ぱっとした小説家でもなかったが、大きな芸能プロダクションの基を作った人気俳優の兄ということで話題になり、マスコミをバックにつけて以来、言いたい放題、やりたい放題でやってきた傲慢不遜な父親と、親の七光りで保守政党の中堅にのし上がった息子、親が親ならば、子は子だ。
彼らのように、品性を疑うような暴言を繰り返しても、黙って看過ごされる政治家もあれば、ちょっとした失言がもとで、完膚なきまでに叩かれて職を追われる者もいる。日本のマスコミは哀しいほど権力に弱い。
父親のほうは、2000年だったかに公の場で「東京湾に原発を作ったらいい」という発言さえしている。むろん、こんな人物に懲りずに投票する選挙民がいることが一番情けないのだけれども。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110615/stt11061508010002-n1.htm
自民・石原氏、反原発は「集団ヒステリー」
2011.6.15 07:57
自民党の石原伸晃幹事長は14日の記者会見で、東京電力福島第1原発の事故後、反原発の動きが広がっていることについて「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる」と述べた。
「反原発は簡単だ。脱原発というのも簡単だ。しかし生活を考えたときどういう選択肢があるのか示さなければいけない」とも指摘した。
今日、海江田経産大臣は、点検中の原発の再開を各地方自治体に要請したという。しかし、
アメリカとフランスの装置を導入して始まった汚染水浄化作業は、早々と行き詰まりを見せている。
震災から100日、原発のニュースは、テレビでもほんの短い時間に取り上げられるようになったが、実際フクシマ原発は何も改善していない。
http://www.nikkei.com/news/special/related-article/g=96958A9693819595E3E5E2E0838DE3EAE2E4E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;q=9694E3E0E2E1E0E2E3E3E5E6E2EA;p=9694E3E0E2E1E0E2E3E3E5E6E2E1;o=9694E3E0E2E1E0E2E3E3E5E6E2E0
福島第1原発、汚染水浄化を停止 再開見通し立たず
- 2011/6/18付
東京電力は18日、福島第1原子力発電所の汚染水浄化装置を未明に停止したと発表した。放射性物質のセシウムを除去する装置の放射線量が高まり、想定の1カ月後を待たずに交換基準に達したため。水漏れなどの警報は出ていないが、東電は「再開の見通しは立っていない。1週間以内に対応する」と説明。原子炉の冷却に処理水を再利用する「循環注水冷却」を18日にも予定していたが、先送りは避けられない。
最優先に取り組む汚染水対策が17日午後8時の処理開始から早くも滞った。米キュリオン社製のセシウム吸着装置で、1時間当たり4.7ミリシーベルトの放射線量を計測。18日午前0時54分に運転を停止した。午前3時すぎから低い濃度の汚染水を流して、点検している。
吸着材は当初、1カ月に1度の交換を考えていた。東電は18日「放射性物質を含む汚泥が流れ込んだか、近くの配管の(放射線の)影響も考えられる」としている。
(日経)
京大の小出氏は、このような装置を使って、吸着させようとしても、結局うまくいかないのではないかとことをだいぶ前に指摘し、メルトスルーして格納容器に穴をあけた放射性燃料が、建造物の底のコンクリートを突き破り、大量の地下水汚染、海洋汚染に結びつかないよう、一刻も早く、地下ダム建設に着手しなければいけないのではないかとの見解を数日前に示している。
100日たって、汚染の広がりを食い止めるすべもない中、Wall Street Journalは、次のような記事を掲載している。
http://jp.wsj.com/Japan/node_251116
立ち上がる日本の母親たち-原発事故受け
【柏市】福島第1原子力発電所の事故を受けて、全国レベルでも地域レベルでも、日本の母親たちによる、子どもを事故の影響から守るための対策を当局者に求める動きが活発化している。
母親たちは、ミクシーなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスなどで賛同者を集め、当局に圧力を掛けている。こうした母親たちの小さな団体は16日に都内で抗議活動を行い多くのメディアの注目を浴びた。こうしたデモは他の地域でも発生している。また、ネットを通じた母親同士の情報交換や、地方自治体に対策を要求する請願書の署名集めもさかんに行われている。
政府は16日、いくつかの下水処理施設周辺の放射線量が高いとの苦情が1件寄せられたことを受けて、それら放射線量が基準値を下回るようにすべきだと述べた。政府当局はここ数週間、福島第1原発からかなり離れた場所にあるホットスポット(局所的に放射線量が高い場所)の放射線量を公表している。原発から約300キロ離れた神奈川でも最近、茶葉から放射性物質が検出されるなどホットスポットが確認されている。
福島第1原発から約200キロ離れた千葉県柏市は、市当局によると空間放射線量が毎時約0.3~0.4マイクロシーベルトと通常レベルを上回っており、首都圏で空間放射線量が最も高い場所の1つだ。そのため、子どもを持つ住民の中には引っ越しを検討し始める人も出ている。
柏市当局と調査員は、高い放射線量が検知された理由について、福島第1原発の初期放射線によるものなのか、下流の汚泥処理施設からの2次放射線によるものなのか、あるいは両方によるものなのかは不明だとしている。
米小児科学会(AAP)の放射線災害と子どもに関する一般的な方針説明では、大人よりも子どもの方が放射線被ばくによる悪影響を受ける危険性が高いとしている。その要因の1つは、子どもは1分間に吸い込む空気の量が大人よりも多いため、放射性ガスを吸い込みやすいことだ。
また子どもは地面に近いため、より高濃度の放射性降下物にさらされる可能性が高いことも一因だ。AAPの環境衛生に関する委員会のリポートは、たとえ同じ放射線量にさらされたとしても、大人よりも子どもの方が放射線誘発がんなどの健康被害を受けやすいようだとしている。
柏市では、母親らが中心となってネットを通じて1万人の署名を集め、子どもを放射線から守るために一段の対策を求める請願書を柏市役所に提出した。2日に柏副市長に会い、学校で毎日放射線量の測定を実施するよう要請した。だが、以来ほとんど進展はないという。
柏市役所は6日から8日にかけて、管理下にある保育園、幼稚園、小・中・高等学校すべてで放射線量を測定し、高い放射線量を検知した。
柏市広報担当者は、市役所には放射線の専門家がいないため専門家会議を設けたと述べた。その上で重要なのは冷静さを保ち、適切な情報を入手することだと述べた。
東京都江東区では、3人の子どもを持つ石川綾子さん(33歳)が他の母親とともに「江東こども守る会」を結成した。同グループが先月実施した調査では、都内の汚泥処理施設の1つ「東部スラッジプラント」の周辺で、放射線量が毎時0.2マイクロシーベルトを超えていることが判明した。
東京都大田区の東京湾一帯に位置する他の汚泥処理施設周辺の放射線量も高いことが判明した。これら施設では、都内の下水処理場で発生した汚泥を集めて焼却している。石川さんは、下水に流れ込んだ放射性降下物が汚泥処理施設に集められ、再び大気中に放出された可能性を疑い、江東区に問い合わせた。同区では、汚泥処理施設から放射性物質が放出されているとは考えていないという答えだった。
こういった「子供や孫の健康を守ってやりたい」という主婦や一般市民のささやかな運動があちこちで静かに広がっている。ご立派な政治家二世は、こうした動きを、愚かな女どもの過剰反応、あるいは、「集団ヒステリー」と一蹴するつもりだろうか。
だとすれば、政治家たちはあまりにも国民の声に真摯に耳を傾けるという姿勢からほど遠いと言わざるを得ない。
主婦たちは、なにも取るに足らない細かいことに突然過剰反応をし、騒ぎはじめたわけではない。
フクシマ第一の4号機のように停止中の原発でさえ、制御不可能になり得る危険性を孕んでおり、決して安心できないものであることを、国民は今回の事件によって初めて知ったのだ。
それだけではない。「今後30年以内に70%以上の高い確率で起こるかもしれない」と専門家によって言われている大地震が、この狭い小さな島国のどこかでまた起こり、今回と同様、老朽化した原発の配管が地震で壊れ、原発が制御不能に陥った場合、政府も、電力会社も、世界一を誇っていたはずの技術者集団も、エリート官僚も、全く無力であることをはっきりと見透かしてしまったのだ。
大企業や電力関連会社やそれに群がる政治家、中央官僚、御用学者の利権追求の犠牲になり、これまでのように黙っておとなしく目をつぶっていたら、ある日突然住む場所さえ追われ、家族の健康被害に終生悩まされ、着の身着のままで一家離散の憂き目に遭うような悲劇を、極力回避したいと強く望むのは、人間として誰しもが持つ当然の権利ではないのか。
日本の放射線安全学の専門家の多くは、放射能物質の影響に対する国民の過剰反応を恐れているという。ある放射線医学の専門家は、「自分はたくさんの放射線にさらされる職場で長年仕事をしてきたが、癌になっていない。だから、大丈夫」と言い放った。電力会社の鼻薬がどれほど効いているのか知らないが、科学者とも思われない、お粗末な説得力に欠いた説明である。
周知のとおり、日本では車を運転しながら携帯電話をすることは禁止されている。飲酒についても、もってのほかと禁じられている。
しかし、実際問題として、わずか2口、3口のビールを飲んで運転をしたふつうの大人(アルコールに弱い体質であるなどといった問題を持っていない人)が、大事故を引き起こし、誰かの命を奪う確率はどれほどのものだろうか。決して高くはないはずだ。
ある先進国では、がんがん携帯電話をかけまくりながら、ハイウエーを猛スピードで飛ばしている人が大勢いるし、アルコールを飲んだ後、運転している人も、まだたくさんいる。
20年以上飲酒運転や携帯電話をしながらの運転をしているけれども、未だに事故を起こしていない人のほうが多いからといって、飲酒運転や携帯電話をしながらの運転を我が国の法律で厳しく取締ることが、果たして過剰反応と言えるだろうか。
「起こらないかもしれないけれども、もし起こったら悲惨な結果になるかもしれないリスク」をできるだけ低減しようと務めることは、ヒステリーでもなければ、過剰反応でもなんでもない。
人が何人にも脅かされず、健康に・安全な社会の中で生きる権利があると考え、その権利を行使しようとするのは、極めて健全な反応である。
0 件のコメント:
コメントを投稿