふまえて、最高水準の安全性を確保するために抜本的な措置を講じると言い放った(TV朝日)。
下記に転載したWSJによれば、20日の閣僚級会議に提示されたIAEAの報告書では、福島原発が地震と津波の被害による被害の軽減が可能だった国際安全基準の履行を怠っていたとの見解を示し、日本の原子力当局はIAEAの基準に沿って、周辺住民を迅速に避難させなかったこと、自己の際の被害と放射線を封じ込めるための保護措置を十分に構築していなかったと批判している。
こうした批判に対して、様々な専門家からの警告を無視し、安全の履行を怠り続け、ひたすら原子力産業の発展を推進してきた保安院や安全委員会の責任者はどう答え、どんな形で責任をとるつもりなのか。確かなことがあるとすれば、彼らがもはや、国の原発の安全確認を行うような重責を担うに足りない人々であるということである。
鳴り物入りの外国製汚染水除去装置はまともに機能しないまま、いよいよ明日から東北地方は梅雨入りするという。その一方で、作業環境改善のため、今日は2号機の二重扉が開放され、16億ベクレルもの放射能物質が外部に放出されたそうだが、東電は周辺のモニタリングポストの数値に変化はないと見込んでいるという(東京新聞)。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011062002000025.html




我々は3.11以降テレビを通して、「一旦外に漏れた放射性物質は、半減期の短いヨウ素を除いては、そんなにたやすく消えるものではないからやっかいなのだ」という専門家の説明を嫌と言うほど何度も受けてきたが、不思議なことに福島原発から出る放射性物質だけでは、どこかで都合よく消失してしまうものらしい。


京大の小出氏が、このような汚染水の放射性物質を除去して、冷却水を循環させるという対応策に限界を見て、前から提案している地下ダム構想を、ようやく政府の一部関係者がまともに取り上げ始めたというが、これに対して、東電が、株価維持のために抵抗を示しているという。なんと言うことだろう。


http://hiroakikoide.wordpress.com/

「国民の命か、金儲けか」、商売人がなんと言おうと、一国の大臣である以上は、国民の健康や安全の重みぐらいは理解し、公的良識人として節度ある態度をとってもらいたいものである。
国際会議で、なんとか各国の厳しい追及をかわしたつもりなのかもしれないが、バブル崩壊後、日本が唯一とりえにしてきた美しい自然、空気、水、食の安全さえ、原発のおかげで完全に地に落ちてしまったのである。
そうした日本が各国からの信頼を回復するために、大臣がなすべきことは、自国の深刻な原発事件の収束のめどもたたない中、意気揚々と原発推進を宣言することだろうか。
逆に「日本は、ひとの命を、命とも思わず、金のためには何を犠牲にしても厭わない国」というマイナスの印象を各国に与えているだけであるということを、十分に自覚した上でのことなのだろうか。

原発:夏前ありき「安全宣言」…再稼働要請へ

国内の原発稼働状況。6月17日現在
国内の原発稼働状況。6月17日現在
海江田万里経済産業相が18日、「各原発ではシビアアクシデント(過酷事故)対策が適切に取られている」とし、再稼働を地元自治体に要請する考えを示したのは、放置すれば電力不足が深刻化し、日本経済や生活に重大な影響が出ると判断したためだ。だが、肝心の原発の安全性については地元の疑問や要望に応えておらず、再稼働への道筋は見えていない。【野原大輔、中西拓司、久野華代】

 ◇政府、電力不足恐れ

「(今回の対策が)行われた上でもなお再稼働できない場合には、関東、東北だけではなく、中部、関西、西日本においても産業の停滞、国民生活の不安が出てくる」
海江田経産相は18日の緊急会見でこう訴え、原発の立地自治体に再稼働への理解を求めた。口調は穏やかながら、半ば「脅し」とも取られかねない厳しい発言の裏には、全国的な電力不足への強い危機感がある。
定期検査などで停止中の原発のうち、本来なら今夏までに再稼働するはずの原発は11基。定期検査は13カ月ごとに義務付けられており、待つほど稼働中の原発は減ることなどから、「ドミノ的に電力不足が広がる」(電力関係者)懸念がある。
海江田経産相は原発の所管大臣である一方、産業振興の担当でもある。全国的な電力不足に陥れば生産などに大きな支障が出る経済界からは「国が責任を持って国民に説明し、再稼働を図ってほしい」(日本商工会議所の岡村正会頭)などのプレッシャーが集中している。電力消費がピークを迎える真夏まで残された時間はほとんどなく、これ以上の日本経済への打撃を避けるためには、自ら乗り出して再稼働を働きかけるしかないと判断したとみられる。
さらに、海外向けに日本が原発の安全対策に最大限取り組んでいることをアピールするという意味もある。海江田経産相は、20日からウィーンで開幕する国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議に出席し、原発対応を報告する。会議前に発表するために原発の現地調査などを急いだとみられるが、「スケジュールありき」で進められた側面は否めない。
しかし、地元自治体が再稼働に応じるメドは立っていない。政府が中部電力浜岡原発の停止を要請した際、「国策として協力してきた地元への説明がなく、信頼関係がなくなった」(福井県敦賀市)ことが響いており、今回の再稼働要請に対しても「国は責任ある説明が必要」(高橋はるみ・北海道知事)など慎重姿勢を崩していない。
地元は全国一律の安全基準以外に、それぞれの事情に応じた対応策を求めている。例えば、福井県は運転開始から40年以上を経過した高経年化原発へのより厳しい安全基準の必要性を指摘している。だが、海江田経産相が、各自治体の要望に沿った対策を持っていくのは「時間的に無理」(経産省幹部)とみられ、国と自治体の間にある「不信」という溝は埋まりそうにない。

 ◇事故対策…対症療法否めず

原発の安全規制を担う経済産業省原子力安全・保安院は、福島第1原発事故のようなシビアアクシデント対策について7日に調査を始めてからわずか11日で原発の「安全宣言」を出した。だが、今回の点検項目は、水素爆発対策など第1原発の事故に関係した5項目だけで、それ以上については「今後の検討課題」(保安院)。現地立ち入り検査もたった2日間で終え、発表を急ぐ政府に配慮して「お墨付き」を与えた格好になった。
「保安院は(再稼働について)地元同意を得るためにやっているのではない」。保安院の山本哲也・原発検査課長は18日の会見でこう述べたが、会見には資源エネルギー庁幹部も同席。「(電力供給不足による)産業空洞化は今そこにある危機」とするエネ庁作成の資料も配布され、「一体感」は否めなかった。
保安院は11事業者に対して、福島第1原発1~3号機で発生した水素爆発対策、中央制御室の非常用換気装置の電源確保などを求めたが、いずれも第1原発の事例をなぞった「対症療法」。より過酷な事故対策については「どういう事態を想定するかも含めて中長期課題で取り組む」と述べるにとどめた。
各事業者の取り組みも「津波浸水を想定し、2017年度ごろまでに内線電話交換機電源を高所へ移設」(関西電力美浜原発1~3号機)▽「今後3年程度で水素ガス抑制装置を設置」(九州電力玄海原発1~4号機)--など、緊急性を優先しているとはいえない。
「人類が経験した原発事故をすべて考えて対応した。今回の対策をやっている原発は安全だ」。西山英彦・保安院審議官は18日夜の記者会見で力説した。

 ◇原子力安全・保安院が実施した調査の流れ◇

7日 国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する政府報告書を受け、電力各社など11事業者に「水素爆発などの過酷事故」を想定した対策の報告を指示
14日 11事業者から報告書を受理
15日 関電、九電などの各原発を立ち入り検査
16日 東電福島第2などの各原発を立ち入り検査
18日 全事業者について「対策は適切に実施されている」との調査結果を公表。海江田万里経産相が現在停止中の原発の再稼働を要請
20日 IAEA閣僚会議に海江田経産相が出席、国内の取り組み状況を報告へ
毎日新聞 2011年6月19日 9時06分(最終更新 6月19日 11時00分)

【原発】海江田大臣がIAEAで福島事故を報告(06/20 19:58)


 IAEA=国際原子力機関の閣僚会議に出席している海江田経済産業大臣がスピーチを行い、福島第一原発の事故報告と今後の安全対策について世界各国に説明しました。

海江田経済産業大臣:「(Q.説得力のある説明ができそうですか)一生懸命やります」「
この事故の状況を国際社会に正確かつ迅速に伝えること、そこから得られる教訓を国際社会と共有していくことは、我が国の責務であります」
海江田大臣は「
事故の徹底的な検証を踏まえて最高水準の安全性を確保するために抜本的な措置を講じる」と加盟各国に伝えました。加盟国のうち原発の全廃を決めているスイスは、日本の安全対策の不備を厳しく指摘する報告書を出しています。また、今回の閣僚会議でIAEAが作成する包括報告書には、日本の複雑な体制や組織が緊急時の意志決定を遅らせる可能性があるという評価が盛り込まれる予定です。

日本、地震と津波の被害への備え怠る-IAEAが福島原発事故で報告書


国際原子力機関(IAEA)は19日までに福島第1原子力発電所事故に関する報告書をまとめ、日本当局は津波と地震による同原発の被害の軽減が可能だった国際安全基準の履行を怠っていたとの見解を示した。同報告書は20日開かれるIAEA閣僚級会合に提出される。
AP Photo/Tokyo Electric Power Co.
福島第1原子力発電所で復旧作業にあたる作業員(5月)
同報告書は、日本の原発事故とその後の対応に関するこれまでで最も客観的な検証で、1週間にわたる同会合での原子力安全性に関する議論の枠組みとなる。
同報告書は福島原発のエンジニアらの事故への対応を称賛する一方で、他の大半の点について日本の危機への備えと対応に批判的だ。同報告書は、日本が地震と津波に対する原発保護のためのIAEAガイドラインを履行しなかったほか、日本の原子力当局はIAEAの基準に沿って周辺住民を迅速に避難させなかったと指摘。さらに原発事故の際の被害と放射線を封じ込めるため多重な保護措置を十分に構築していなかったと批判した。
同報告書は、危機が深刻化した際、福島第1原発から半径20キロから30キロの間に住む住民に屋内待機を命じる一方で、20キロ以内の住民には避難を要請した日本当局の勧告の仕方に疑問を投げ掛け、「長期的な屋内避難は有効なアプローチではない」と述べた。
IAEAは、周辺住民に対しては放射線量が危険な水準に近づくなど具体的な基準に応じて避難勧告すべきだったとしている。同報告書は、日本のデータとIAEAチームの現地調査結果に基づいているが、同チームは避難前に住民が浴びた放射線量を特定できなかったとしている。
同報告書は、原発事故からの復旧に向けた工程表は「野心的だが達成可能にみえる」とした。もっとも、「環境保護と同様に持続可能な安全を確保するために是正すべき問題がある」と述べている。
しかし原発安定化の作業では後退している点もある。17日には、原発現場にあふれている大量の高濃度汚染水を浄化する鳴り物入りのシステムが始動わずか5時間後に、停止された。東電はこの修理に全力を挙げており、21日までにシステムを復旧したい考えだ。
日本の原子力規制当局である原子力安全・保安院のスポークスマンは電話取材に対し、同保安院がIAEAの報告書の検討結果を承知していると述べ、大規模な原発事故に対処するための避難方針を再検討していると述べた。
同スポークスマンは、地元住民への勧告は地元自治体との緊密な協議を経て迅速に出されたと述べた。ただし「われわれは、事故に伴い、これほど長期間にわたって避難が必要になるとは予想していなかったし、屋内避難をもっと本格的な避難に格上げするガイドラインがなかった」と釈明した。
IAEAは報告書の中で、日本の原発当局は原発の制御室の操作装置の欠陥など、過去に発生した出来事を想定した安全点検を適切に実施していたが、地震や津波といっためったにない脅威に対する安全点検を実施していなかったとし、「外部からの脅威に対する蓋然性の高い安全評価は(安全・保安院によって)義務付けられていなかった」と述べた。
IAEAはさらに、日本の規制当局は一義的に最近の地震データに依存していたため、地震リスクを過小評価していたとし、IAEAガイドラインで勧告されているように、「歴史的および前史的な地震に関する古地震学・考古学上の情報」を検討すべきだったと結論している。
また、2002年にIAEA主導の専門家チームが実施した点検の勧告に応じた「津波被害のための多層防御規定が不十分だった」とし、「こうした追加的な防御措置は日本の規制当局によって点検・承認されていなかった」と指摘している。





2011年6月19日日曜日

節電のための制限令って?

来るべき夏を前に、メディア各社は夏の電力不足の話題を大きく取り上げ、「脱原発なんて言っているとひどい目に遭うぜ」と言わんばかりのメッセージを毎日、執拗にこれでもか、これでもかと言わんばかりに、国民に突きつけている。

昨日、日本全国あちこちで、まだ本格的な夏でもないのに、がんがんクーラーを効かせた電車の温度設定についてブログに書いたばかりだったので、東京新聞のこんな記事が目に飛び込んできた。

制限令などと仰々しいことをやらなくても、企業が節電に対して思い切った決断なり、姿勢(発送電分離を含めた電気事業法改革に対するサポートや、良識的かつ自主的な節電)を示せば、すむ話ではないかと思うのは、薔薇っ子だけだろうか。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011061990071151.html?ref=rank

節電の夏どうする 鉄道各社に制限令

2011年6月19日 07時11分
朝6時台の利用客が増加した京王線新宿駅=16日午前6時35分、東京・西新宿で
写真
 福島第一原発の事故を受け、電力不足が懸念される今夏、首都圏の鉄道各社は「節電の夏」への対応に知恵を絞っている。日中の運転本数を減らす節電ダイヤを中心に、車内冷房を弱めるなど対策はさまざま。利用客に不便を強いるため、苦情も出かねないが、試行錯誤しながら節電に取り組む。 (石川修巳)
 「JRになって初めての経験。実際のところ、電力需給がどうなるのか見通しがつかない」。夏の特別ダイヤを二十四日に始めるJR東日本の担当者はそう話す。
 七月からの電力使用制限令は、一時間に六本以上運行する路線で、平日正午~午後三時の使用最大電力を昨年より15%減らすよう求めている。同社も山手線や中央線、東海道線など十五の路線で、運転本数を平均で一割強減らす計画だ。
 バリアフリー設備を除き、日中の駅構内の消灯やエスカレーターも一部を止める。そもそも山手線や京浜東北線などは、火力・水力の自営発電所の電力で運転しており制限令の対象外だが、運転を減らした余剰電力を東京電力に売り、供給に協力するという。
 今夏のダイヤのひとつの特徴は、早朝時間帯や土休日の運行の拡充だ。就業時間を繰り上げるサマータイム制の導入や、休日をずらす動きが広がっているため。
 東急は東横線と田園都市線で、上り始発電車を最大十五分早めて午前四時台にする。渋谷駅では他社線の一、二本早い電車に乗り換えられるようになるという。終電の繰り上げはしない。
 小田急は平日、土休日ともに同五~六時台を中心に増発。京王も「新宿駅の六時台の降車人員が前年同月に比べ16%増えた」として平日早朝の増発を決めた。
 鉄道各社が打ち出す節電策の中で、対応が分かれるのが、車内の空調温度の設定だ。
 JR東や小田急、京浜急行、京成は日中の空調温度を引き上げて「弱冷房」に。通常より二度高いおおむね二八度に設定する。一方、東京メトロや都営地下鉄、京王、西武、東武は「例年通り」とした。「15%削減は運転本数減でカバーできる」(西武)とみている。
 また、熱がこもりやすい地下鉄は「駅冷房」も使うが、メトロ、都営ともに一部時間帯に停止する。「使用電力に占める割合が高めで、必要な範囲で止めざるを得ない」(都交通局)とする。各社とも、天気や混み具合をにらみながら柔軟に対応するという。
(東京新聞)
オフィス、公共交通機関、宿泊施設、映画館などの遊興施設を冷房で冷やしすぎるために、冷房病で夏、体調を崩す人間が日本には多い。日本が何でもお手本にする、アメリカの地下鉄、電気代は安くて日本の比ではないがーーN.Y.の主要な駅でもエレベーターや江スカレーターなんてなかなかないし、マンハッタンのタイムズ・スクエアの地下道や、ポートオーソリティのバス乗り場にいたっては、夏は40度を超える灼熱の暑さである。東京に限らず、役所を始め、全国の公共交通機関や地下街、遊興施設は、冷房温度の見直しを、自主的かつ徹底的に行うべきである。
ここ数年、夏になると熱中症のニュースが話題にのぼる。たしかに大都会のコンクリート・ジャングルと、昨今の異常気象が相俟っていることは事実である。しかし熱中症で運ばれた人の多くは、真夏の体育館や運動場での無理なトレーニングがたたった青少年や、すでに体力がなくなり、加齢によって気温の変化やのどの渇きに対して感覚が鈍磨になった高齢者や、二日酔いの体調不良を引きずったまま、帽子をかぶることも、日傘を差すこともせず、横着に炎天下屋外を歩きまわった人々である。
空調の設定温度が問題なのではなく、むしろその逆で、オフィスや商談で入った冷房の効き過ぎたレストラン、喫茶店から外に出たときの温度差が身体に及ぼす影響のほうが、はるかに大きい。
電車に空調を入れる前に、まず窓を空けて風を入れてはどうなのか。特に今の季節は、雨が降らない限りは、まだそれで十分に対応できるはずである。
軍隊でもあるまいし、制度や法律を作って、一、二の三で右にならえをさせなくても、満員電車の混雑を避けたい人は、他の人々に同調するのではなく、自分で早めに起きて出勤すればいいし、天気のいい日は早朝自転車や原付で移動すればいいのである。ださいだの何だのとつまらないことを言ってないで、炎天下で倒れそうになる前に、男性も、日よけ帽をかぶってオフィス街を闊歩すればいいのである。
夏は本来暑いもの、大人も子供も、日頃から身体を鍛え、我慢することを身体に叩き込んでおきさえすれば、こんなことは問題にもならないはずである。平安時代の貴族の女たちは十二単を身につけ、戦国時代の武将たちは真夏でも鎧兜をつけて敵と戦った。戦争中都会に残された多くの高齢者やおんな、子供は飢えに苛まれながらも、灼熱の防空壕の中で身を潜めて皆、耐えたのである。
いや首都圏のラッシュ時の混雑は特別だからと反論する人も多いと思う。しかし、職種によっては、フレックス・タイムで十分に対応できるものもあるのだから、企業側が勤務時間を調整するなど、工夫次第でなんとでもなる。
ちなみに、首都圏のラッシュの抜本的な解決は、首都機能移転で一気に解消できる。
社会の在り方そのものが根本的に変わろうとしている状況下において、今最も必要なのはフレキシブルな発想の転換である。




 



2011年6月18日土曜日

原発事件:謙虚さの欠如

 CNNによれば、アメリカの原子力規制委員会は、フクシマ原発事件の教訓として、「謙虚さ」が重要であると証言している。そして複数の災害が複数の原子炉を襲う可能性に付いても検討することを求めていく意向を示したという。

よその国でも、これだけの深刻な事件から様々な教訓を導き出し、将来起こるあらゆる問題を予測することはできないと言い切っている。

http://www.cnn.co.jp/usa/30003103.html


米原発の安全基準見直し、想定に完全はない前提で NRC

2011.06.17 Fri posted at: 12:06 JST

ワシントン(CNN) 米原子力規制委員会(NRC)のメンバーは16日、米上院で証言し、東京電力福島第一原子力発電所のような事故が米国内で起きる可能性は「非常に小さい」とした。その一方で、米国内に104基ある商用原発の安全基準を引き上げる可能性もあるとした。

NRCは福島の事故を受け、全米の原発に対し、従来の想定以上に大きな自然災害や長時間にわたる停電に備え、複数の災害が複数の原子炉を襲う可能性についても検討することを求めていく意向を示した。

NRCのジョージ・アポストラキス委員は、福島第一原発の事故が残した教訓の一つは「謙虚さ(の重要性)」だと述べた。

「安全解析を専門分野とする人間として言うと、もはや驚くようなことは起きないだろうという過信が我々の間にあったと思う」とアポストラキス委員は述べた。

一部のNRC委員からは、さらに徹底した防護策と、自然性街などの危険を従来よりも大きく想定することを求める声も上がった。

現時点で大半のアメリカの原子力発電所の緊急時対応計画は、1つの原子炉で問題が起きた場合を想定している。だが、福島第一原発では稼働中の4つの原子炉全てが地震とそれに続く津波の被害に遭った。

「もしこの事故から学べる総合的な教訓があるとすれば、それは将来起こるあらゆる問題を予測することはできないということだと思う。あらゆる地震、あらゆる津波を予測することはできないが、何が起ころうともそこから復旧できなくてはならない」と、ウィリアム・マグウッド委員は述べた。
 このたびの原発の深刻な事象を津波によるものと頭から決めつけ、それに基づいて津波対策の見直しができているかどうかを基準にして、保安院に安全確認をさせる一方、事故後100日、フクシマの放射能汚染の収束のめどさえ未だ立たないというのに、経産大臣が早々と各自治体に停止中の原発の再稼働を要請するというこの国の現状ーー施政者たちの現実認識がどれほど乏しいものであり、推進派と呼ばれる日本の専門家集団の謙虚さの欠落が、どの程度深刻なものか、NRCの報告と比しても自明である。 


イタリアの脱原発は集団ヒステリーか、福島原発は天罰か: 親のふりみて子は育つ

親のふり見て子は育つというけれど、父親は「フクシマ原発事故は天罰」と言い放ち、息子は「イタリアの脱原発の国民投票に対して「集団ヒステリー」といって冷水を浴びせかけた。

ぱっとした小説家でもなかったが、大きな芸能プロダクションの基を作った人気俳優の兄ということで話題になり、マスコミをバックにつけて以来、言いたい放題、やりたい放題でやってきた傲慢不遜な父親と、親の七光りで保守政党の中堅にのし上がった息子、親が親ならば、子は子だ。

彼らのように、品性を疑うような暴言を繰り返しても、黙って看過ごされる政治家もあれば、ちょっとした失言がもとで、完膚なきまでに叩かれて職を追われる者もいる。日本のマスコミは哀しいほど権力に弱い。

父親のほうは、2000年だったかに公の場で「東京湾に原発を作ったらいい」という発言さえしている。むろん、こんな人物に懲りずに投票する選挙民がいることが一番情けないのだけれども。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110615/stt11061508010002-n1.htm

自民・石原氏、反原発は「集団ヒステリー」

2011.6.15 07:57
 自民党の石原伸晃幹事長は14日の記者会見で、東京電力福島第1原発の事故後、反原発の動きが広がっていることについて「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる」と述べた。
 「反原発は簡単だ。脱原発というのも簡単だ。しかし生活を考えたときどういう選択肢があるのか示さなければいけない」とも指摘した。

今日、海江田経産大臣は、点検中の原発の再開を各地方自治体に要請したという。しかし、
アメリカとフランスの装置を導入して始まった汚染水浄化作業は、早々と行き詰まりを見せている。

震災から100日、原発のニュースは、テレビでもほんの短い時間に取り上げられるようになったが、実際フクシマ原発は何も改善していない。

http://www.nikkei.com/news/special/related-article/g=96958A9693819595E3E5E2E0838DE3EAE2E4E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;q=9694E3E0E2E1E0E2E3E3E5E6E2EA;p=9694E3E0E2E1E0E2E3E3E5E6E2E1;o=9694E3E0E2E1E0E2E3E3E5E6E2E0


福島第1原発、汚染水浄化を停止 再開見通し立たず

2011/6/18付
 東京電力は18日、福島第1原子力発電所の汚染水浄化装置を未明に停止したと発表した。放射性物質のセシウムを除去する装置の放射線量が高まり、想定の1カ月後を待たずに交換基準に達したため。水漏れなどの警報は出ていないが、東電は「再開の見通しは立っていない。1週間以内に対応する」と説明。原子炉の冷却に処理水を再利用する「循環注水冷却」を18日にも予定していたが、先送りは避けられない。
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 最優先に取り組む汚染水対策が17日午後8時の処理開始から早くも滞った。米キュリオン社製のセシウム吸着装置で、1時間当たり4.7ミリシーベルトの放射線量を計測。18日午前0時54分に運転を停止した。午前3時すぎから低い濃度の汚染水を流して、点検している。
 吸着材は当初、1カ月に1度の交換を考えていた。東電は18日「放射性物質を含む汚泥が流れ込んだか、近くの配管の(放射線の)影響も考えられる」としている。

(日経)

京大の小出氏は、このような装置を使って、吸着させようとしても、結局うまくいかないのではないかとことをだいぶ前に指摘し、メルトスルーして格納容器に穴をあけた放射性燃料が、建造物の底のコンクリートを突き破り、大量の地下水汚染、海洋汚染に結びつかないよう、一刻も早く、地下ダム建設に着手しなければいけないのではないかとの見解を数日前に示している。

100日たって、汚染の広がりを食い止めるすべもない中、Wall Street Journalは、次のような記事を掲載している。

http://jp.wsj.com/Japan/node_251116


立ち上がる日本の母親たち-原発事故受け




【柏市】福島第1原子力発電所の事故を受けて、全国レベルでも地域レベルでも、日本の母親たちによる、子どもを事故の影響から守るための対策を当局者に求める動きが活発化している。
Kyodo /Landov
文部科学省の担当者に会いにきた福島県の母親たち(6月)
 母親たちは、ミクシーなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスなどで賛同者を集め、当局に圧力を掛けている。こうした母親たちの小さな団体は16日に都内で抗議活動を行い多くのメディアの注目を浴びた。こうしたデモは他の地域でも発生している。また、ネットを通じた母親同士の情報交換や、地方自治体に対策を要求する請願書の署名集めもさかんに行われている。
 政府は16日、いくつかの下水処理施設周辺の放射線量が高いとの苦情が1件寄せられたことを受けて、それら放射線量が基準値を下回るようにすべきだと述べた。政府当局はここ数週間、福島第1原発からかなり離れた場所にあるホットスポット(局所的に放射線量が高い場所)の放射線量を公表している。原発から約300キロ離れた神奈川でも最近、茶葉から放射性物質が検出されるなどホットスポットが確認されている。


福島第1原発から約200キロ離れた千葉県柏市は、市当局によると空間放射線量が毎時約0.3~0.4マイクロシーベルトと通常レベルを上回っており、首都圏で空間放射線量が最も高い場所の1つだ。そのため、子どもを持つ住民の中には引っ越しを検討し始める人も出ている。
 柏市当局と調査員は、高い放射線量が検知された理由について、福島第1原発の初期放射線によるものなのか、下流の汚泥処理施設からの2次放射線によるものなのか、あるいは両方によるものなのかは不明だとしている。
 米小児科学会(AAP)の放射線災害と子どもに関する一般的な方針説明では、大人よりも子どもの方が放射線被ばくによる悪影響を受ける危険性が高いとしている。その要因の1つは、子どもは1分間に吸い込む空気の量が大人よりも多いため、放射性ガスを吸い込みやすいことだ。
 また子どもは地面に近いため、より高濃度の放射性降下物にさらされる可能性が高いことも一因だ。AAPの環境衛生に関する委員会のリポートは、たとえ同じ放射線量にさらされたとしても、大人よりも子どもの方が放射線誘発がんなどの健康被害を受けやすいようだとしている。
 柏市では、母親らが中心となってネットを通じて1万人の署名を集め、子どもを放射線から守るために一段の対策を求める請願書を柏市役所に提出した。2日に柏副市長に会い、学校で毎日放射線量の測定を実施するよう要請した。だが、以来ほとんど進展はないという。
 柏市役所は6日から8日にかけて、管理下にある保育園、幼稚園、小・中・高等学校すべてで放射線量を測定し、高い放射線量を検知した。
 柏市広報担当者は、市役所には放射線の専門家がいないため専門家会議を設けたと述べた。その上で重要なのは冷静さを保ち、適切な情報を入手することだと述べた。
 東京都江東区では、3人の子どもを持つ石川綾子さん(33歳)が他の母親とともに「江東こども守る会」を結成した。同グループが先月実施した調査では、都内の汚泥処理施設の1つ「東部スラッジプラント」の周辺で、放射線量が毎時0.2マイクロシーベルトを超えていることが判明した。
 東京都大田区の東京湾一帯に位置する他の汚泥処理施設周辺の放射線量も高いことが判明した。これら施設では、都内の下水処理場で発生した汚泥を集めて焼却している。石川さんは、下水に流れ込んだ放射性降下物が汚泥処理施設に集められ、再び大気中に放出された可能性を疑い、江東区に問い合わせた。同区では、汚泥処理施設から放射性物質が放出されているとは考えていないという答えだった。



こういった「子供や孫の健康を守ってやりたい」という主婦や一般市民のささやかな運動があちこちで静かに広がっている。ご立派な政治家二世は、こうした動きを、愚かな女どもの過剰反応、あるいは、「集団ヒステリー」と一蹴するつもりだろうか。

だとすれば、政治家たちはあまりにも国民の声に真摯に耳を傾けるという姿勢からほど遠いと言わざるを得ない。

主婦たちは、なにも取るに足らない細かいことに突然過剰反応をし、騒ぎはじめたわけではない。

フクシマ第一の4号機のように停止中の原発でさえ、制御不可能になり得る危険性を孕んでおり、決して安心できないものであることを、国民は今回の事件によって初めて知ったのだ。

それだけではない。「今後30年以内に70%以上の高い確率で起こるかもしれない」と専門家によって言われている大地震が、この狭い小さな島国のどこかでまた起こり、今回と同様、老朽化した原発の配管が地震で壊れ、原発が制御不能に陥った場合、政府も、電力会社も、世界一を誇っていたはずの技術者集団も、エリート官僚も、全く無力であることをはっきりと見透かしてしまったのだ。

大企業や電力関連会社やそれに群がる政治家、中央官僚、御用学者の利権追求の犠牲になり、これまでのように黙っておとなしく目をつぶっていたら、ある日突然住む場所さえ追われ、家族の健康被害に終生悩まされ、着の身着のままで一家離散の憂き目に遭うような悲劇を、極力回避したいと強く望むのは、人間として誰しもが持つ当然の権利ではないのか。

日本の放射線安全学の専門家の多くは、放射能物質の影響に対する国民の過剰反応を恐れているという。ある放射線医学の専門家は、「自分はたくさんの放射線にさらされる職場で長年仕事をしてきたが、癌になっていない。だから、大丈夫」と言い放った。電力会社の鼻薬がどれほど効いているのか知らないが、科学者とも思われない、お粗末な説得力に欠いた説明である。

周知のとおり、日本では車を運転しながら携帯電話をすることは禁止されている。飲酒についても、もってのほかと禁じられている。

しかし、実際問題として、わずか2口、3口のビールを飲んで運転をしたふつうの大人(アルコールに弱い体質であるなどといった問題を持っていない人)が、大事故を引き起こし、誰かの命を奪う確率はどれほどのものだろうか。決して高くはないはずだ。

ある先進国では、がんがん携帯電話をかけまくりながら、ハイウエーを猛スピードで飛ばしている人が大勢いるし、アルコールを飲んだ後、運転している人も、まだたくさんいる。

20年以上飲酒運転や携帯電話をしながらの運転をしているけれども、未だに事故を起こしていない人のほうが多いからといって、飲酒運転や携帯電話をしながらの運転を我が国の法律で厳しく取締ることが、果たして過剰反応と言えるだろうか。

「起こらないかもしれないけれども、もし起こったら悲惨な結果になるかもしれないリスク」をできるだけ低減しようと務めることは、ヒステリーでもなければ、過剰反応でもなんでもない。

人が何人にも脅かされず、健康に・安全な社会の中で生きる権利があると考え、その権利を行使しようとするのは、極めて健全な反応である。

2011年6月16日木曜日

保安院さんでいいんですかぁ^^;

原発が一番深刻な事態に陥っていたとき、いたって冷静に「原発は安全」というメッセージを発し続けて来られたおなじみの保安院さん、

怖い情報、都合の悪い情報は、まず隠ぺい、小出し、あと出し専門の保安院さん、

最初に出てきた審議官の方だけが、「メルトダウンの可能性あり」とおっしゃったけど、その後からは、原発が専門ではない素人の方しか、スポークスマンとして出てこられないような保安院さん、

保安院さんには、皆の前に出てきて事象の説明がきちんとできる専門家の方が、お一人もいらっしゃらないのかしらと疑問に思いましたけどぉ^^;

原発が全電源喪失して最悪、水蒸気爆発するかもしれないような深刻な事態に陥っているときでさえ、東電から上がってくる情報の受け売りするだけで、いつに変わらぬ涼しい顔で「福島第一は安全」というメッセージを、発し続けて来られた保安院さん、

保安院さんって、我々庶民の生命の安全、健康被害の問題なんかそっちのけで、電力会社をはじめとする原発推進の立場にある企業や機関、そして底に所属する方々を擁護され、ひたすら原発の利権と安全を保障なさるお役目のお役所かって、私たちは思いましたけどぉーー^^;

その保安院さんが、この期に及んで、全国の原発が間に合わせにあわてて出してきた過酷事故対策の評価をなさるってですかぁ^^;

しかも全国の原発の審査を今月中になさって結論をお出しになるとか?

甘い基準でちゃっちゃと認め、どさくさまぎれに今、止まっている原発の再稼働させて、「もう再稼働、しちゃんたですから、仕方ないでしょう」ということで国民を諦めさせようとお考えなのでしょうけれども^^;

今回の甚大な組織的、人為的災害で、保安院さん自体のあり方が大きく問われているときに、何か違っていません?




 福島第一原発の事故を教訓に、炉心の冷却機能が喪失するような過酷な事故への対策を各電力会社がまとめ、原子力安全・保安院に提出しました。

 保安院は、福島第一原発で発生した水素爆発の防止策や、停電の時でも連絡体制が維持できる通信手段の確保など短期的に対応できる5項目について、原発を持つ全国の電力会社に対策を実施するよう指示していました。各電力会社は、水素を逃すために建屋に開放部を設けるなどそれぞれの原発に応じた対策や手順をまとめ、14日に政府に報告しました。保安院は報告内容を審査するとともに、15日から全国すべての原発に立ち入り検査に入り、実施状況を確認しています。審査結果については、今月中に公表する方針です。

 福島第一原発の事故を教訓に、炉心の冷却機能が喪失するような過酷な事故への対策を各電力会社がまとめ、原子力安全・保安院に提出しました。

 保安院は、福島第一原発で発生した水素爆発の防止策や、停電の時でも連絡体制が維持できる通信手段の確保など短期的に対応できる5項目について、原発を持つ全国の電力会社に対策を実施するよう指示していました。各電力会社は、水素を逃すために建屋に開放部を設けるなどそれぞれの原発に応じた対策や手順をまとめ、14日に政府に報告しました。保安院は報告内容を審査するとともに、15日から全国すべての原発に立ち入り検査に入り、実施状況を確認しています。審査結果については、今月中に公表する方針です。



2011年6月15日水曜日

上に立つ者がなすべきことは?

乗客を飛行船から無事脱出させ、自らは操縦桿を握ったまま墜落死したオーストラリアの操縦士の話が今、オーストラリアで反響を呼んでいるという。


利己主義、自己保身、既得権益の保持にやっきになっている日本のリーダーには爪の垢でも煎じてもらいたいものだ。

電力関連企業は今原発運転・工事再開に躍起である。昨日も関電の社長が、経産大臣に対して国が運転再開の努力をするよう要請を行ったという。

私はどうしても原発をやりたい者は、原発に反対する者からはるか遠く離れたところで勝手にやればいいと思う。

むろんその前にまず送電線を分離し、国民は自分の好きな会社から好きなエネルギー源を選べることが前提条件だ。

その上で原発の電力が買いたい者は原発推進の電力会社からエネルギーを買えばいい。そういう電力会社は、これまでどおり電気代をピンハネし、地元や役人や政治家を買収して原発仲間を作ればいい。ただし前にも書いたが、万が一原発で大きな事故がおきたときは、それがどんな事故であれ、消費者を含めた推進者は全員ですべての自己責任を負うこと。原発の恩恵を浴したのなら、それは当然であろう。

それからもう一つ、ぜひ守ってもらいたいことがある。

電力関連会社にとって、日本の経済産業の発展に原発がそれほどにも重要であると思うのならば、電力関連会社や機講の原子力部門の技術者や役員、原発を推進する省庁の管理職官僚、国会議員、御用学者は原発の3~10キロ圏内に家族を伴って居を移し、そこで生活してもらいたい。

彼らはそこで毎日生活し、発電所から飛んでくる空気を吸い、水を飲み、地産地消の農作物・水産物を食し、子育てをしてもらいたい。「3~10キロ圏内はたとえ原発がメルトダウンを起こしていても、ただちに健康の被害はない」距離なのだから、(事故後の政府の対応が適切だったとIAEAも太鼓判を押しているというのだから)全く何の異存もあるまい。

政治家であれ、企業家であれ、技術者であれ、研究者であれ、官僚であれ、国のリーダーたるもの、自ら襟を正して、率先垂範あるのみである。

「風評被害はけしからん」と、1度や2度、短時間現地を申し訳け程度訪問し(訪問していない専門家も多いが)、報道陣の前で、どこで仕入れてきたかわからないようなきゅうりや苺を一口だけ食べてみせるだけでは、「パフォーマンス」とみられても致し方ない。現にホットスポットで生活している人たちは、寝てもさめても、朝から晩まで毎日そこの空気を吸い、水を飲み、地元で捕れたものを食し続けているのだからーー。

大体、国の命運を分けるような大きな事故の収束が一向進まないような時に、原発推進に回ってきた責任ある立場の方々のほとんどが、首都圏で高みの見物を決め込んでおられる事自体が、とても理に合わない、不可解なことである。

まだ記憶に新しいと思うが、メルトダウンの後、東電はフクシマ第一から社員全員を退避させたいと政府に打診したという話があったが、まことにもってひどい話である。

恥をしらない大人たちがふんぞり返ってこの国を闊歩している日本の現状は誠にもって嘆かわしい。


東電、福島原発からの全員退避を打診 首相は拒否

  • 2011年03月18日 09:25 発信地:東京
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【3月18日 AFP】18日の毎日新聞(Mainichi Shimbun)によると、東京電力が今週初め、福島第1原子力発電所からの職員全員の退避許可を、政府に求めていたことが分かった。菅直人(Naoto Kan)首相は、これを拒否したという。

 東電は14日、爆発事故などが起こり、高濃度の放射性物質が漏出した福島第1原発で、復旧作業を続けるのは困難と判断し、職員全員退避の方針を政府に打診した。

 これに対し菅首相は「撤退はあり得ない。東電がつぶれるということではなく、日本がどうなるかという問題だ」とはねつけたという。

 一方、東電関係者は「『撤退は許さない』というのは『被ばくして死ぬまでやれ』と言っているようなもの」だと不満を口にした。

 福島第1原発では最大5000人の職員が働いていた。東電は同原発にとどまっている職員の数を明らかにしていないが、一部報道では70人程度と伝えられている。(c)AFP




飛行船の操縦士、乗客を無事脱出させて墜落死

2011.06.15 Wed posted at: 13:23 JST
(CNN) 上空で事故を起こした小型飛行船から乗客3人を無事脱出させた後に、操縦桿を握ったまま墜落して死亡したオーストラリア人操縦士の行動が14日、母国で広く報道され反響を呼んでいる。

報道によると、事故は12日にドイツのライヒェルスハイムで起きた。飛行船は新聞社やテレビ局のカメラマンなど3人の乗客を乗せて現地のフェスティバルを上空から取材し、戻る途中だったが、突然エンジンから大きな音がして燃料臭がたちこめた。

操縦士のマイケル・ネランジックさん(53)はすぐに事態を察知。地上からわずか2メートルの地点まで降下し、3人の乗客に飛び降りるよう指示した。

3人の脱出で軽くなった飛行船は高度50メートルまで上昇し、空中で火を噴いて墜落した。

ネランジックさんの妻リンディーさんはオーストラリアの新聞の取材に対し、3人が飛び降りれば飛行船が上昇することは分かっていたはずだが、夫は身を犠牲にして乗客を救ったと語った。墜落後、操縦桿を握ったままの姿で発見されたといい、地上スタッフからできるだけ離れた場所に墜落させようとしたとみられる。

この話を聞かされても少しも驚かなかったというリンディーさんは、「彼はそういう人だった。とても偉大で、本当に、本当に心が広かった」と振り返った。

飛行船を所有するライトシップ・グループによると、ネランジックさんは26年にわたって1万8000時間の飛行船操縦経験を持つベテランだった。

上空で事故を起こした小型飛行船から乗客3人を無事脱出させた後に、操縦桿を握ったまま墜落して死亡したオーストラリア人操縦士の行動が14日、母国で広く報道され反響を呼んでいる。