昨日、日本全国あちこちで、まだ本格的な夏でもないのに、がんがんクーラーを効かせた電車の温度設定についてブログに書いたばかりだったので、東京新聞のこんな記事が目に飛び込んできた。
制限令などと仰々しいことをやらなくても、企業が節電に対して思い切った決断なり、姿勢(発送電分離を含めた電気事業法改革に対するサポートや、良識的かつ自主的な節電)を示せば、すむ話ではないかと思うのは、薔薇っ子だけだろうか。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011061990071151.html?ref=rank
節電の夏どうする 鉄道各社に制限令
2011年6月19日 07時11分
朝6時台の利用客が増加した京王線新宿駅=16日午前6時35分、東京・西新宿で |
福島第一原発の事故を受け、電力不足が懸念される今夏、首都圏の鉄道各社は「節電の夏」への対応に知恵を絞っている。日中の運転本数を減らす節電ダイヤを中心に、車内冷房を弱めるなど対策はさまざま。利用客に不便を強いるため、苦情も出かねないが、試行錯誤しながら節電に取り組む。 (石川修巳)
「JRになって初めての経験。実際のところ、電力需給がどうなるのか見通しがつかない」。夏の特別ダイヤを二十四日に始めるJR東日本の担当者はそう話す。
七月からの電力使用制限令は、一時間に六本以上運行する路線で、平日正午~午後三時の使用最大電力を昨年より15%減らすよう求めている。同社も山手線や中央線、東海道線など十五の路線で、運転本数を平均で一割強減らす計画だ。
バリアフリー設備を除き、日中の駅構内の消灯やエスカレーターも一部を止める。そもそも山手線や京浜東北線などは、火力・水力の自営発電所の電力で運転しており制限令の対象外だが、運転を減らした余剰電力を東京電力に売り、供給に協力するという。
今夏のダイヤのひとつの特徴は、早朝時間帯や土休日の運行の拡充だ。就業時間を繰り上げるサマータイム制の導入や、休日をずらす動きが広がっているため。
東急は東横線と田園都市線で、上り始発電車を最大十五分早めて午前四時台にする。渋谷駅では他社線の一、二本早い電車に乗り換えられるようになるという。終電の繰り上げはしない。
小田急は平日、土休日ともに同五~六時台を中心に増発。京王も「新宿駅の六時台の降車人員が前年同月に比べ16%増えた」として平日早朝の増発を決めた。
鉄道各社が打ち出す節電策の中で、対応が分かれるのが、車内の空調温度の設定だ。
JR東や小田急、京浜急行、京成は日中の空調温度を引き上げて「弱冷房」に。通常より二度高いおおむね二八度に設定する。一方、東京メトロや都営地下鉄、京王、西武、東武は「例年通り」とした。「15%削減は運転本数減でカバーできる」(西武)とみている。
また、熱がこもりやすい地下鉄は「駅冷房」も使うが、メトロ、都営ともに一部時間帯に停止する。「使用電力に占める割合が高めで、必要な範囲で止めざるを得ない」(都交通局)とする。各社とも、天気や混み具合をにらみながら柔軟に対応するという。
(東京新聞)
オフィス、公共交通機関、宿泊施設、映画館などの遊興施設を冷房で冷やしすぎるために、冷房病で夏、体調を崩す人間が日本には多い。日本が何でもお手本にする、アメリカの地下鉄、電気代は安くて日本の比ではないがーーN.Y.の主要な駅でもエレベーターや江スカレーターなんてなかなかないし、マンハッタンのタイムズ・スクエアの地下道や、ポートオーソリティのバス乗り場にいたっては、夏は40度を超える灼熱の暑さである。東京に限らず、役所を始め、全国の公共交通機関や地下街、遊興施設は、冷房温度の見直しを、自主的かつ徹底的に行うべきである。
ここ数年、夏になると熱中症のニュースが話題にのぼる。たしかに大都会のコンクリート・ジャングルと、昨今の異常気象が相俟っていることは事実である。しかし熱中症で運ばれた人の多くは、真夏の体育館や運動場での無理なトレーニングがたたった青少年や、すでに体力がなくなり、加齢によって気温の変化やのどの渇きに対して感覚が鈍磨になった高齢者や、二日酔いの体調不良を引きずったまま、帽子をかぶることも、日傘を差すこともせず、横着に炎天下屋外を歩きまわった人々である。
空調の設定温度が問題なのではなく、むしろその逆で、オフィスや商談で入った冷房の効き過ぎたレストラン、喫茶店から外に出たときの温度差が身体に及ぼす影響のほうが、はるかに大きい。
電車に空調を入れる前に、まず窓を空けて風を入れてはどうなのか。特に今の季節は、雨が降らない限りは、まだそれで十分に対応できるはずである。
軍隊でもあるまいし、制度や法律を作って、一、二の三で右にならえをさせなくても、満員電車の混雑を避けたい人は、他の人々に同調するのではなく、自分で早めに起きて出勤すればいいし、天気のいい日は早朝自転車や原付で移動すればいいのである。ださいだの何だのとつまらないことを言ってないで、炎天下で倒れそうになる前に、男性も、日よけ帽をかぶってオフィス街を闊歩すればいいのである。
夏は本来暑いもの、大人も子供も、日頃から身体を鍛え、我慢することを身体に叩き込んでおきさえすれば、こんなことは問題にもならないはずである。平安時代の貴族の女たちは十二単を身につけ、戦国時代の武将たちは真夏でも鎧兜をつけて敵と戦った。戦争中都会に残された多くの高齢者やおんな、子供は飢えに苛まれながらも、灼熱の防空壕の中で身を潜めて皆、耐えたのである。
いや首都圏のラッシュ時の混雑は特別だからと反論する人も多いと思う。しかし、職種によっては、フレックス・タイムで十分に対応できるものもあるのだから、企業側が勤務時間を調整するなど、工夫次第でなんとでもなる。
ちなみに、首都圏のラッシュの抜本的な解決は、首都機能移転で一気に解消できる。
社会の在り方そのものが根本的に変わろうとしている状況下において、今最も必要なのはフレキシブルな発想の転換である。
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