2011年11月29日火曜日

http://mainichi.jp/select/science/news/20111130k0000m040020000c.html


玄海原発1号機:専門家「廃炉を」 保安院小会合で検討へ

玄海原発1号機(右)=佐賀県玄海町で、本社ヘリから田鍋公也撮影
玄海原発1号機(右)=佐賀県玄海町で、本社ヘリから田鍋公也撮影
 経済産業省原子力安全・保安院が29日に開いた原発の老朽化(高経年化)対策に関する意見聴取会で、九州電力の原発で最も古い玄海原発1号機(佐賀県玄海町)の劣化の問題が取り上げられた。専門家からは、圧力容器の想定以上の劣化が明らかになったとして、廃炉を求める意見も上がり、劣化に関する現行の安全評価を見直すべきか小会合を設置して検討することを決めた。
 75年に運転が開始された玄海1号機は、炉心から出る中性子を浴びて圧力容器がもろくなる「脆化(ぜいか)」の進行が従来予測を大幅に上回っていることが判明し、急激に冷却すると圧力容器が壊れやすくなっているとの指摘がある。
 同1号機は来月1日から定期検査入りするが、小会合が安全評価の結論を出すのは来年3月末までの予定で、少なくともそれまでは再稼働が厳しくなる可能性が出てきた。また結論次第では九電の「安全性に問題はない」との説明を揺るがしかねず、廃炉を求める声が一層強まりそうだ。
 この日の意見聴取会では、井野博満・東大名誉教授が「予測をはるかに超えた劣化が進む玄海1号機を廃炉にすべきだと思う」と主張し、定期検査後の再稼働は「聴取会での議論もクリアすべき必要条件だ」と指摘。他の委員からは「圧力容器の安全性を評価する従来の手法そのものも見直す必要がある」との意見が出た。【阿部周一】
毎日新聞 2011年11月29日 19時19分(最終更新 11月29日 20時20分)

この国と原発:第3部・過小評価体質/4 耐用年数「限りなく」

製造中の圧力容器。老朽化しても取り換えが困難とされている=広島県呉市のバブコック日立呉事業所第2工場で07年11月、宇城昇撮影
製造中の圧力容器。老朽化しても取り換えが困難とされている=広島県呉市のバブコック日立呉事業所第2工場で07年11月、宇城昇撮影

 ◇「老朽」と呼ばぬ理屈

 「そちらの質問で初めて知りました」。10年12月、金属材料に詳しい井野博満・東京大名誉教授は、経済産業省原子力安全・保安院の課長補佐の回答にあっけにとられた。
 質問したのは、九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町、75年運転開始)の老朽化を巡る問題。九電が1号機の圧力容器について、09年時点の状況を分析したところ、炉心からの中性子を浴びることで材質がどの程度もろくなったかを示す「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」が「98度」と国内最高を記録し、未知の領域に入った。この数値が高いと、事故時に圧力容器が損傷する恐れがある。93年時点の56度から一気に跳ね上がり、九電内では「こんなに高いなんて」と驚きの声が上がったという。
 原発の老朽化対策は新品への交換が原則だが、圧力容器は交換が難しい。九電は「(国も認める)規定で評価した結果、損傷が起きる状態まではかなり余裕がある」と説明する。だが、規定が示す損傷の予測式は、定められた条件下での試算でしかなく、井野名誉教授は「前提条件を変えたり、別の式で評価すると、それほど余裕はない」と話す。
 そもそも予測式自体が改定を重ねている段階で、確定した式ではない。長谷川雅幸・東北大名誉教授(原子炉材料学)は「規定に十分な実績があるとはいえない。予想外の温度は何かの兆候かもしれない。慎重に対応すべきだ」と指摘する。
 こうした「老朽化」を日本の原発関係者は「高経年化」と呼ぶ。「必要に応じて設備などを取り換えており、理論上、原発は限りなく寿命を延ばせる。老朽化することはない」(原子力安全基盤機構の資料)との理屈だ。
 国内で原発建設が始まった60~70年代ごろ、主要機器の耐用年数は30~40年と想定されていた。だが、原発の新増設が難しくなってきた90年代後半、通商産業省資源エネルギー庁(当時)は、60年運転も視野に長寿命化へかじを切る。30年目を迎える原発は国に運転継続の認可を申請し、その後は10年ごとに申請する仕組みだ。
 今、運転30年を超えた原発は福島第1原発の全6基を含め19基に上り、うち日本原子力発電敦賀原発1号機など3基は40年を超えている。これまでの原発の歴史は「想定外」の連続だった。圧力容器内の隔壁や蒸気発生器など、設計時に交換を想定していなかった重要機器で、取り換えが必要になったケースは枚挙にいとまがない。
 今注目されている課題の一つは、原発1基で総延長2000キロにも及ぶ電気ケーブルだ。絶縁体がもろくなって断線すれば、原発を制御できなくなる。全ケーブルの確認は不可能で、細いケーブルは現場で調べる方法すら確立していない。
 原子力資料情報室の上澤千尋さんは「ボロボロだが何とか生き延びさせるという発想は、老朽化を軽視している」と批判する。
 野田佳彦首相は就任会見で「寿命がきた原発は廃炉にする」と明言した。だが「寿命」の定義は定かでない。現在、関西電力美浜原発2号機が40年超の、四国電力伊方原発2号機が30年超の認可を求め、保安院の審査を受けている。=つづく

中立性のある事故調査委員会は?

原発事故に関する調査委員会は、事故後いくつも作られている。

まず失敗学の畑村氏を委員長にする責任の所在を究明しない曖昧な調査委員会が作られた後、当事者である東電が内部に調査委員会を作り、続いて民間が調査委員会を作り、さらに今頃になって、国会が新しい事故調査委員会を作るという。

どの調査委員会のメンバーを見ても、最初に結論ありきの恣意的な人事であることが気になる。

大きな災害を起こし、嘘を積み重ねてきたような電力会社が作成した事故調査報告の信ぴょう性を疑わないのは、原子力神話に洗脳されてしまった原発関係者ぐらいのものであろうし、論外である。

しかし、それ以外の委員会についてみても、まず委員長に失敗学や腎臓の専門家など、それぞれの専門分野では功なり、名を遂げた科学者ではあっても、原子力工学に関しては全くの素人をトップに据えている点が特徴的である。

第2の特徴は、民間有識者と称して、元霞が関官僚や、原発推進企業と関わりのある企業や機関に関係する、あるいは原発推進、擁護に関して大きな発言力を持つビッグマウスの大学人や企業人、そうでなければ田中耕一氏など、これまた分野違いの有名な科学者を起用して、何とか権威性を顕示しようと腐心している点である。

そしてもう1点共通するのは、原発に詳しく、かつ事故の原因を企業や電力会社の利害からは離れた立場で解明できる京大の今中氏や小出氏や、元原発設計者の後藤正志氏らが、どの調査委員会にも全く起用されていない点である。

このような真の専門家をあえて起用しない素人集団の寄せ集めのような委員会、事故の責任を徹底的に追究しない調査委員会をいくつ作ってもどれほどの意味があるのであろうか。すべて無駄である。

いずれも調査委員会の結論は始めから見えている。原発の再稼働にしか目のない東電や政府の調査委員会は、責任の所在を不明にしたまま、地震の影響ではなく津波の影響で原発は壊れたと結論することは自明であるし、民間の調査委員会に関しても、脱原発をよしとしない出資者の思惑を反映した人選が巧妙になされ、そのような集団が最終的に出してくる結論は決まりきっている。

多くの国民がこれほど甚大な被害を受け、日々健康不安に苛まれているというのに、一部の心ある弁護士の方々を除いて、司法はただ手をこまねいて高見の見物をしているだけである。

これで法治国家と言えるのだろうか。もっとも8ヶ月半もあれば、既に都合の悪い証拠は関係者の手で十分にもみ消された後であろうから、今更司法が動いたところで、後の祭りであろうがーー。


http://www.asahi.com/politics/update/1130/TKY201111290732.html

ノーベル賞の田中耕一さん起用へ 国会原発事故調委員





 東京電力福島第一原発事故を検証する国会の事故調査委員会の委員に、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一・島津製作所フェロー(52)の起用が固まった。衆参両院議院運営委員会は合同協議会を12月1日に開いて承認し、衆参両院議長が2日にも任命する。
 田中氏は1983年、東北大学工学部卒。島津製作所に入社し、2002年にたんぱく質の質量や立体構造を解析する方法の開発でノーベル化学賞を受賞した。現在は内閣府総合科学技術会議専門委員も務めている。原子力は専門外だが、「原子力村とは違う科学的な視点で事故を検証してもらう」(民主党議員)との観点で選ばれた。
委員長には黒川清・元日本学術会議会長が内定している。

11月24日 「非常用復水器が止められた理由」小出裕章(MBS)


2011年11月24日(木)、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。東京電力が発表した非常用復水器が機能しなかった可能性について、言及しました。




千葉「はい。えーそれでは次ですけれども。国会に設置された福島第一原発事故調査委員会の委員長が、この度、最終調整に入ったというニュースが伝わって来ているんですが。この委員長に、起用される方向になった方というのが、黒川清さんという方で、元日本学術会議会長さんなんだそうです。で、え、東大医学部卒のお医者さんで、内科腎臓学が専門で、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授などを勤められた経歴を持っているかただということですが。小出さんはこの人事、どう思われますか?」
小出「はい。申し訳ありませんが、私は医学に関しては素人で、黒川さんというかたについても、よく知りません。え、ただし、福島原子力発電所の事故、というものは、むしろ医学とは関係のない、え……工学であるとか、まあ、そうですね、海洋学であるとか、気象学であるとか、まあそういうところが関連して起きているわけで。まあ最終的には人間の被曝生物の被曝ということまで問題になりますけれども。やはり私は機械としての原子力発電所の事故と、いうことをきちっと解明することのほうが先だと思います」
千葉「うーん……。なるほど……。そうしたらやっぱりそういう方向で人材を選んでいかないといけないということですね」
小出「私としてはそうだろうと思うのですが。えー……う……沢山の方を束ねて審議をしていかなければいけないので、それなりの力量を持った方でなければいけないと思いますし。難しい判断だろうと思います」
千葉「はい。それからこういうニュースも入っております。東京電力はおととい、福島第一原発1号機で、緊急時に原子炉を冷やす、非常用復水器が、津波が到達した後に十分機能していなかった可能性があるとの調査結果をまとめたということなんです。まずこの、非常用復水器というのは小出先生、なんですか?」
小出「はい。えー……、原子炉ってのは常に冷やしておかなければ壊れてしまうというそういう機械なのです。ただし今回の事故の場合には、地震と津波によってすべての電源が奪われてしまいましたので、ポンプを動かすことができなくなった、のですね。で、そういう時に備えて、この非常用復水器というのがありまして。電気がなくてもいい、ポンプが動かなくてもいい、とにかく原子炉の中で蒸気が発生したその蒸気の力で、えー原子炉を冷やせるようにしようという、かなり特殊な機械だった、のです。えーそれが全く動かなかったということはもう事故の当初からわかっていまして、え、なぜそれが動かなかったということをきちっと解明しなければいけない課題、でした。」
千葉「はい。で今回ですね。東京電力は熱交換で発生する冷却水が60%残っていたため、冷却機能が不十分だったと正式に認めたということなんですが。」
小出「はい」
千葉「本来ならこの機械がこんな状態ではだめなんですよねえ」
小出「そうです。はい。あの、沢山の蒸気を冷やすために、その冷却水の方もどんどん減ってくはずだった、空っぽになるまでむしろやらなければいけなかったわけですけれども。途中の段階で、本来まだ働く力が残っているのにとめてしまったという状態、になっているわけですね」
千葉「ふー……。この非常用復水器は地震が起きたときに自動で動き出したのに、運転員が手動でとめて再起動させたと伝えられているんですけれども」
小出「はい」
千葉「これは適切なやり方なんですか?」
小出「えー、まあ色々なマニュアルがあるのですけれども。今回のような大変な非常事態ですから、とにかく原子炉を冷やすということを最優先にしなければならないはずでしたし。多分運転員もそのことは十分知っているはずだと、思います。え、それでも非常用復水器を止めてしまったということには、なにか別の原因があったのではないかと、私は思います。えーその1番、考えられるというか、重要な原因というのは、どこか配管が破れてしまっていて、その非常用復水器を動かそうとするとむしろ冷却材が流れていってしまうので、仕方がなくてその、回路を閉じたということではないかなと私は推測しています」
千葉「うーん。藤田さんいかがですか」
藤田「そうですね。あの、この発表がですね。もうその、事故の発生から8ヶ月以上も立ってるわけでしょ」
小出「はい」
藤田「で、それだけの期間が立たないと、こういうことがわからないものなのですか」
小出「そんなことはありません。もう当初から分かっていたはずですし。なんでこんな今頃になって、言い出したのかなと私はむしろ不思議に思いました」
藤田「うーん。やっぱりなにかその、人災的な、その都合の悪い問題があってですね、今まで公にしなかったの、ではないかと、そう勘ぐられても仕方のないようなですね、あの、時期だと思うんですが」
小出「そうです。私は今、その、うん、運転員がそれを止めたのはどこか配管が敗れていたせいではないかと思っているとお伝えしたわけですけれども。その配管が敗れているということの、また1番大きな原因は、多分地震、だと思います。え……これまで政府と東京電力は、地震では壊れなかったけれども津波によって電源が奪われたから壊れてしまったのだと、地震の方は問題ないというその1点張りで来たわけですけれども。実は、そうではなくて、地震によってその非常用冷却、復水器のほうも実はやられていたと、いうこと、なのではないかと私は疑っています」
藤田「なるほど……。しかしもし、その地震によってそういう被害が出たとすれば、これは非常に大きな問題ということになりますよね」
小出「そうです。そうです。そういう事を解明しなければ本当はいけない、し、もっと東京電力が早くにそのことを公表して、今日までに検討を続けてこなければいけなかったと思うのですが。もう8ヶ月以上もたって、ようやくにしてそういう事が出てくると、いう状態……になっているわけですね」
千葉「あの小出先生、もう1つですね。東京電力の原子力立地本部長代理は、この非常用復水器がずっと動いていたとしても最終的には炉心損傷に至ったと判断していると説明しているんですけれども。」
小出「(笑)」
千葉「これはどう思われますか」
小出「それはそうだと思います。えー、非常用復水器が仮に全部動いたとしても、え、今回のようにですね。1週間も10日もわたって、電源がないという状態であれば、いずれにしても炉心は融けてしまっただろうと、そのことは私はそう思います。ただし、えー、非常用復水器という系統が、地震でもし壊れていたということであれば、それはそれで重要な問題ですので、きちっと解明しておかなければいけません
千葉「はい。分かりました。小出先生どうもありがとうございました」
小出「はいありがとうございました」



http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJP2011112801001909

津波対策、多くの疑問

2011年 11月 29日 05:17 JST

津波対策、多くの疑問


東京電力福島第1原発事故について、東電が設置した社内調査委員会の中間報告書の全容が28日、判明した。地震の揺れによる主要設備の損傷は確認されず、2号機で爆発はなかったとの見解をあらためて示したが、なぜ十分な津波対策をしてこなかったかなど多くの疑問を残す内容となった。津波が主要な建屋に流れ込み、機器類が機能を喪失したことが直接の事故原因とした。近く正式に発表する。



2011年11月28日月曜日

東京新聞 TPP、早く対米政策を :コピペ

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011112602000049.html


【社説】2011年11月26日


TPP交渉 早く対米布陣を整えよ

無意味な委員会や審議会は、開かないほうが節税になるのでは?

昨日のブログに金子勝氏のツィッターを転載し、そこでも述べられていたが、再生エネルギー推進のための再エネ法の調達価格等算定委員会委員に、直接の利害関係者や、再生エネに消極的な立場をとってきたメンバーが繰り込まれているという。

いずれにしても官僚が作ったメンバー案を鵜呑みにしただけなのであろうが、このような委員会や審議会は官僚の思惑通りに事を運ぶための「やらせ」以外の何ものでもない。多額の税金と多くの時間や労力が、このような意味のない会合に無為に割かれるべきではない。委員会や審議会のメンバーの選出の方法を根本的に変えるか、財源削減のために直ちに廃止すべきである。

健全な形の議論を忌避するような政策決定の在り方は、民主主義国家である限り、当然正されなければならないはずである。

以下環境エネルギー政策研究所のプレスリリースを転載する。

http://us2.campaign-archive1.com/?u=d091b19b672c0c5a748427770&id=eac7954167


2011年11月24日(木)
            環境エネルギー政策研究所 プレスリリース


再エネ法の調達価格等算定委員会委員に不適正なメンバー案
再生可能エネルギー推進には適正人事への再考が不可避


■ 概要

11月17日の議院運営委員会両院合同代表者会議で提示された再生可能エネルギー促進法の「調達価格等算定委員会委員」は、全5名のうち、直接の利害関係者であったり、再生可能エネルギーの導入や固定価格買取制度に消極的な立場をとってきた人が含まれており、本委員会の委員構成が不適正であることを指摘せざるを得ない。現在の委員案では、再生可能エネルギーの本格的な普及に向けた調達価格等の公正な検討を望むことができない。委員の選出について、国会で再考し、委員会本来の趣旨に沿った適正な委員に対して国会同意をすることを、強く要求する。

■ 本文

再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大するため、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー促進法)」が今年8月に成立しました。

法案の審議では、本制度の柱となる再生可能エネルギー電力の「調達(買取)価格」や「調達(買取)期間」の設定について、当初政府案で「総合資源エネルギー調査会」の意見を聴くこととされていた条文が全面修正され、法律には、新たな第三者機関として「調達価格等算定委員会」を設置し、国会同意人事として委員を決定するものとされています。これは、経済産業省主導で進めてきたかつての「新エネルギー政策」が、再生可能エネルギーを増やすのではなく、逆に導入を阻害する方向づけをしてきたという経緯があったことに起因し、今後の本格的な再生可能エネルギーの普及拡大にあたっては公正なメンバーシップを国会の同意を得たうえで進める必要があるとの結論に至ったからにほかなりません。

しかし、17日の議院運営委員会両院合同代表者会議で提示された「調達価格等算定委員会委員」は、全5名のうち、直接の利害関係者であったり、再生可能エネルギーの導入や固定価格買取制度に消極的な立場をとってきた人が含まれており、本委員会の委員構成が不適正であることを指摘せざるを得ません。

今後、再生可能エネルギーの本格導入により、未来に向けたグリーン産業を育て、民間の投資を呼び起こし、新規雇用を生み出すことが可能になるか、さらに、化石燃料依存を減らしていくことができるかは、この「委員会」での審議内容や、この法律の政省令など詳細な制度内容に大きく左
されます。この制度の骨格となる買取価格や買取期間が適正に設定されるよう、国会においては、この経済産業省提案の今回の人事案を認めず、適正な委員を選定するよう働きかけることを、強く求めるものです。

■ 本文調達価格等算定委員会の委員案の不適正要因

・  進藤孝生(日本経団連地球環境部会長、新日鐵代表取締役副社長)氏は日本経団連かつ特定企業の代表取締役副社長であり、特定の利害を反映することになりかねません。7月29日の衆議院経済産業委員会の参考人質疑では、参考人として電力多消費型産業(とりわけ電炉)の立場を強調しており、法案修正の結果盛り込まれた17条の減免対象の企業になる可能性もある直接的利害関係者です。また、日本経団連は、再生可能エネルギーの普及に反対をしてきた団体であり、当初三年間は普及(再生可能エネルギー事業者の利益)を重視するという附則第七条に反します。さらに、ご自身が、再生可能エネルギーに関する専門家ではありません。

・  山内弘隆(一橋大学大学院商学研究科教授)氏は、日本の再生可能エネルギー市場停滞の原因を作った「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(いわゆる「RPS法」)の審議の中で、固定価格買取制度に否定的で、再生可能エネルギーの普及に消極的な姿勢を取ってきています。そして、7月29日の衆議院経済産業委員会の参考人質疑においては、本制度の価格決定に対して「一律の買い取り価格で、逆にエネルギー種間で競争していただく、効率的なものから入れていただく」ことを望ましいと発言しており、国会の意向であえて条文が修正された電源種ごとの価格設定にも否定的な立場を示しています。

・  山地憲治(地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長、元電力中央研究所 研究員)氏は、そもそも一律価格案を出してきた経産省の新エネルギー部会長であり、個別の価格設定のための会合で、「国会同意人事」でありながら兼務することは大いに疑問視されます。また、「RPS法」の審議なかで、固定価格買取制度を中心的に批判する立場にあります。

現在の委員案では、再生可能エネルギーの本格的な普及に向けた調達価格等の公正な検討を望むこともできません。国会において、委員の選出について再考し、委員会本来の趣旨に沿った適正な委員に対して国会同意をすることを、強く要求します。


■ このプレスリリースに関するお問い合わせ

特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)
E-mail: info01@isep.or.jp
TEL: 03-6382-6061
FAX: 03-6382-6062

気候ネットワーク東京事務所
E-Mail:tokyo@kikonet.org
URL:http://www.kikonet.org/
TEL 03-3263-9210
FAX 03-3263-9463
 

懲りない面々:経団連に首長さん

  原発事故から8ヶ月半、ドイツでは放射性廃棄物の移送反対の座り込みデモが行われている折、日本はまだ老朽化したもんじゅの廃止にさえ踏み切れず、経団連の会長は原発の再起動を主張して止まないようである。一体、このような状況で原発を再稼働させて、また巨大地震に見舞われて取り返しのつかない事故が繰り返された場合、経団連は国民のためにどれだけ責任を負えるのだろうか。今回の震災でさえ、原発政策を支援してきた経団連の会長が被災地支援に私財を投じたという話は全く聞かない。


米倉会長の住友化学は原発メーカーのGEと提携し、ベトナム戦争の枯葉剤と遺伝子組換え食品で名高い米モンサント社と提携関係にある。再生エネルギーには否定的で、原発再稼働とTPPを推進する所以である。先日、ソフトバンクの孫正義氏が、原発の再稼働が、日本の経済界にとって最優先であるかのような考えを、経団連の総意であるかのように提言にするのは問題であると異議を唱え、孫氏に賛同する声があるにもかかわらず、米倉氏は、誰からも賛同を得られない意見であるとこれを一蹴したという。


金子勝氏のツイッターによれば、大間町の首長はこの期に及んでもまだ、原発建設続行を主張しているという。


今ひとつ興味深いのが、最後に転載する今日の毎日新聞のウエブ版である。


2008年の段階で既に、福島第1原発で想定される津波の高さが10メートルを超えるという調査結果が提示されたにもかかわらず、当時、東電の原子力設備管理部の部長であった吉田昌郎福島第1原発所長が、「そのような津波は来るはずがない」と主張し、東電本部は対策を講じなかったことが、明るみに出た。このニュースが白日のもとにさらされると同時に、これまでメディア各社から英雄視されていた、吉田福島第一原発所長の突然の入院、辞任のニュースが報じられたのは、単なる偶然だろうか。



http://www.j-cast.com/2011/11/27114246.html

「経団連はまず詫びろ」「理解に苦しむ」 原発めぐり孫VS米倉会長がバトル

2011/11/27 10:00
経団連の米倉弘昌会長とソフトバンクの孫正義社長が原発の再稼働をめぐり、バトルを繰り広げている。発端は2011年11月15日に東京・大手町で開かれた経団連の理事会だ。
   理事を務める孫社長が「1日も早く原発を再稼働させることが日本国民にとって、経済界にとって最優先であるかのごとき論調には異議がある」などと米倉会長を批判。米倉会長は21日の会見で、孫社長の発言について「本当に理解に苦しむような理屈だった。誰からも賛同を得られなかった」などと一蹴した。しかし、経団連の会員企業の中には孫社長を支持する声も一部にあり、今後も議論を呼びそうだ。

経団連の総意ではない、と主張

   経団連の理事会は毎月定例で、経団連が年間100本ほど提出する政策提言や会員の入退会などを承認する。会員企業約1600社のうち、約500 社が理事を務めている。いつもの理事会の議事進行はシャンシャンだが、この日は熱を帯びた。
   議題となったのは経団連の「エネルギー政策に関する第2次提言」だった。この提言は「政府は原子力が今後とも一定の役割を果たせるよう、国民の信頼回復に全力を尽くさねばならない」「安全性の確認された原発の再稼働が極めて重要」などと明記再生可能エネルギーについては「風力や太陽 光はコストが高く、出力も不安定なことから、短・中期的にベース電源等の役割は期待できない」と否定的なトーンで書かれていた。
   理事会で孫社長は「この提言が経団連の総意であるかのごとく提言されるのは断固反対だ」と主張。「歴代の経団連の会長、副会長の多くは納入事業者として原発に関わってこられた。国民に甚大な迷惑をかけたということで、経団連としてあることは、まず最初にわびることだ」と力を込めた。
   孫社長は「原発再稼働よりも優先すべき課題がある」などとする意見書を米倉会長に提出し、「安全対策の議論もしていない。十分に議論を尽くして ほしい」と迫った。しかし、米倉会長は「ご意見をいただきましたが、この場で議論をするつもりはありません」と一蹴。食い下がる孫社長の発言を何度も遮りながら、「いたずらに原子力は今の段階でダメであるということは言ってはならないことだ。もっともっと我々の技術で、世界の原子力の安全 性の確保に貢献するような形で、これからも努力していきたいと考えている」と持論である原発推進論を唱えた。



金子勝氏のツィッターより

時代の閉塞は守旧的な経団連会長も象徴的です。「経団連はまず詫びろ」と孫社長が迫ると、米倉会長は「理解に苦しむ」と変わらず。 米倉会長は、3号機爆発の映像を見ているのでしょうか。 


これだけ深刻な事故が起きているのに、大間町長は大間原発の建設続行を主張しています。学習効果が全くない…。  長崎、熊本、佐賀の弁護士6人が玄海原発の停止、廃炉を求めて集団提訴です。頑張ってほしい。
11月25日 webから



今頃、文科省が西日本でもセシウムが飛散したと発表。また「さしあたり健康に被害がない」んでしょう。情報を小出しにして責任逃れする「失われた20年」のパターンです。これだけ深刻な事故なのに、東電は勝俣会長が居座り、除染費用も負担する気がなし 

11月25日 webから



再生エネ法で決まった調達価格等算定委員会の委員の同意人事です。ひどいメンバーで、これでは中立。第3者機関ではなく、再生可能エネルギーを普及させることはできなくなっていまいます。 進藤孝生氏は経団連副会長で国会答弁で再エネに反対してきた。


11月26日 webから


福島第1原発:08年に津波可能性 本店は対策指示せず

 2008年に東京電力社内で、福島第1原発に想定を大きく超える津波が来る可能性を示す評価結果が得られた際、原発設備を統括する本店の原子力設備管理部が、現実には「あり得ない」と判断して動かず、建屋や重要機器への浸水を防ぐ対策が講じられなかったことが27日、分かった。東電関係者が明らかにした。
 12月に中間報告を出す政府の事故調査・検証委員会も経緯を調べており、研究の進展で得た津波リスク評価の扱いや対応が適切だったかが焦点となる。
 東電関係者によると、社内研究の成果である新たな津波評価を受け、原子力・立地本部の幹部らが対応策を検討した。その際、設備を主管する原子力設備管理部は「そのような津波が来るはずはない」と主張。評価結果は学術的な性格が強く、深刻に受け取る必要はないとの判断だったという。同本部の上層部もこれを了承した。
 原子力設備管理部は、06年に発覚したデータ改ざんの再発防止のため実施した07年4月の機構改革で「設備の中長期的な課題への計画的な対応や設備管理の統括をする」として新設された。部長は発足時から昨年6月まで吉田昌郎現福島第1原発所長が務めた。
 東電は08年春、明治三陸地震が福島沖で起きたと仮定、想定水位5.7メートルを大幅に超え、最大で水位10.2メートル、浸水高15.7メートルの津波の可能性があるとの結果を得た。東電関係者は「評価結果をきちんと受け止めていれば、建屋や重要機器の水密性強化、津波に対応できる手順書作りや訓練もできたはずだ」と指摘している。
東電広報部は「自主的に試算した内容については、土木学会に審議してもらい、設備に反映させていくつもりだった。学会に審議を要請したのは08年10月で、軽視や放置をしていたわけではない」としている。
毎日新聞 2011年11月28日 2時00

2011年11月26日土曜日

原発の増設まだ認めるのですか?

 先ごろ、メディアが実施した世論調査で、政権に対する不満が顕わになっている。


三陸沖から房総にかけて、30年以内に、M 9クラスの地震が30%の確率で発生するという発表があった。すでにこのブログでも引用したが、東大の地球物理学者ゲラー教授によれば、地震予知など今の科学の力では不可能であり、日本中どこにいつ地震があってもおかしくないと考えるべきだという。確かに、国がこれまで予想を立てて地震対策に力を入れてきた東京、東海などではなく、想定外の神戸、三陸沖で巨大地震が起きている。


しかし、今年の春以降、全国各地で日々報じられる地震の頻度から、明らかに言えることは、この国が不幸にして激しい地殻活動の時期に入ってしまったというである。


そうしたことを意識してか、各地の原発立地自治体やその周辺の地域では、事故時の予測や、避難対策についてあれこれ議論されたり、避難訓練が実施されたりしている。


島根原発についていえば、半径30キロ圏内には46万人もの住人が生活し、福井原発にいたっては、隣県の琵琶湖のある滋賀県の面積の56%に、ヨウ素剤の服用が必要なほどの放射性ヨウ素が飛散するという。発表には書かれていないが、むろん琵琶湖水源は完全に汚染され、関西圏への水道水の供給はたちまち大きな支障をきたすことになるだろう。ひとたび、大きな原発事故が生じれば、それが人災であろうが、天災であろうが、被害は地元自治体にとどまらない。原発災害の被害は30キロ圏内どころか、何百キロ、何千キロにも及ぶのである。


にもかかわらず、野田氏は最近のインタビューで、「すでに建設が始まっている原発については、地元の意向などを踏まえて判断していく」と、中国電力の島根原発の新増設を認めるような姿勢に転じている。内閣発足時は、増設は難しいと言っていたのではないのか。


経団連と官僚とアメリカの意向しか視野にない政治に、この国の多くの国民はいつまで愛想づかしもせず、身を委ねるつもりなのだろうか。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111124-00001205-yom-pol


政治「悪くなっている」76%…政権に不満如実

読売新聞 11月24日(木)22時21分配信
 読売新聞社が12~13日に実施した「政治」に関する全国世論調査(面接方式)で、最近の日本の政治が「悪くなっている」と思う人は76%に上った。

 選挙で投じた1票が現実の政治に「反映していない」と答えた人も81%に達し、自民党政権時の前回2008年2月の67%から大幅に上昇して過去最高となった。

 政権交代で大きな期待を集めた民主党政権が、十分な成果を上げていないことに対する不満が表れた形だ。

 今の政治の問題点(複数回答)については、「国民の目線に立っていない」45%が最も多く、「政策決定が遅い」42%、「日本の将来像を示していない」33%などが続いた。

 民主党政権による政治主導の政策決定が「うまくいっていない」との回答は88%を占めた。
最終更新:11月24日(木)22時21分
読売新聞
 


http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111126ddm012040002000c.html

野田首相:「原発増設、個々に判断」インタビューで


野田佳彦首相は17日、首相官邸で毎日新聞のインタビューに応じ、原子力発電所の新増設に関し「既に建設が相当進んでいるものもあるので、個々の案件ごとに地元の意向なども踏まえながら判断をしていくと語り、建設の進捗(しんちょく)状況などによって新増設を認める考えを示した。工事の進捗率が9割を超えている中国電力島根原発3号機(松江市)を念頭に置いた発言とみられる。首相は内閣発足時の記者会見で、原発の新増設は「現実的に困難」としていたが、一部容認する姿勢に転じた。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加については「アジア太平洋地域は間違いなくこれからの成長のエンジンになるので、その中で高いレベルの経済連携をするのは日本にとってはプラスだ」と指摘。一方「業界によって懸念を持っているところがある」とも述べ、農業団体や医師会などへの説明の必要性を強調した。交渉参加を判断する時期については「なるべく早い時期に結論を出す」と述べるにとどめた。


http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20111119ddlk35040411000c.html

島根原発:事故想定、住民受け入れを要請 島根県が県内市町に /山口

毎日新聞 11月19日(土)12時36分配信
 中国電力島根原発(松江市)での事故発生に備え、島根県の担当者が18日、山口県庁で説明会を開き、県内の市町に避難民受け入れの協力を要請した。市町ごとに受け入れ可能な避難所のリストアップを求め、今年度中に具体的な避難計画を策定する方針。
島根原発30キロ圏内の避難対象者は、島根県約40万人、鳥取県約6万人。鳥取県は県内での対応が可能だが、島根県内では約12万~13万人しか受け入れ能力がなく、残る約28万人の受け入れを山口と広島、岡山の3県に求めている。特に、30キロ圏内の病院や在宅の要援護者は約3万7000人に上り、避難先の確保が課題となっている
福島原発事故では、避難計画が不十分だったため、自治体が避難者の把握に手間取り、安否確認も遅れた。
そのため島根県では、避難民受け入れの協力を得た山口県の市町に対し、自治体内での避難施設の受け入れ可能人数などのリストアップを求め、来年1月中に具体的な避難先の割り当て案を作成。受け入れ先市町との調整などを経て、今年度中に30キロ圏内の自治体の避難計画に盛り込む。
説明会では、県内19市町の防災担当者らが参加。担当者からは「小中学校の体育館での受け入れが長期化すると、教育への影響が出るため抵抗感がある。運営も受け入れ自治体が全面的にすべきか」「民間のホテルや旅館への避難は想定しているか」などの質問が出た。
島根県の大国羊一・危機管理監は「場合によっては市町機能の受け入れもお願いしたい。突然の要請で戸惑いもあると思うが、理解をお願いしたい」と話した。【吉川雄策】
〔山口版〕

11月19日朝刊


http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011112690022039.html

滋賀県面積56%「50ミリ超」予測 美浜原発事故なら

2011年11月26日 02時20分
 滋賀県は25日、隣接する福井県美浜町の関西電力美浜原発で福島第1原発事故と同じ規模の事故が起きた場合、屋内退避をはじめヨウ素剤の服用が必要とされる量の放射性ヨウ素が飛散する面積が、県内の56%に及ぶとする予測結果を公表した。
 県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)が昨年の気象データを基に、放射性ヨウ素が県内に飛びやすいとされる北風が吹く日をモデルに算出した。
 100ミリシーベルト以上の放射線量を1日に受けるレベルの放射性物質が飛散し、国の防災指針で屋内退避が必要とされる地域は、高島市と長浜市の574平方キロで、県全体の14・3%を占めた。
 国際原子力機関(IAEA)が、健康被害の予防のためヨウ素剤の服用が必要と定める50ミリシーベルト以上から100ミリシーベルト未満の地域は、甲良町を除く全18市町に及び、原発から89キロ離れた甲賀市にも飛散する予測が出た。面積で1663平方キロで、県全体の41・4%に上った。
 福井県おおい町の大飯原発の事故の影響も予測しており、屋内退避地域が高島市だけで、同市と大津市など6市がヨウ素剤の服用が必要になる地域と予測された。
 県は国が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を使った予測を公表しないため、全国で初めて独自で拡散予測をするシステムを構築。結果は今後、住民の避難計画や防災備蓄品の見直しなどに生かす。
(中日新聞)

M9級地震「30年以内に30%」 三陸から房総沖

関連トピックス

図:三陸沖から房総沖にかけての地震の想定



東日本大震災を受けて、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は24日、三陸沖から房総沖で起きる恐れがある地震の発生確率を見直した結果を公表した。将来起きる地震の予測として初めてマグニチュード(M)9を想定。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、今後30年以内にM9クラスの地震が30%の確率で起きると予測した。
三陸沖北部はM7.1~7.6の地震が30年以内に90%程度、宮城県沖はM7~7.3の地震が30年以内に60%、福島県沖はM7.4前後が10%程度、茨城県沖はM6.7~7.2が90%程度の確率で起きると予測した。
 東日本大震災後の震源域の周辺では、大きな地殻変動が起こり、余震が続いているが、今回の評価に余震は入っていない。余震を含めると、短期的にはM7級の地震は、今回の評価より高い確率で発生する可能性もあるという。
 地震本部は、東海地震が30年以内に87%の確率で起きると予測している東海から四国沖の南海トラフでの地震についても見直しを進めており、M9級が起きる可能性を盛り込む検討をしている。
 ただ、今回の予測は現段階での知識や手法による暫定的な評価で、再び見直して予測が変わる可能性もある。(瀬川茂子)

解説:地震発生確率 沿岸地域の対策急務 「予想外」への備えも必要

 東日本大震災に匹敵する津波を伴う地震の発生確率は今後30年以内に30%とする分析を政府の地震調査委員会が25日、発表した。30年以内に交通事故死する確率は0・2%、火災被害は1・9%だから、かなり高いといえる。対象の沿岸地域では想定に基づいたハザードマップ作製や避難訓練などの対策を急ぐ必要がある。
 将来の地震予測は、どこで、どの規模が、どの程度の確率で起きるのかを予測してきた。
 今回の予測は、従来の予測手法を踏襲しながらも、一部の地震の規模や確率を算出し直した。震災後も続く地殻変動や余震の影響が考慮されていないといった不確かさを伴うが、原子力発電などの施設では早急に対策に反映させなければならない。
 一方、こうした地震の確率論的な評価は「いつ」起きるか知ることが本質ではない。地震調査委の阿部勝征委員長も「公表した確率は、早く地震が起こることを意味するのではなく、起こりやすさを示している」と説明する。数字の持つ意味を理解し、投資などの対策を決める議論の材料とすることが重要だ。
 また、想定している地震が、東日本の太平洋沖で起きるすべての地震を網羅しているわけではない。予測を超える事態も起こり得ると認識すべきだろう。それが東日本大震災の最大の教訓といえる。【八田浩輔】
毎日新聞 2011年11月26日 東京朝刊