2011年11月29日火曜日

中立性のある事故調査委員会は?

原発事故に関する調査委員会は、事故後いくつも作られている。

まず失敗学の畑村氏を委員長にする責任の所在を究明しない曖昧な調査委員会が作られた後、当事者である東電が内部に調査委員会を作り、続いて民間が調査委員会を作り、さらに今頃になって、国会が新しい事故調査委員会を作るという。

どの調査委員会のメンバーを見ても、最初に結論ありきの恣意的な人事であることが気になる。

大きな災害を起こし、嘘を積み重ねてきたような電力会社が作成した事故調査報告の信ぴょう性を疑わないのは、原子力神話に洗脳されてしまった原発関係者ぐらいのものであろうし、論外である。

しかし、それ以外の委員会についてみても、まず委員長に失敗学や腎臓の専門家など、それぞれの専門分野では功なり、名を遂げた科学者ではあっても、原子力工学に関しては全くの素人をトップに据えている点が特徴的である。

第2の特徴は、民間有識者と称して、元霞が関官僚や、原発推進企業と関わりのある企業や機関に関係する、あるいは原発推進、擁護に関して大きな発言力を持つビッグマウスの大学人や企業人、そうでなければ田中耕一氏など、これまた分野違いの有名な科学者を起用して、何とか権威性を顕示しようと腐心している点である。

そしてもう1点共通するのは、原発に詳しく、かつ事故の原因を企業や電力会社の利害からは離れた立場で解明できる京大の今中氏や小出氏や、元原発設計者の後藤正志氏らが、どの調査委員会にも全く起用されていない点である。

このような真の専門家をあえて起用しない素人集団の寄せ集めのような委員会、事故の責任を徹底的に追究しない調査委員会をいくつ作ってもどれほどの意味があるのであろうか。すべて無駄である。

いずれも調査委員会の結論は始めから見えている。原発の再稼働にしか目のない東電や政府の調査委員会は、責任の所在を不明にしたまま、地震の影響ではなく津波の影響で原発は壊れたと結論することは自明であるし、民間の調査委員会に関しても、脱原発をよしとしない出資者の思惑を反映した人選が巧妙になされ、そのような集団が最終的に出してくる結論は決まりきっている。

多くの国民がこれほど甚大な被害を受け、日々健康不安に苛まれているというのに、一部の心ある弁護士の方々を除いて、司法はただ手をこまねいて高見の見物をしているだけである。

これで法治国家と言えるのだろうか。もっとも8ヶ月半もあれば、既に都合の悪い証拠は関係者の手で十分にもみ消された後であろうから、今更司法が動いたところで、後の祭りであろうがーー。


http://www.asahi.com/politics/update/1130/TKY201111290732.html

ノーベル賞の田中耕一さん起用へ 国会原発事故調委員





 東京電力福島第一原発事故を検証する国会の事故調査委員会の委員に、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一・島津製作所フェロー(52)の起用が固まった。衆参両院議院運営委員会は合同協議会を12月1日に開いて承認し、衆参両院議長が2日にも任命する。
 田中氏は1983年、東北大学工学部卒。島津製作所に入社し、2002年にたんぱく質の質量や立体構造を解析する方法の開発でノーベル化学賞を受賞した。現在は内閣府総合科学技術会議専門委員も務めている。原子力は専門外だが、「原子力村とは違う科学的な視点で事故を検証してもらう」(民主党議員)との観点で選ばれた。
委員長には黒川清・元日本学術会議会長が内定している。

11月24日 「非常用復水器が止められた理由」小出裕章(MBS)


2011年11月24日(木)、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。東京電力が発表した非常用復水器が機能しなかった可能性について、言及しました。




千葉「はい。えーそれでは次ですけれども。国会に設置された福島第一原発事故調査委員会の委員長が、この度、最終調整に入ったというニュースが伝わって来ているんですが。この委員長に、起用される方向になった方というのが、黒川清さんという方で、元日本学術会議会長さんなんだそうです。で、え、東大医学部卒のお医者さんで、内科腎臓学が専門で、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授などを勤められた経歴を持っているかただということですが。小出さんはこの人事、どう思われますか?」
小出「はい。申し訳ありませんが、私は医学に関しては素人で、黒川さんというかたについても、よく知りません。え、ただし、福島原子力発電所の事故、というものは、むしろ医学とは関係のない、え……工学であるとか、まあ、そうですね、海洋学であるとか、気象学であるとか、まあそういうところが関連して起きているわけで。まあ最終的には人間の被曝生物の被曝ということまで問題になりますけれども。やはり私は機械としての原子力発電所の事故と、いうことをきちっと解明することのほうが先だと思います」
千葉「うーん……。なるほど……。そうしたらやっぱりそういう方向で人材を選んでいかないといけないということですね」
小出「私としてはそうだろうと思うのですが。えー……う……沢山の方を束ねて審議をしていかなければいけないので、それなりの力量を持った方でなければいけないと思いますし。難しい判断だろうと思います」
千葉「はい。それからこういうニュースも入っております。東京電力はおととい、福島第一原発1号機で、緊急時に原子炉を冷やす、非常用復水器が、津波が到達した後に十分機能していなかった可能性があるとの調査結果をまとめたということなんです。まずこの、非常用復水器というのは小出先生、なんですか?」
小出「はい。えー……、原子炉ってのは常に冷やしておかなければ壊れてしまうというそういう機械なのです。ただし今回の事故の場合には、地震と津波によってすべての電源が奪われてしまいましたので、ポンプを動かすことができなくなった、のですね。で、そういう時に備えて、この非常用復水器というのがありまして。電気がなくてもいい、ポンプが動かなくてもいい、とにかく原子炉の中で蒸気が発生したその蒸気の力で、えー原子炉を冷やせるようにしようという、かなり特殊な機械だった、のです。えーそれが全く動かなかったということはもう事故の当初からわかっていまして、え、なぜそれが動かなかったということをきちっと解明しなければいけない課題、でした。」
千葉「はい。で今回ですね。東京電力は熱交換で発生する冷却水が60%残っていたため、冷却機能が不十分だったと正式に認めたということなんですが。」
小出「はい」
千葉「本来ならこの機械がこんな状態ではだめなんですよねえ」
小出「そうです。はい。あの、沢山の蒸気を冷やすために、その冷却水の方もどんどん減ってくはずだった、空っぽになるまでむしろやらなければいけなかったわけですけれども。途中の段階で、本来まだ働く力が残っているのにとめてしまったという状態、になっているわけですね」
千葉「ふー……。この非常用復水器は地震が起きたときに自動で動き出したのに、運転員が手動でとめて再起動させたと伝えられているんですけれども」
小出「はい」
千葉「これは適切なやり方なんですか?」
小出「えー、まあ色々なマニュアルがあるのですけれども。今回のような大変な非常事態ですから、とにかく原子炉を冷やすということを最優先にしなければならないはずでしたし。多分運転員もそのことは十分知っているはずだと、思います。え、それでも非常用復水器を止めてしまったということには、なにか別の原因があったのではないかと、私は思います。えーその1番、考えられるというか、重要な原因というのは、どこか配管が破れてしまっていて、その非常用復水器を動かそうとするとむしろ冷却材が流れていってしまうので、仕方がなくてその、回路を閉じたということではないかなと私は推測しています」
千葉「うーん。藤田さんいかがですか」
藤田「そうですね。あの、この発表がですね。もうその、事故の発生から8ヶ月以上も立ってるわけでしょ」
小出「はい」
藤田「で、それだけの期間が立たないと、こういうことがわからないものなのですか」
小出「そんなことはありません。もう当初から分かっていたはずですし。なんでこんな今頃になって、言い出したのかなと私はむしろ不思議に思いました」
藤田「うーん。やっぱりなにかその、人災的な、その都合の悪い問題があってですね、今まで公にしなかったの、ではないかと、そう勘ぐられても仕方のないようなですね、あの、時期だと思うんですが」
小出「そうです。私は今、その、うん、運転員がそれを止めたのはどこか配管が敗れていたせいではないかと思っているとお伝えしたわけですけれども。その配管が敗れているということの、また1番大きな原因は、多分地震、だと思います。え……これまで政府と東京電力は、地震では壊れなかったけれども津波によって電源が奪われたから壊れてしまったのだと、地震の方は問題ないというその1点張りで来たわけですけれども。実は、そうではなくて、地震によってその非常用冷却、復水器のほうも実はやられていたと、いうこと、なのではないかと私は疑っています」
藤田「なるほど……。しかしもし、その地震によってそういう被害が出たとすれば、これは非常に大きな問題ということになりますよね」
小出「そうです。そうです。そういう事を解明しなければ本当はいけない、し、もっと東京電力が早くにそのことを公表して、今日までに検討を続けてこなければいけなかったと思うのですが。もう8ヶ月以上もたって、ようやくにしてそういう事が出てくると、いう状態……になっているわけですね」
千葉「あの小出先生、もう1つですね。東京電力の原子力立地本部長代理は、この非常用復水器がずっと動いていたとしても最終的には炉心損傷に至ったと判断していると説明しているんですけれども。」
小出「(笑)」
千葉「これはどう思われますか」
小出「それはそうだと思います。えー、非常用復水器が仮に全部動いたとしても、え、今回のようにですね。1週間も10日もわたって、電源がないという状態であれば、いずれにしても炉心は融けてしまっただろうと、そのことは私はそう思います。ただし、えー、非常用復水器という系統が、地震でもし壊れていたということであれば、それはそれで重要な問題ですので、きちっと解明しておかなければいけません
千葉「はい。分かりました。小出先生どうもありがとうございました」
小出「はいありがとうございました」



http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJP2011112801001909

津波対策、多くの疑問

2011年 11月 29日 05:17 JST

津波対策、多くの疑問


東京電力福島第1原発事故について、東電が設置した社内調査委員会の中間報告書の全容が28日、判明した。地震の揺れによる主要設備の損傷は確認されず、2号機で爆発はなかったとの見解をあらためて示したが、なぜ十分な津波対策をしてこなかったかなど多くの疑問を残す内容となった。津波が主要な建屋に流れ込み、機器類が機能を喪失したことが直接の事故原因とした。近く正式に発表する。



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