2012年5月29日火曜日

原子力基本法の3原則 「民主、自主、公開」 のない再稼働は適切?

毎日新聞5月28日付け朝刊の風知草に「坂田昌一の警告」というタイトルで書かれた山田孝男氏のエッセーで、物理学者で原発推進派だった坂田昌一氏の話が取り上げられている。

氏は、推進派でありながら、原子力基本法第2条の「民主、自主、公開」の原則にこだわり続けたために、安全委員会の委員に招かれながら、政財界から不満、批判を受けて孤立し、ついに内部の議事録すら配布されなくなった。

坂田氏は、その事態を察知し、秘密裏に行われた決定を権威の名のもとに国民に押しつけるようなことは断じてあってはならない、3原則を無視してよいというような人間は、原子力の本質について全く無知な人間であるか、あるいは原子力で金儲けをしようと考える利権屋だけである。原子力のなんたるかを本当に理解している人間は、3原則が守られない限り、原子力研究が決して人類に幸せをもたらすものではないことを熟知していると、声明を出し、委員を辞任したというのである。

既に50余年前から、旧態依然とした原子力ムラの体質は何ら反省も進歩もなく、営々と引き継がれていたということらしい。

原子力基本法に書かれた3原則は、多分科学者が有識者と協力して独自に知恵を絞って作リ出したものではなく、所詮どこかの国から借りてきたお題目なのだろう。

真の民主主義が存在しない今の日本において、3原則は守られるべくもない。

決定のプロセスはいつも秘密裏に「初めに結論ありき」で進められ、国民の生命、国家の存亡に関わるような決定が、少数の権力者によって下され、権威の名のもとに国民に押し付けられようとしている。

重要な情報は隠蔽され、正しい情報がまともに公開されることはない。国民の生命にかかわるような重要な情報を、誰がいつどんな形で隠蔽し、歪曲したのか、ということさえ、この国では全く追求されようともしないのである。

日本がこのような国であり続ける限り、これから50年先、100年先、世界の原子力技術がどれほど飛躍的に進歩しようが、この国での再稼働という選択肢は決してありえないし、あってはならないということを、坂田氏は云い残しているのである。


http://mainichi.jp/opinion/news/20120528ddm002070086000c.html

風知草:坂田昌一の警告=山田孝男
毎日新聞 2012年05月28日 東京朝刊
 小紙24日朝刊スクープのミソは「勉強会」だった。
 核燃サイクル推進をあきらめない「原子力ムラ」(産官学共同体)の面々が、非公開の「勉強会」で政府報告書原案に我田引水の修正を施したという。テレビ(ANN「報道ステーション」=24日夜)は隠し撮りの動画をすっぱ抜いた。
 原発推進派の排他的秘密会合は53年前にもあった。物理学者の坂田昌一(1911〜70)にこういう逸話がある。
 坂田は湯川秀樹、朝永振一郎と並ぶ素粒子物理学の大御所だった。政府の原子力委員会・安全審査専門部会の委員に招かれたが、審査機関の独立強化と情報公開の徹底を強硬に主張してケムたがられた。
 やがて、非公開の内部協議の議事録が坂田には届かなくなった。ただでさえ孤立していた坂田は事態を悟り、以下のタンカを織り込んだ声明を発表して委員をきっぱり辞めた。
 「秘密の扉の中でだされた結論を権威の名において国民に押しつけるようなことは断じて許すべきではない」(59年11月17日、衆院科学技術特別委・参考人意見陳述。「中央公論」60年1月号に草稿を掲載)
 坂田は脱原発派ではない。それどころか、筋金入りの原発ナショナリストだった。核の平和利用を宣言したアイゼンハワー米大統領の国連演説(53年)より早く、「日の丸原子炉」の研究開発を唱えていた。
ただ「民主、自主、公開」の3原則(原子力基本法2条)に


こだわった。「慎重過ぎる」という政財界の不満、批判に強


く反発してこう書いた。
 「3原則を無視してもよいなどというのは原子力の本質に


ついてまったく無知な人間か、さもなければ原子力を看板に


一もうけしようという利権屋だけである。原子力が何たるか


を本当に理解している人間は、3原則を基盤としないかぎ


り、原子力研究はけっして人類に幸福をもたらしえないもの


であることを熟知している」(科学雑誌「自然」55年7月号所載「3原則と濃縮ウラニウム」)
 坂田の警告が空論でなかったことは、坂田の生誕100年


にあたる昨年、証明された。以上の経緯は昨秋刊行された「坂田昌一/原子力をめぐる科学者の社会的責任」(樫本喜一編、岩波書店刊)に詳しい。
先週の小紙の特報に対し、原子力委員会は「事実無根」と反論している。あれは秘密の裏会合なんかじゃない、関係省庁や事業者にデータを確認する連絡調整に過ぎず、報告書案の書き換えではない−−と。
 データ確認なら、なぜ個別にやらないか。「勉強会」こそ


反省なき「原子力ムラ」のどうにも止まらぬ永久運動ではな


いのか。疑問は消えない。
 政府は6月前半、2030年の原発依存率の選択肢を公表し、夏のうちに結論を得たい意


向だが、実は、核燃サイクルの是非については当面、判断するつ


もりがない。なぜか。ある閣僚に聞くと、こう答えた。
今やめると言えば、サイクルの完成を前提に使用済み燃料


の中間貯蔵を引き受けてきた青森県が黙っていない。各原発


サイトに核のゴミを戻せという話になる。最終処分に目鼻を


つけないかぎり、核燃サイクルの話はできないんですよ」


 核燃サイクル見直しという歴史的選択の幕は上がらず、決


定プロセスへの不信だけが膨らんでいく。さだめし坂田は憤


慨していることだろう。だから言ったじゃないかと。(敬称略)


(毎週月曜日掲載)

Bury Plutonium !

先週末、プリンストン大学のフォンヒッペル教授とサセックス大学のゴードン・マッケロン教授が立教大学で講演を行った。二人はプルトニウムの再処理は危険であるのみならず、コスト高であり、埋設するしか方法がないという。

なぜかこういう問題は今年になって、全くテレビで議論されなくなってしまった。原子力ムラの世界最高の技術を誇る学者先生たちには堂々とテレビに出演し、フォンヒッペル氏やマッケロン氏に対峙し公式の場で説得性のある議論をもって彼等の主張に対して真っ向から否定してもらいたいものである。

大飯の再稼働を皮切りに、政府は高速増殖炉もんじゅを始め、全国の原発の再稼働の時期を虎視眈々と伺っている。恐るべきことに、日本の原子力ムラのお歴々は、去年のフクイチの原発災害事件から何一つ学んでいない。もんじゅの安全確認も、ご立派な保安院の方々がなされるそうである。


もんじゅ再稼働へ新展開 原子炉容器内に中継装置 28日に安全確認作業

産経新聞 5月24日(木)7時55分配信

 日本原子力研究開発機構は、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の再稼働に向けて、原子炉容器内で、燃料交換用の新しい炉内中継装置を入れて、異常がないか確認する準備作業を今月28日に実施する方針を固めた。炉心へ機器を挿入するのは、昨年6月に落下していた同装置を引き抜いて以来、初めて。

 もんじゅはナトリウム漏れ事故後、平成22年5月に運転再開。だが、同年8月、同装置を原子炉容器内へ落下させ、引き抜けない状態が続いていた。原子力機構は昨年6月に同装置の引き抜きに成功。完全復旧に向けて、今年3月には新しい同装置を搬入。つり上げクレーンに落下防止の器具を添え付けるなど対策を講じてきた。

 原子力機構によると、炉心外で正常に動くことを確認できたため、今回、炉心へ入れた時点で、異常がないかを確認。その後、燃料棒を受け止める器具を動かす試験に移るという。

 いずれの作業にも、経済産業省原子力安全・保安院の検査官が立ち会う。正常ならば、原子力機構は7月末、保安院による同装置の使用前検査を受ける方針。


金子勝氏 ブログより

今週木曜日18:30~フォンヒッペル教授とゴードン・マッケロン教授(サセックス大学科学技術政策研究所長)が立教で講演予定。朝9時~原子力委員会の新大綱策定会議がありますが、事業者と「秘密談合」を繰り返す彼らはこういう人を絶対に呼ばない。
2012年5月28日 - 19:30 webから ·

フランク・フォンヒッペル教授(プリンストン大学)が来日。氏は、プルトニウム再処理は危険で高コストであり、ドライキャストに入れて地層処分するのが適切との主張を英『Nature』誌に掲載しています。
2012年5月28日 - 19:24 webから


http://www.facebook.com/events/196524503803024/


公開講演会「原子力・核燃料サイクル政策の比較政治経済学」

公開講演会
原子力・核燃料サイクル政策の比較政治経済学
〜福島第一原発事故を受けての再考〜


日時 :2012年5月31日(木) 18:30~20:30

会場 :立教大学池袋キャンパス15号館(マキムホール)M201教室

対象 :本学学生、教職員、校友、一般

言語 :英語(同時通訳あり レシーバー:100台)

参加費:無料(※事前申込不要。学内・学外問わず参加可能です。)

主催 :立教大学平和・コミュニティ研究機構

講師 :フランク・フォンヒッペル氏(プリンストン大学公共・国際問題教授)
    ゴードン・マッケロン氏(サセックス大学科学技術政策研究所長)

内容 :2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故を受けてエネルギー政策の見直しが進めら
れているが、主要な論点は原子力をどうするかである。中でも核燃料サイクル政策には大きな注目が集ま
っている。世界の潮流とは逆行して、日本では再処理政策が行われてきた。しかしその核燃料サイクル政
策が見直されようとしている。そこで2人の世界でも著名な専門家を招いて核燃料サイクル政策の問題点
を国内外の視点からご講演いただく。


Got plutonium? Bury it

Doing anything else is just far too expensive.

Plutonium can be used to make nuclear bombs. But it can also be recycled and used as a fuel in nuclear reactors. According to the authors of a Nature editorial, the UK—which has the largest civilian stockpile of plutonium, around 90 tons—should skip recycling and stockpiling plutonium and simply bury it. They argue that recycling is simply too expensive and risky.
World stockpiles hold about 500 tons of plutonium, which is an enough to make 100,000 nuclear weapons. That number goes up quite a bit when you account for the amount locked in nuclear waste—around 620 tons in the United States alone, a figure that increases by 23 tons every year.
Now, at first glance, the idea of just burying hundreds of tons of useful plutonium seems ridiculous. With all the world’s energy concerns, why wouldn’t we use it? As we covered in our recent feature on the future of nuclear energy in the US, plutonium can supplement traditional uranium fuel to power existing nuclear reactors. This combined fuel, made up of plutonium and depleted uranium, is called mixed oxide (MOX). Plutonium is even more effective in fast breeder reactors, but these haven’t been commercially successful, despite development work dating back to the 1950s.

Radioactive recycling

France has been separating and recycling plutonium for use in MOX fuel for almost 20 years (although the program was originally for nuclear weapons). However, since reprocessing is so expensive, using recycled plutonium actually adds nearly $750 million a year to electricity generation costs compared to burying it and burning uranium alone.
Both Japan and Great Britain pursued similar plutonium recycling schemes, but neither were functional, much less successful. Japan’s plutonium reprocessing plant only operated for two years, separating just four tons before malfunctioning and shutting down in 2008. The same malfunction killed an attempted restart in January and, since the Fukushima disaster, the future of Japan’s entire nuclear program is up in the air. As of Saturday, none of the country’s nuclear reactors are running.
Britain built a MOX fabrication plant in 2001 that operated at one percent capacity until it was closed last year. That experiment cost $2.3 billion.
Why is plutonium reprocessing and MOX fuel fabrication so expensive? For one thing, the plutonium has to be separated from radioactive nuclear waste. Most approaches are variations on the Plutonium-URanium Extraction (PUREX) technique, which was developed during the Manhattan Project. This process involves dissolving spent fuel in nitric acid, then extracting plutonium and uranium using an organic solvent. This may sound simple enough, but handling and reprocessing extremely radioactive used fuel is expensive.
Creating MOX fuel pellets, on the other hand, requires precise machining of fuel pellets to fit in long zirconium tubes. Add these costs to the already expensive reprocessing stage, and you have plutonium-based fuel that costs around five times that of new uranium fuel.

Just bury it already!

We’ve established that recycling plutonium is more expensive than it’s worth. What else can we do with it? According to the authors of the commentary, the safest and most cost-effective route is to simply stop reprocessing and dispose of our existing stockpiles of plutonium. First, the plutonium would be “immobilized” by encasing it in ceramic. Then, in order to prevent would-be nuclear terrorists from stealing it to make a nuclear bomb, this immobilized plutonium could be buried with radioactive spent fuel or nuclear waste in 500-meter deep repositories.
Another option would be to dump this mixture into 5000-meter-deep boreholes where it could never be retrieved, although this seems like the beginning of a story involving mole people.
Although a number of countries are moving forward with plans for storing nuclear waste, the prospect of storing purified plutonium hasn’t been explored extensively since most countries have been pursuing the recycling option.
Nature, 2012. DOI: 10.1038/485167a (About DOIs)

http://wired.jp/2012/05/23/got-plutonium-bury-it/

「プルトニウム再処理は危険で高コスト」:『Nature』誌掲載
世界のプルトニウム保有量は膨大で、毎年増加している。高コストで危険なプルトニウムの再利用をやめ、埋設処分すべきだというコメンタリー論文が『Nature』誌に掲載された。

プルトニウムの再利用は高コストで危険であるため、埋設して処分すべきだというコメンタリーが、5月10日付けで『Nature』誌に掲載された。[筆者はプリンストン大学のフランク・フォン・ヒッペルら]

イギリスでは、民生用プルトニウムの保有量が世界最大の約90トンにのぼっている。世界全体のプルトニウム保管量は約500トンにのぼるが、これは核兵器を10万発作るのに十分な量だ。核廃棄物中に含まれる分も入れるとこの量は大幅に増え、米国だけで約620トンになる。そしてこの数字は、毎年23トンずつ増え続けている。

プルトニウムは高速増殖炉に用いると効率的とされるが、高速増殖炉は1950年代から開発が続けられているにもかかわらず、いまだ商業的には成功していない。

軽水炉でMOX燃料を利用することをプルサーマル利用という。日本では複数の原発でプルサーマル利用が行われており、福島第一原子力発電所3号機もプルサーマルだったが、爆発事故により廃炉が決定した。
プルトニウムと劣化ウランから作られる燃料は、混合酸化物(MOX)燃料と呼ばれる。

フランスでは、プルトニウムを分離・再利用したMOX燃料を20年近く利用している(このプログラムは最初核兵器用に始められた)。しかし、再処理には非常にコストがかかるため、プルトニウムを再利用すると、プルトニウムを埋設してウランのみを燃料とする場合に比べて、発電コストが年間7億5,000万ドル近く増えることになる。

イギリスは、2001年にMOX燃料製造工場を建設し、稼働率1%で稼動していたが、2011年にこれを閉鎖している。この「実験」には23億ドルがかかった。

2010年の本格稼動をめざし、2006年に「アクティブ試験」を開始したがトラブルが続き、これまでに18回完成が延期されている。その結果、建設費用も当初発表の7,600億円から、2011年2月現在で2兆1,930億円と、2.8倍以上に膨らんでいる。2006年4月〜2009年3月に再処理された使用済み核燃料、および放出された放射性物質の量はこちら
日本のプルトニウム再処理工場は、稼動わずか2年、たった4トンを分離しただけで、トラブルにより2008年に運転を停止した。2012年1月に運転再開が計画されていたが、トラブルで再び中止されている。

さらには、2011年3月の福島第一原子力発電所事故によって、実質的には日本の原子力計画そのものが宙に浮いた状態だ。5月5日以降、日本の原発は1基も稼働していない

プルトニウムの再処理とMOX燃料の製造はなぜそれほど高価なのだろうか。

第一に、プルトニウムを放射性廃棄物から分離しなければならない。その手法のほとんどは、[原爆を開発した]マンハッタン計画のもとで開発されたピューレックス(PUREX:Plutonium-URanium Extraction)法をベースにしている。ピューレックス法は、使用済み燃料をまず硝酸に溶かし、そこから有機溶媒を利用してプルトニウムとウランを抽出するというものだ。簡単に聞こえるが、扱うのが高放射性使用済み核燃料のため、大変なコストがかかる。

一方、MOX燃料のペレット製造では、長いジルコニウムの被覆管に収まるように、燃料ペレットを精密に加工する技術が求められる。再処理段階ですでにかさんでいる費用にこのコストが加わると、プルトニウムから燃料を作るための費用は、新たなウラン燃料を製造する場合の約5倍に膨らむことになる。
Nature誌にコメンタリーを書いた研究者たちによれば、最も安全でコストのかからない方法は、再処理をやめ、保有しているプルトニウムを埋設してしまうことだという。
内閣府原子力委員会の小委員会が2012年4月に公表した、使用済み核燃料の処理方法別のコスト試算によると、全量直接処分(埋設)が最も安い。ただし、最終処分場を受け入れる自治体を探すのが困難とされている
まずは、プルトニウムをセラミックで固めて「固定化」する。次に、この固定化したプルトニウムを、使用済み放射性燃料や核廃棄物とともに、地下500mの貯蔵庫に埋設する。テロリストによって盗み出されたり、核兵器の製造に利用されたりするのを防ぐためだ。

もうひとつの方法は、ボーリングで掘った地下5,000mの穴にこれらを廃棄することだ。この深さなら絶対に取り出すことはできない。ただしそうなると今度は「地底人」が登場する物語が始まりそうだ。

[六ヶ所再処理工場の全景。画像はWikimedia Commons。日本原燃が4月27日、原子力安全・保安院に提出した六ケ所再処理工場の安全評価(ストレステスト)によると、設備が耐えられなくなる地震の揺れの大きさは666ガルで、675ガルになると過熱による水素爆発の可能性があるとされている。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により外部電源を喪失、非常用ディーゼル発電機2機で冷却水循環ポンプ等に給電。使用済み核燃料の貯蔵プールの水約600リットルが溢れていたことも報じられた。]

TEXT BY KYLE NIEMEYER
TRANSLATION BY ガリレオ -高橋朋子



せシウム汚染

4月から国の食品の放射性物質の新基準値の運用が開始された。
 国が示した食品中の放射性セシウムの新基準値は、一般食品が1キロ当たり100ベクレル、牛乳、乳児用食品が同50ベクレル、飲料水が同10ベクレルで、食品衛生法に基づき、基準値を超えた食品は出荷停止になる。


http://mainichi.jp/select/news/20120529k0000m040108000c.html

セシウム:米のクロマグロから検出 福島沖から回遊か

毎日新聞 2012年05月29日 04時00分
 東京電力福島第1原発事故で流出した放射性セシウムが、米カリフォルニア沖で捕獲されたクロマグロから検出されていたことが、米スタンフォード大のチームの調査で分かった。「放射性物質が海洋生物に取り込まれて広がっている証拠」と指摘している。29日付の米国科学アカデミー紀要に発表した。
 チームは昨年8月、カリフォルニア沖でクロマグロを捕獲し、放射性セシウムの濃度を調べた。その結果、15匹のクロマグロで1キロ当たり最大10.3ベクレル、最小でも同2.9ベクレルだった。半減期が約2年と短いセシウム134が検出されたことから、福島由来と断定。日本政府が定める食品中の放射性物質濃度(1キロあたり100ベクレル以下)より低いが、事故前の濃度の10倍以上だった。
 クロマグロは太平洋を回遊する大型魚類だが、黒潮に乗って成長しながら米西海岸まで達する場合もある。チームは、捕獲したクロマグロは事故後、福島県沖で餌を通して放射性物質を取り込んだ後、米沿岸に達したとみており、「日本近海に生息して広範囲に移動するカメ、サメ、海鳥などが放射性セシウムを拡散させるかもしれない」と指摘する。【神保圭作】


http://mainichi.jp/select/news/20120529k0000m040095000c.html

放射性セシウム:指針値、遊泳場も厳格化 環境省

毎日新聞 2012年05月29日 00時11分
 環境省は28日、全国の海や湖沼、河川などの遊泳場所(水浴場)を安全に利用するための放射性セシウム濃度の新たな指針値を「水1リットル当たり10ベクレル以下」とすることを決めた。「50ベクレル以下」だった旧指針値より厳しくすることを同省の有識者懇談会が了承した。6月中に都道府県に通知する。
国は食品に含まれるセシウム濃度の基準値を4月から厳格化し、飲料水は1キログラム当たり10ベクレルとした。遊泳中に水を飲む可能性があるため、環境省は飲料水のレベルに合わせた。(共同)

放射性セシウム:福島県郡山産の豚肉 初の新基準値超え

毎日新聞 2012年05月22日 20時14分
 福島県郡山市は22日、市内の養豚農家から出荷された豚肉から、食品の新基準値を超える1キログラム当たり107.2ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。同市は、この豚肉76.5キロの出荷差し止めと廃棄を指示した。
 厚生労働省によると、食品の基準値が4月に1キログラム当たり500ベクレルから100ベクレルに厳格化されて以降、豚肉が100ベクレルを超えたのは初めて。
郡山市が農家での飼育状況や原因を調べている。(共同)

放射性セシウム:JA販売の暖房用ペレットの燃焼灰から検出 /宮崎

毎日新聞 2012年05月22日 地方版
 県は21日、県内6農家が使用した、農業ハウス暖房用の木質ペレット(燃料)の燃焼灰から放射性セシウムを検出したと発表した。しかし、使用農家の農産物からは検出されず、ハウス内の空間線量率も通常レベルで「安全性に問題はない」という。
 県によると、木質ペレットは北欧やドイツなど西欧のアカマツなどが原料。JA宮崎経済連が昨年度、岡山県真庭市の木材加工会社から仕入れ、ピーマン、ミニトマト、メロンを栽培する6農家に238トンを販売した。
 加工会社の報告を受け、県が使用農家を検査したところ、燃焼灰から1キロあたり713〜1641ベクレルのセシウムを検出したが、各農産物からは不検出で、ハウス内の空間線量率も屋外とほぼ同じだったという。
 検出成分などから、東京電力福島第1原発事故が原因である可能性は低いという。同様の事例は、同じペレットが流通した高知県でも見つかっている。【百武信幸】


2012年5月28日月曜日

核燃の「秘密会合はまっとう」と主張する読売社説は妥当?

一昨日、国内メディアに4号機の内部が初めて公開された。すでに遡ること数ヶ月前に、他国の議会の議員に公開されていたものが、国内メディアに対しては、事故後13ヶ月もたった今になるまで公開されなかったとは一体どういうことなのか。

アメリカの国会議員が今春フクイチの内部を視察し、その結果、米政府に4号機の危険性と日本政府への支援の必要性を訴えていたことは、先週のブログの中で取り上げた通りである。

13ヶ月もたって、無残に破壊されたままの4号機の姿を見れば、素人にも、日本の原子力技術の限界は自明であり、何があろうが、自然災害が多発するこの国で、原発の再稼働などありえないとしか言いようがない。

以下に金子勝氏のブログと5月26日付けの読売新聞の社説を引用する。

読売新聞の社説は、核燃勉強会という秘密会合は、電気事業者を始めとする原子力ムラのメンバーばかりを集め、小委員会の会議の方向性を決める上で重要な資料を作成していた問題を正当化している。

資料作成に際して、反対派を会合から排除している事実についても、事務局が反対派からは事前に意見を聴取しているから、妥当だという。しかしその事務局がどんな事務局かが問題である。

社説では、「小委員会のまとめた報告は、推進側に有利とはとても思えない」とある。このような書き方では、いかにも秘密会合で提示された資料は民主的に作られた公正なものであり、「核燃料サイクルを即刻廃止して、脱原発に向かう」という推進派にとって不利な筋書きで報告書を作成したかのように、読み違えてしまう。しかし、それは事実ではない。5月24日の毎日新聞によれば、報告書は、再処理有利に書き換えられていたのである。

勉強会のメンバーは、国税をどぶに捨てるような核燃料サイクルにさっさと見切りをつけ、自らの手で潔く放棄する考えなどさらさらない。彼等が小委員会に何を提示したかは、毎日新聞によってスクープされている。その詳細については先週のブログの中に提示したとおりである。

また読売社説では「事業者にしか分からない数字をぬきに、小委員会の議論は成り立たない」と言っているが、そもそも、国のエネルギー政策に関する重要な情報を、私企業にすぎない電力会社の人間が独占している現行制度にこそ問題があるのではないのか。

加えて「原子力の一定の知識を持たない職員では事務局の作業が遅れ、手間取る」したがって、電力会社の社員を出向させるのは妥当という主張にも、大きな飛躍がある。原子力の知識を持たない人間が、素案をまとめる作業に従事すべきなどと言っているわけではない。

取り返しのつかない深刻な放射能災害を引き起こしながら、未だその現場の保全を速やかに行う知恵すらない原子力ムラの住人らが、読売や日経など主要メディアの擁護を盾に、未だに我がもの顔に、この国の原子力政策決定のプロセスに深く関与していることが、最大の問題なのである。

細野原発相は、原発ムラの秘密会合について、「一定の時期を見て、推進派の事業者を電力会社を始めとする所属機関に戻したい」と言ったが、「時期を見て」というのは、いかにも曖昧な表現である。

新しい国のエネルギー政策を考えなおさなければならない岐路にある今、即刻、現行の勉強会を解散し、利益相反行為に抵触しない専門家を事務局に出向させるべきではないのか。

新しい規制庁も、原子力ムラの村人たちが多数入省・出向するようなことでは、保安院・安全委員会の二の舞である。規制庁ができれば、再稼働を認めると言っている首長もいるが、どんなメンバーが入省するのかを見極めた上でなければ、看板と建物を代えただけで、中身は何も変わらないひどい組織をそのまま温存させることになりかねない。


金子勝氏のブログより


原子力安全委と保安院が機能麻痺に陥る中で、原子力委員会が原子力ムラの「最後の砦」です。原子力委員会の体質が社会問題化すると、大飯原発をはじめ原発再稼働がますます遠のく。さらに事務局体制や事業者の影響力の排除という本質を問題にしない新原子力規制庁の国会審議のインチキも露呈します。2012年5月27日 - 20:14 webから


読売社説は、原子力委員会が「秘密会合」を開いていたことを妥当とする巨額の税金・電気料金を注ぎ込んでドブに捨てている核燃サイクル。電力会社、日本原燃、原子力機構、担当官庁を一堂に集めて技術的な正確性だけをチェックしていた?ゴミ売り新聞?
2012年5月27日 


茂木自民党政調会長が、原子力規制庁設置法案について3条委員会(独立委員会)の自民、公明案なら国会審議に応じると。しかし利害関係者の事務局を持ち、「秘密会合」を開く原子力委員会も独立委員会です。皆で原子力ムラ温存図り、再稼働急ぐつもり?
2012年5月27日 - 18:05 webから · 


原発推進の前原政調会長が、大飯原発の「政治決断」はタイムリミットが近いとして、能力の低い政治家の「政治判断」で再稼働するという。前原を含め、斑目委員長も辞めさせず、保安院の言うがままにして安全行政とルールを壊した政治責任こそ問われるべき
2012年5月27日 - 17:48 webから


http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120526-OYT1T01111.htm


核燃「勉強会」 原子力委の情報収集は必要だ(5月27日付・読売社説)

内閣府の原子力委員会が、経済産業省や電力の関係者を集めた勉強会を昨年11月から23回開いていたことに、原子力発電推進に偏った姿勢だ、とする批判が出ている。
原子力委は、有識者による小委員会を設けて、原子力発電所から出る使用済み核燃料の処理方法を巡る核燃料サイクル政策について検討してきた。
 勉強会の目的は、この小委員会の会議資料の準備である。必要なデータの提出依頼や確認を行い、資料内容の技術的な正確性を点検することにあったという。
 正確なデータに基づく資料を会議の事務局が作成するのは当然のことであり、何ら問題はない
小委では、核燃料サイクル政策を変更した場合のコストが焦点となっている。使用済み核燃料の量や経費見積もりなど、事業者にしか分からない数字を抜きにしては小委での議論は成り立たない。
 勉強会の開催を色眼鏡で見るのは間違っている。
批判する側は、この勉強会の場で、作成途上の小委の報告書の素案が配布されたことを、特に疑問視している。
勉強会での原発推進側の意見を踏まえ、報告書案が事業者に有利になるよう書き換えられた、という主張である。それが事実なら確かに問題であろう。
これに対し、原子力委は、「事業者の意見を反映して書き換えた事実はない」と反論している。
実際、小委がまとめた報告書は、推進側に有利な内容とは、とても思えない。
推進側が後押しする現行の政策を変更した方がコスト安、との試算が明記されている。核燃料サイクルを放棄し、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムの利用をやめた方が核拡散防止に寄与する、との見通しも載せられた。
報告書の素案は、推進側だけでなく、小委に所属する脱原発派の委員に対しても事務局が事前に提示し、意見を聞いている。
小委の会合でも、全ての委員の意見を踏まえて修正を加え、最終報告書としている。
 手続きはまっとうと言える。
細野原発相は、原子力委事務局に事業者からの出向者が職員としていることも中立性に問題があるとして、出向者を出身組織に戻す方針を示している。
 だが、原子力に関する一定の知識がない職員で置き換えれば、事務局の作業は遅れ、手間取るのではないか。細野氏には、慎重な判断を求めたい。
(2012年5月27日01時42分  読売新聞)

2012年5月27日日曜日

WHOの被ばく線量推計を批判できるの?

WHOがこのほど発表した原発災害による被ばく線量の推計は日本の試算を上回るものであった。

藤村官房長官は、WHOが日本の水産物の出荷制限などを考慮していないと、この推計を批判した。

しかし3.11以降、日本政府は東電と一体になって情報隠蔽を繰り返し、原子力災害と放射能汚染の過少化を事故直後から絶えず行い国民の目を欺き続けてきた。

その上に高濃度の放射性物質に汚染された食料を摂取することに健康上の不安を頂き始めた国民の消費行動を「風評被害」と厳しく非難した。形ばかりの出荷制限の網をくぐり抜け産地偽装、県外漁港への水揚げなど様々な手段で、全国にばらまかれ、巧に加工・消費されてしまった農・水・畜産物は数知れない。

計測のノウハウを持っている国際的な環境保護団体が福島県沖の海洋生物の放射能汚染度の計測を申し出たが、政府はこれを拒絶し続けた。このような国民の健康を守ることから逆行するようなことをしておいて、WHOの推計を批判できるような立場にはないはずである。

食品に関して言えば、ドイツでは危険とされているような基準値のものが、日本では、今日も当たり前のように流通しているのである。

特にセシウムと心臓疾患の関係については、ベラルーシの医科大学の元学長である医師が、チェルノブイリの事故から蓄積したデータに基づいて、警告を発しているが、日本の放射線防護学の専門家は、その影響を否定している。

何が正しいかは歴史が教えてくれることだろう。

しかし、日本の総人口が激減してからでは遅い。今からでも除染不可能な地域の住民を即刻、集団疎開させるような政策を策定すべきである。

危険な4号機の燃料プールからの燃料取り出し、廃炉作業など、福島県民が枕を高くして寝られるようになる状態にするまでには、積み残された課題は山積みであり、フクイチの放射能災害の真の収束からは、まだまだ程遠いというのが偽らざる現状なのであるから。

http://www.47news.jp/47topics/e/229608.php
浪江町で10~50ミリシーベルト WHOが被ばく線量推計


世界保健機関(WHO)は23日、東京電力福島第1原発事故による国内外の被ばく線量の推計値を発表した。内部被ばくと外部被ばくを合わせた全身の被ばく線量が最も高かったのは福島県浪江町と同飯舘村で10~50ミリシーベルト。2町村を除く福島県全域は1~10ミリシーベルト、同県を除く日本全体では0・1~10ミリシーベルトだった。
 WHOは「情報量が限られている上、屋内外で過ごした時間など多くの仮定を基に計算している」と説明。被ばく線量の過小評価を防ぐため、数値が過大になっている可能性もあるとしている。
 報告書によると、推計値は昨年9月までに日本政府が公表したデータを基に、外部被ばく線量と、呼吸や食品を通じた内部被ばく線量を計算。原発から20キロ圏外の計画的避難区域の住民は事故後に大半が避難したが、推計では4カ月間住み続けたと仮定した。
 福島県内で数値が高かった地域は外部被ばくによる影響が大きかった。日本以外の地域は0・01ミリシーベルト以下だった。
 1歳児の甲状腺の被ばく線量は、浪江町で100~200ミリシーベルト、それ以外の福島県では10~100ミリシーベルト、日本各地では1~10ミリシーベルトとした。
 今回の推計に対し、内閣府・原子力被災者生活支援チームの福島靖正(ふくしま・やすまさ)班長は「福島県産の海産物の出荷制限など政府が取った防護措置が考慮されておらず、実際の被ばく線量よりもかなり過大になっている」と話している。(佐分利幸恵)
 (2012年5月23日、共同通信)

福島で基準値超え水産物多く

2012.5.19 21:08 放射能漏れ
 4月に食品中の放射性セシウムの新基準値が適用されて以降、5月17日までに全国の自治体などから計2万3657件の検査結果が厚生労働省に報告され、うち622件が新基準値を超過している。
いずれも野菜や魚などの一般食品(同100ベクレル)だった。
 検査結果を食品群別で見ると、基準値超えが最も多いのは農産物で370件。水産物は245件だった。
 都道府県別では福島が最も多く、検査した3601件のうち256件が超過した。水産物は707件を検査し、約25%にあたる175件が超過。ヒラメやマコガレイなど35種に及ぶ。一方、農産物は、1558件検査して、超過は約5%の80件だった。
 
福島、宮城、岩手の被災3県では、農産物計2168件を検査し、超過は253件で約12%。一方、水産物は、計1186件を検査し約17%にあたる196件が超過した


http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/05/20120526s01.htm


放射能大量放出/原子炉損傷の原因究明を

 深刻な放射能汚染をもたらした東京電力の福島第1原発事故。原発の外に放出された放射性物質はどれほどだったのか、東電がようやく明らかにした。
 昨年3月中だけで、総量は90万テラベクレルになるという。経済産業省原子力安全・保安院が2月にまとめた量(48万テラベクレル)のほぼ2倍になる。
 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(520万テラベクレル)と比較すると、その6分の1程度だが、膨大な放射能であることに変わりはない。
 東電はいつ、どこから放出したのかも推計を示した。だが、なぜそうなったのかの説明は不十分だ。ほどんどのケースについて「原子炉建屋からの放出」と言っているにすぎない。
 原子炉圧力容器や格納容器の損傷はどう進んでいったのか。炉心溶融(メルトダウン)によるのか水素爆発によるのか、それとも別の要因なのか、放射能放出と原発の健全性に関わる検証を徹底的に行うべきだ。
 今回の放出量は、実測された放射能や気象のデータを基にモデル計算して出した。対象になった物質はヨウ素131とセシウム134、137、さらに希ガス(クリプトンとキセノン)の3種類。
 時系列でみると、ヨウ素とセシウムの放出量は昨年3月14日夜に一気に増え始め、20日ごろまで断続的に大量放出が続いている。
 東電によると、格納容器内の気体を抜くベントや水素爆発の際の放出量は少なく、ほとんどすべてが格納容器からの漏れだという。
 理由として、格納容器上部のふたが高温と高圧で損傷した可能性が指摘されている。原子炉の本体である圧力容器の中でメルトダウンが起き、その外側にある格納容器も高温になったためだとされる。
 だが格納容器内に放射性物質が充満しなければ、損傷だけでは大量放出は起きない。ヨウ素やセシウムはもともと圧力容器の中にあった物質であり、圧力容器やその配管などが損傷して漏れ出たとしか考えられない。
 損傷を受けた原因はメルトダウンや水素爆発の衝撃、さらに地震など可能性はさまざまに想定できる。いずれにせよ、圧力容器も含めて健全性がどうだったのか、きちんと検証されるべきだ。
 東電の資料によると、事故後に最も早く放出されたのは希ガスで、12日未明から朝にかけて1号機から2万テラベクレルもが放出された。だが、まだ水素爆発は起きず、ベントも行われていなかった。
 東電の中間報告によると、1号機の圧力容器内の圧力は12日の午前中、一気に低下したことが分かっており、希ガスの放出と時間帯がほぼ一致する。
 地震の半日後には早くも、1号機の圧力容器などが重大な損傷を受けたことを意味する。メルトダウンの衝撃だけでなく、もともとの強度や地震の揺れの影響も含めて、損傷の原因を解明すべきだ。
2012年05月26日土曜日

    http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/8780463ce90b6ad4cd1f8567f548dcfb/

    セシウムによる健康被害を解明したベラルーシの科学者が会見、心臓や甲状腺への蓄積を深刻視(1) - 12/03/22 | 18:17

    福島第一原発事故をきっかけに始まった福島県による「県民健康管理調査」――。同調査の進め方を議論する「県民健康管理調査検討委員会」が配布した資料には次のような記述がある。

    「チェルノブイリ原発事故で唯一明らかにされたのは、放射性ヨウ素の内部被曝による小児の甲状腺がんの増加のみであり、その他の疾病の増加については認められていません」(昨年7月24日に開催された第3回検討委員会配布資料)。

    こうした見解とは真っ向から異なる研究結果を盛り込んだ著書『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響――チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』(著者はユーリ・バンダジェフスキー・元ゴメリ医科大学学長)の日本語訳(合同出版刊)が刊行され、大きな注目を集めている。

    同書に関心が持たれているのは、バンダジェフスキー氏による研究がほかに類を見ない独創性を持つうえ、その内容が衝撃的なことにある。

    バンダジェフスキー博士やゴメリ医科大の研究スタッフは高濃度の放射性物質に汚染されたベラルーシのゴメリ州で死亡した400人を上回る患者の遺体を解剖。各臓器のセシウム137蓄積量を測定したうえで、
    特に心血管系疾患で死亡した患者の心筋に多くのセシウム137が蓄積されていたことを突き止めた。

    「チェルノブイリ事故後に突然死した患者の剖検標本を検査したところ、99%の症例で心筋異常が存在することが明らかになった。とくに注目すべき所見は、びまん性(広範囲に広がっている状態)の心筋細胞の異常で、これはジストロフィー病変と壊死の形態をとり、毒作用が働いている証拠である」と同書は指摘。

    「(ベラルーシの)ミンスクの子どもの体内セシウム137濃度は20ベクレルキログラム以上であり、彼らの85%が心電図に病理学的変化を記録している」とも述べている。

    国際放射線防護委員会(ICRP)が昨年4月4日に公表した「ICRP Publication111」(全文はhttp://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf)の21ページには、「1日に10ベクレルのセシウム137を摂取し続けた場合の体内での蓄積状況」についてグラフが示されている。

    このグラフによれば、約500日で体内のセシウム137蓄積量は1400ベクレルに到達する。体重が50キログラムであると仮定した場合、1キログラム当たりの蓄積量は28ベクレルに相当する。

    1日10ベクレルの摂取は、食品安全委員会が定めた4月からの新基準(一般食品の場合で1キログラム当たり100ベクレル以下、乳児用食品および牛乳の場合で1キログラム当たり50ベクレル以下)での許容量に照らしてもきわめて小さい数値だ。セシウム137を体内に摂取したことによる健康被害が、ごくわずかな摂取量から起こるとしたら、福島第一原発事故による影響はきわめて深刻になりかねないと言える。

    セシウムによる健康被害を解明したベラルーシの科学者が会見、心臓や甲状腺への蓄積を深刻視(2) - 12/03/22 | 18:17



    また、甲状腺はセシウム137が最も多く蓄積する臓器であることもバンダジェフスキー氏による調査で判明。「チェルノブイリ事故後の甲状腺異常は、(物理学的半減期が約8日の)放射性ヨウ素だけでなく、生体内や甲状腺に持続的に取り込まれた放射性セシウム(セシウム137の半減期は約30年)と、甲状腺ホルモンに結合するさまざまな免疫グロブリンの能力にも関連すると考える」とバンダジェフスキー氏は著書で指摘している。

    バンダジェフスキー氏は、ボランティアグループ「放射能防御プロジェクト」(木下黄太代表)の招きで来日。東京や札幌、仙台など全国5カ所で開催された計9回にのぼる一般向け講演会の来場者は4500人に達した。そして3月19日には、衆議院第一議員会館内でマスコミ向け記者会見および国会議院や政府関係者、マスコミを対象とした院内講演会が開催された。

    以下の内容は記者会見および東洋経済記者の単独インタビューによるものだ。

    ■以下は記者会見での質疑応答

    ――バンダジェフスキーさんは突然死やさまざまな心疾患、放射性セシウムの体内蓄積について研究してこられた。昨年から今年にかけて福島県内でも高校生の突然死が起きている。セシウムとの因果関係については何の表明も報道もされていないが、亡くなった方の臓器のセシウムを測定することに意味があるか。

    環境に高いレベルで放射線があるところで暮らしていると突然死の可能性がある。ゴメリ医科大の学生でもそういう例があった。

    放射性セシウムは特に心臓に激しい攻撃を加える。心筋細胞にセシウム137が取り込まれると、エネルギーの産生(合成)ができなくなり、突然死につながる。

    実際に解剖して測定すると、セシウム137の蓄積が確認できる。
    セシウム137は20~30ベクレルキログラムという低レベルの蓄積でも心拍異常が起きている。それが突然死の原因になりうる。
    福島第一原発事故の被災地では、子どものみならず大人も対象に被曝量に関する調査が必要だ。

    ――福島原発事故でも、放射性物質を体内に取り込む内部被曝への懸念が強まっている。日本に来日して、原発事故の深刻度をどのように感じているか。

    残念ながら日本人は情報が少なすぎる。(政府当局は)情報を隠している。今のような形で情報を隠し続けると、(対策の遅れによって)数十年後に日本の人口は激減してしまう。この悲劇を小さな事故だと見なしてはいけない。

    福島第一原発事故ではさまざまな放射性核種が飛散し、非常に高い汚染レベルの地域が広がっている。
    しかし、体内に取り込んだ放射性核種の量をきちんと測定していないのは大きな問題だ。

    セシウムによる健康被害を解明したベラルーシの科学者が会見、心臓や甲状腺への蓄積を深刻視(3) - 12/03/22 | 18:17



    日本の医師や学者のチェルノブイリ事故での研究成果を私は知っている。1994年にゴメリ医科大学ではシンポジウムを開催したが、そこにも日本から専門家が来てくれた。その中で私たちが

    発表したセシウムが心臓に非常に危険であるという

    ことを日本の方々は理解してくれた。その経験が生

    かされていない。

    このように情報がない状態でどうやって、国民の救済ができるのか。沈黙を強いる政策の結果、ロシアやベラルーシでは人口統計上悲惨な結果が起きた。私たちが経験したことを日本はもう一度繰り返そうとしているように思える。

    津波で散乱したがれきは放射性物質を含んでいる。汚染源のがれきは大至急廃棄すべきであり、日本全国にばらまくべきではない。

    このような沈黙を強いるやり方が旧共産党政権下で行われているならばわかるが、21世紀の今日、民主主義国である日本で行われているとは信じがたい。

    ――4月から日本では食品に含まれる放射性物質について新しい基準値が設定される。これをどう評価しているか。

    食品中に放射性物質が含まれていること自体が非常に危険だ。新基準で食品に含まれるのを許容するベクレル数を引き下げたことは肯定的な動きだが、ベラルーシでは1999年から用いられている基準のおかげで国民は放射性物質を摂取し続けている。

    食品を通じて体内に取り込んだ放射性物質は体のさまざまなシステムに影響を与える。このことは(放射線の照射である)外部被曝と比べても数段危険だ。

    ――仮に内部被曝をきちんと管理できた場合、土壌汚染地域で安全に生活できる閾(しきい)値はどれくらいか。具体的には(年間の積算放射線量が数ミリシーベルトに達する)福島市や郡山市、二本松市で生活することに問題はないか。

    牛乳を例に取ってみると、クリーンな牛乳は50ベクレルキログラム以下とされている。しかし、それ以下であれば安全という基準はない。基準以上であれ以下であれ、両方とも危険だ。基準とはあくまで運用上のものにすぎない。

    長い間汚染された地域に住む人が放射性核種を体内に取り込むとさらに危険が増す。最も危険なのは食品を通じて臓器に放射性物質が取り込まれることだ。

    病気が誘引される放射性物質の濃度や放射線量ははっきりしない。ただ、子どもの場合、体重1キログラム当たり10~30ベクレルのセシウム137を取り込んだ子どものうち約6割の子どもで心電図に異常が出ている。

    セシウムによる健康被害を解明したベラルーシの科学者が会見、心臓や甲状腺への蓄積を深刻視(4) - 12/03/22 | 18:17


    さらに
    蓄積量が多くなると、心臓の動きの悪い子どもの


    数がどんどん増加していることがわかった。ベラルーシの汚染


    地域ではそういう子どもがたくさんいる。だから子どもの死亡が


    多い。

    チェルノブイリ原発から30キロメートルにあるウクライナのイワンコフ地区では人口1000人当たり30人が1年間に死亡している。キエフ州全体では18人だが、これも多いほうだ。


    ■以下は東洋経済記者による単独インタビュー

    ――福島県では県民を対象とした健康管理調査が始まっている。ただ、この調査に基づく健康診査は原発事故の避難区域に住んでいた住民および推定被曝線量が高いとみなされた住民のみが対象であり、健診の項目も0~6歳の乳幼児の場合、身長や体重、血液検査に限定されている。甲状腺検査も2年に1度にとどまる。

    健診は必要だ。汚染地域の住民全員を対象にしなければならない。汚染地域は放射性物質が少量でもあるところも含まれる。東京も該当する。体内に取り込んだ汚染の濃度を調べないといけない。甲状腺や心臓、腎臓、肝臓、血液の検査が必要だ。頻度は半年に1度とすべきだ。

    ――福島原発事故による内部被曝の影響についてはきちんとした調査が行われていない。医学界や医療界は健康影響を深刻に受け止めているとは言いがたい。このような状況はどうすれば打開できるか。

    世論や国会議員の意思で、健康被害を予防するためにきちんとした健康影響調査を義務付けるべき。被害を未然に防ぐためにも、今こそ行動を起こすべきだ

    ドイツ放射線防護協会、1kgあたり8ベクレル(Bq)以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨

    未成年者は1kgあたり4ベクレル(Bq)以上、成人は1kgあたり8Bq 以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨
    ドイツ放射線防護協会が、福島原発事故の発生後の日本において、放射線核種(放射性物質)を含む食物の摂取による被ばくの危険性を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに考察・算定を行い、以下の提言を行っている。
    1‐放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。
    2‐評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4ベクレル(Bq)以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。成人は、1kgあたり8Bq 以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことが推奨されるべきである。
    3‐日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体および基金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろう。
    飲食物を通じた放射性物質の摂取は、長期間にわたり、身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となる
    飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となるとし、半減期2.06年のセシウム134、半減期30.2年のセシウム137、半減期28.9年ストロンチウム90、半減期2万4,400年プルトニウム239といった、長期間残存する放射性物質に対して、長期的に特に注意を要するとしている。
    日本の野菜・穀物・肉類のセシウム規制値は500ベクレル(Bq)/kg
    暫定規制値
    日本の野菜・穀物・肉類のセシウム規制値は500ベクレル(Bq)/kgとドイツの成人の約8ベクレル(Bq)/kgと比べて極めて高い基準である。日本で「直ちに影響はない」として流通している野菜等もドイツ基準では危険となる。
    被ばくの程度が高いほど、がんによる死亡率は高くなる
    ドイツの被ばく線量の限界値が年間0.3mSvなのに対し、日本では原発事故後に、1mSvから20mSvに引き上げられた。福島県放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一長崎県大学教授に至っては、過去「100mSvまでは大丈夫」と発言していた。
    国際放射線防護委員会(ICRP)は被ばくを年間0.3mSv受けた場合、後年、10万人につき1~2 人が毎年がんで死亡すると算出している。しかし、ドイツ放射線防護協会が広島と長崎のデータを独自に解析した結果によれば、その10 倍以上の10万人のうち、およそ15人が毎年がんで死亡する可能性があるとし、被ばくの程度が高いほど、それに応じてがんによる死亡率は高くなると結論づけている。


    チェルノブイリ原発から西へ約70km離れたウクライナ・ナロジチ地区---。この地域への支援を長年行ってきたNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」理事の河田昌東氏が言う。
    「ナロジチ地区中央病院から提供してもらった、子どもたちの健康状態に関する実数データがあります。これを見ると、大人と子どもでは病気の発症率に数十倍から100倍近い差があるのです」
    よく指摘されるように、チェルノブイリ事故後、周辺地域で幼児の甲状腺がんが急増したのは、母親の母乳を通じて放射性ヨウ素が子どもの甲状腺に集まった結果だった。事故の汚染地では、通常の小児甲状腺がんの数十倍以上の発生率を示したケースもあった。
    だが、河田氏は「本当に恐ろしいのは甲状腺がんだけではない」と言う。
    「甲状腺がんは事故から10年後が発生のピークでしたが、それ以降は減っています。そのかわり、それ以外のがんを含む全体のがん発生率は事故後から10倍以上に増えているのです。ナロジチ地区中央病院における児童1000人あたりの人口罹病率では、'08年で新生物(がん)は12・3人。じつに100人に一人以上の子どもが何らかのがんに罹っている計算になります」
    がん以外の多くの疾患でも、この20年あまりで子どもたちの罹病率は驚くほど増加している。
    「呼吸器系疾患は'88年に1000人あたり116人だった罹病率が、'08年には603・6人になっています。これには風邪も含まれているので数が非常に増えていますが、放射線被曝によって免疫力が低下したことが原因です。
    心臓血管系疾患は、およそ2倍に増えている。この多くは放射性セシウムの内部被曝による影響です。最近の研究で、セシウムは体内に入ると心臓にもっとも濃縮されることがわかっています。心臓は鼓動することによってエネルギーを消費するわけですが、その細胞の中にはエネルギーを生み出すミトコンドリアという細胞内構造物がたくさんあります。セシウムはこのミトコンドリアの機能を破壊することがわかっている。その結果、子どもだけでなく大人にも心臓血管系の病気が増えているのです」
    2011. 4. 6

    チェルノブイリ事故調査結果を基に長崎大の山下俊一教授が明言

    「放射性セシウム汚染で疾患は増えない」


    福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーを務める長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授の山下俊一氏が4月5日、日本財団主催の緊急シンポジウム「福島原発事故~“誰にでもわかる”現状と今後~」で講演。いま環境中に放出されている放射性物質の健康影響について、「その線量は極めて微々たるもので、全く心配が要らない量だ」とし随時モニタリングされ適切な対策がなされている現状では、「いまの日本人に放射性降下物の影響は起こり得ない」と断言した。現在、世界保健機関(WHO)緊急被ばく医療協力研究センター長でもある山下氏は、1986年4月に起きた旧ソ連邦ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所の事故後20年間、現地での医療支援活動や健康影響調査に携わってきた被曝医療の専門家。