全電源喪失「考慮は不要」、安全委が東電・関電に作文指示
2012/6/5 1:59
原子力発電所で長時間の全電源喪失を「考慮する必要はない」とした国の安全設計審査指針について、1992年に原子力安全委員会が東京電力と関西電力に対し、改正は不要という報告書案の作成を指示していたことが、4日わかった。安全委は東電案を報告書に採用し、指針改正を見送っていた。
当時、適切に指針を改正して対策を取っていれば、福島第1原発事故を防げた可能性もある。班目春樹委員長は4日に記者会見し「今から考えると不適切なことをやっていた」と当時の安全委の対応を批判した。
指針を見直すかどうかの資料の情報公開請求を受けた安全委は、昨年10月に「全ての文書」と称してホームページに載せたが、東電などに指示した文書は含まれていなかった。国会の事故調査委員会が全資料を公表するよう2度にわたって要求し、安全委は4日に資料を公表した。
安全委事務局は「文書の存在は知っていたが、昨年10月に全部出したと思い込み、公表を失念していた」と説明した。
公表した92年10月の報告書骨子(案)には「原稿担当」として「事務局」「電力」が並び、報告書の章ごとに誰が分担する予定かを記載。安全委が電力会社に送った文書では「中長時間の全電源喪失を考えなくて良い理由を作文して下さい」と指示。東電からの回答文書には「これでOK」との書き込みがあった。
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