2011年9月18日日曜日

この難局にあって政策より詭弁ですか?:経産相の不可解な辞任

個人的に、鉢呂氏を擁護する気持ちが全くないことを初めにはっきりさせておく。しかし、鉢呂氏の早過ぎる辞任は、あまりにも不可解な点が多い。今度の閣僚人事を見たとき、ある意味鉢呂氏だけが異例であると感じたのは、私だけだろうか。

端的に言えば、総理大臣を筆頭に、環境大臣・原発大臣も、財務大臣も、農水大臣も、半年間、除染作業を怠り、スピーディの公開を行わず、まっとうな放射線測定もせず、例えば、未だに会津の山脈で放射能の飛散を遮られた山向こうで収穫したようなコメの数値をもってして、「福島のコメは安全」などと言ってのけるような、「事態の深刻さをありのままに伝えずに極小化し、大企業や組合の顔色ばかり伺って原発の再稼働を進め、復興資金の基本は増税であてればいい」という霞が関の意向を素直に汲み、官僚の掌の上でころころ転がる与し易い面々であった。

そのなかにあって、鉢呂経産大臣だけが、原発に対してあららと思うような発言をしていた。細野氏や前任の海江田氏のような原発再稼働推進を促すような発言を行わなかったからである。恐らく党内のパワーバランスを考えれば、彼をその席に据えざるを得ない理由があったのかもしれない。民主党の党内政治のバランスシートなどにはおよそ興味がないので、そのことについては触れない。

鉢呂氏の人事には、最初から、「農水族に経済がわかるのか」というような批判があった。今にして思えば、「年収1500万円は中流層」と言ってのけるような経済通の海江田氏が大臣になったときも、東電から出された情報をそのまま平然とポーカーフェースで電波に乗せ、深刻な事態を国民に伝えることをあえてしなかった弁護士さんが今回経産大臣に指名されたときも、全くそんな批判が出なかったのは、誠にもって不可解なことである。とにもかくにも、就任9日目にして、鉢呂氏はあの激しいメディアによる集中砲火を浴びてあえなく辞任に追い込まれたのである。

まず、死の街発言であるが、死の灰という言葉は普通に使われている言葉である。死の灰を浴びた町という言葉は許されて、死の街はいけないのか。

確かに福島の人には気の毒である。しかし気の毒なのは、東電が引き起こした災害によって、人々が帰るに帰れない、そこで元の生活に戻る見通しが立たない、半年間除染作業もろくになされていないという事実そのものであって、死の街という言葉自体は、被災地のひどすぎる惨状を8.5マイクロシーベルトの地に初めて立って見た一人の男の中から自然に発せられたナイーブな発言に過ぎない。

政治家たるものが、被災地の人々の心情も配慮せず、ナイーブな発言をしていいのかなどという人もあるかもしれない。しかしそれを言うならば、原発事故は天罰であるなどいった政治家も同罪ではないか。

この報道に拍車をかけ、彼をして辞任にまで追い込んだのは、放射能発言である。鉢呂氏はなぜこのような幼稚な失言をしてしまったのか、むろん理解に苦しむ側面があることは否定しない。

しかし、高橋洋一氏によれば、この発言については各社それぞれ違った形で報道されており、ボイスレコーダーに収録されたわけではなく、かくとした根拠のないものらしい。

この発言が問題視されてから辞任に至るまでも大変早かった。任命したはずの野田総理は庇うこともなく、任命責任も取らず、あっさり辞任を認めた。

だが、一体なぜ鉢呂氏はこのタイミングで辞任に追い込まれたのだろうか。以下9月14付けの長谷川幸洋氏のニュースの深層に掲載された記事は大変興味深い。

鉢呂大臣は原発ムラを揺らがすような、「原発エネルギー政策見直し人事」を発表する直前だったというのである。政策の見直しに、それまで大多数を占めていた原発ムラの人に代わって、反原発、脱原発の立場をとる専門家を半数入れて、両論併記でもいいから、政策の見直しをしようと考えていたというのである。非常にフェアーな発想である。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19475

事の真相について、高橋氏は以下で述べ、最後に、「本当に大事なのは失言スキャンダルではなく、政策である」と結んでいる。

官僚をうまく抱き込み、答弁用の作文をしてもらい、それをつらつら読み上げる雄弁な首相も、相変わらず上手く詭弁を弄する経産大臣も、確かに失言に関する限り、手抜かりがあるとは思えない。

メディアは企業や官僚の虎の尾を踏んだ政治家は、徹底的にスクラムを組んで、引きずり下ろす
というような行動様式を繰り返しているが、果たしてそれは国民の利益に資することなのだろうか。

我々はメディア報道に惑わされることなく、今こそ、しっかり事の本質を見極めなければならない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19197

高橋洋一 現代ビジネス 「ニュースの深層」 9月12日付
 

鉢呂吉雄経済産業相が9月11日、失言で辞任した。2日に野田新内閣で就任にしたばかりなので、9日の在任期間だった。

 昨年11月の柳田稔法相の国会軽視発言、今年7月の松本龍復興相の被災地での不適切発言に続いて、民主党政権になって失言による引責辞任は3回目だ。

 その失言は、東京電力福島第1原発事故周辺を8日に視察した際の感想である。9日の記者会見で、感想を「残念ながら周辺市町村の市街地は人っ子一人いない。まさに死の町という形だった」と述べたことと、視察を終えた8日夜、取材記者に対して「放射能をつけたぞ」と述べたことと報道されている。

 あらかじめ断っておくが、私は鉢呂氏を擁護するつもりは一切ない。鉢呂氏の政策についても、既存の原発の耐用年数を考えながら原発は基本的にゼロにするというのは現実的な話で評価するが、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の消極姿勢はいかがなものかと思う。ただ、今回の辞任が、政策失敗ではなく失言ということだけだと、かなり違和感を覚える。やはり政策議論をしてもらいたい。単なる揚げ足取りではこの国がどうなるのか心配だ。
鉢呂氏の発言は、政治家として脇が甘いが、辞任するまでの失言なのかとあえて言いたい。

各新聞によって違う「鉢呂発言」の中身

「死の町」という表現はたしかに被災地の人を失望させただろう。しかし、半年もたつのに、何も将来に対する展望を与えられない、この現実を放置しながら言葉尻だけを捕らえても仕方がない。本当に罪深いのは、人が住めない状況を放置しているのことなのだ。現状を厳しくみれば、一定地域には当分人が住めないのは認めざるを得ない。その場合、そこに至った原因追及とともに、これからどうするかという展望が必要だ。

野田総理は、鉢呂経産相が失言で辞任したことを受けて、「福島県民の心を傷つけ、深くお詫びいたします」と謝罪した。言葉で謝罪するだけでなく、きちんと展望を与えたなくてはいけない。そのために必要なのはおカネだ。

野田総理は財務省にいたときに教えてもらえなかっただろうが、かつては政府紙幣さえも省内で極秘に検討したことがある少しの法律を変えれば、例えば10兆円政府紙幣を一枚作って、それを日銀に持ち込めば、それで政府は10兆円の財源が作れる。今のようなデフレならインフレになる心配もないし、むしろデフレ脱却にも役立つし、円高対策にもある。それを被災者に一時金として配布すれば、政策としてもまっとうな話だ。


私がもっと問題だと思っているのが、2番目の失言「放射能をつけたぞ」である。この発言をした事実が正しいなら、あまりに子供じみているし、経産相の資質を疑ってしまう。

場所は衆院議員赤坂宿舎で、8日夜の帰宅時に記者10名程度に取材された時の様子だという。9日午前の記者会見で「死の町」発言があって、この「放射能」発言もぶり返したこともあるようだ。

しかも、鉢呂氏自身は、「しぐさはあったかもしれない」が、「そういう発言はしていない」と否定的だ。
ネットの上で、検索すると、9日深夜から10日にかけて各紙で報道されているのがわかる。各紙のいいぶりと掲載時間は以下の通りだ。朝刊最終版に向けて、各社必死だったのだろう。

「放射能をうつしてやる」(産経新聞 9月9日 23時51分)
「放射能をうつしてやる」(共同通信 9月10日 00時07分)
「放射能をつけちゃうぞ」(朝日新聞 9月10日 01時30分)
「放射能をつけたぞ」(毎日新聞 9月10日 02時59分)
「ほら、放射能」(読売新聞 9月10日 03時03分)
「放射能をつけてやろうか」(日経新聞 9月10日 13時34分)
「放射能を分けてやるよ」(FNN 9月10日 15時05分)

面白いことに各紙でいいぶりが異なっている。
 記者であれば、大臣の談話はオフレコであろうと、メモだけでなくボイスレコーダーで記録しているだろう。それにも関わらず、各紙でいいぶりが違っているのは不可解だ。話をおもしろ可笑しく膨らませた可能性はないだろうか。こんなあやふやの話で閣僚が辞任する必要があるのか。

なお、8日夜のものは「オフレコの非公式懇談」なので、その発言を問題視するのはおかしいという政治家もいる。しかし、10名も記者がいてオフレコはありえない。私も官邸にいるときには、こうした場面に何回も出くわしたが、政治家にはオフレコと思わないでと念をおした。本当のオフレコは二人だけの取材のときだ。記者が複数いたら、政治家の心つもりとしてオフレコと思うほうがおかしい。

記者も大臣が辞任するほど重要な発言ならオフレコでも書いてもいい。しかし、それなら正確に書かなければいけない。「放射能」記事では各紙ともに「~の趣旨」でという曖昧な表現が多い。10名前後も記者がいるのに、誰もボイスレコーダーをもっていないはずない。今ではスマートフォンにも標準装備されているくらいなのだから。誰かが正確な話の記録を出してもいいくらいだ。

こういう空気みたいなことで、オフレコ発言で閣僚が辞めさせられるなら、今後トラップをしかける輩もでかねない。どうせなら政策論議で閣僚をとっちめてもらいたいものだ。穿った見方かも知れないが、政策議論ができない記者ほど、こうした失言をあげつらうことを好む傾向がある。
まあ記者も言い分があるだろう。13日の国会開催を控えて、政治で盛り上がるのが見えているから、取り上げたと。たしかに、国会の会期が4日と短く、予算委員会もないので、野党から見れば、失言に飛びつく。多くの良識的な国会議員が言うように、原則として通年国会にしたらいいだろう。

白川日銀総裁のでたらめ発言のほうがよっぽど罪深い

 ただし、マスコミは政策について不勉強なところがある。鉢呂氏の失言より、日本経済にとって遙かに害悪となっている発言をしても、問題にしないのはまずい。
例えば、白川方明日銀総裁の発言だ。各国中央銀行のバランスシート規模が拡大させ金融緩和する中で日銀だけが金融緩和をさぼり、デフレ・円高になっているという指摘がある(本コラム2010年1月8日号 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/60 本コラム2011年8月1日号)。

これに対して白川日銀総裁は、「日銀のマネタリーベースの対国内総生産(GDP)比は24.6%に達しており、米連邦準備理事会(FRB)の17.4%や欧州中央銀行(ECB)の11.5%を上回っている」とし、金融緩和が足りないとの批判について「明らかに事実に反している」と反論した。

日本は現金決済取引が多いので、以前からマネタリーベースの対GDP比は、カード決済などで現金をあまり使わない欧米より高かった。

問題はマネタリーベースの対GDP比の「水準」ではなく「変化」である。マネタリーベースの対GDP比の変化でみても、日本の金融緩和は足りない。
問題なのは「比率」ではなく「変化」。アメリカと比べれば一目瞭然だ
日銀クラブの記者は、日銀から教えてもらった話を書くばかりでなく、きちんとつっこんだらどうだろうか。
繰り替えすが失言スキャンダルなどよりも、本当に政治家や行政官の資質が問われるのは、政策なのである。

2011年9月17日土曜日

日本人はテストに弱いけど。。:ストレステストについて国民への周知が足りないのでは?

「テストの結果です」と数値で示されれば、疑念を持つこともなく、不服を申し立てることもなく、大抵すごすごと引き下がるテストに弱い日本人

でも、よくよく考えてみる必要がある。そのテストは妥当かどうか、テストを作った人間が公正な立場から作ったかどうか。テストをして結果を出し、分析する人間が信頼に足るかどうかをーー。

首相のみならず、細野氏、枝野氏のいずれも、霞が関を取り込んでいる原子力ムラの言いなりのようである。それが証拠に慶応の金子勝氏のツイッターによれば、環境省が作った新しい専門家委員会は全員が原子力ムラのムラ人だそうである。また環境省に保安院さんと原子力機講が合体して除染が行われるという。



環境省が放射性廃棄物の専門家委員会を作ったが、原子力機構、原子力バックエンド機構など原子力ムラの全員集合です。これで汚泥処理やる?しかも、非公開なはずなのにまた朝日新聞は1面で取り上げ。また、あたかも専門家がやっているかのような情報操作?
9月15日 webから

どうしょうもならない原子力ムラの無反省・無責任が再び横行。放射性物質を知らない環境省のもと、Speedi隠し、校庭20ミリの原子力安全委が除染基準を作り、原発事故責任回避の保安院が合体し、もんじゅ失敗の原子力機構が除染活動を行う。東電は事故手順書も国会に出さず、事故調査委は…。
9月15日 webから


菅総理は何もしなかった。しかし少なくとも四面楚歌の状況下で、脱原発を主張し、浜岡原発を止め、再稼働を許さなかっただけでも、口先三寸の、つかみどころのないにゅるにゅるどじょうの面々よりは、まだましかもしれない。ただし彼が主張したストレステストには様々な問題がありすぎる。

こんなテストにパスしたからといって、日本中の原発が安全だなどと思い込むのはひどい錯覚である。それは以下のWSJの記事にも明らかである。

メディアはもっと、国民にストレステストの内実をしっかり伝え、ストレステストの基準の見直し、その前に、ガイドラインを作成したり、テストに携わる人材の総入れ替えをやらなければ、フクシマの教訓は何も活きては来ない。

安全評価委員会は、東電から与えられた資料のみを根拠に、安全性評価の見直しをしようとしているという。その資料に基づいて、送電線の鉄塔を地盤のしっかりしたところに設置し、海水タンクを施設の中に収めれば、フクシマの教訓は活かされるのだろうか。

WSJの記事を読む限り、委員会はどうやら安くて簡便な対策でお茶を濁そうとしてるらしいが、そうではないだろう。まず責任回避のための隠蔽と、原子力産業の継続しか頭にない東電から一方的にしか降りて来ない資料の信憑性はどこにあるのかというところから始めなければ、フクシマの災害はまた想定外の名のもとに、すぐまたどこかで繰り返されるに違いない。

安全性を配慮した原発の稼働などというものは、今の日本の科学技術では到底無理であることは、この六ヶ月のフクシマでの専門家と呼ばれるお歴々の対応から、もはや素人目にもはっきりと露呈しているのである。

原子力災害は、失敗学の先生がこれまでにとり扱ってきたような、失敗を何度も何度も繰り返すことによって徐々に発展することが許されるような軽いものではない。わずかなケアレスミスが、世界の科学技術の歴史に残るほど深刻かつ、何十年、何百年の長きにわたって多くの人々に大きな被害をもたらす大災害の原因になりかねないのだから。

何の意味も持たないストレステストの実施ではなく、第1になすべきことは、東大の児玉龍彦氏がいみじくもおっしゃったように、政府の原子力関連の委員会にメンバーから、原子力ムラのメンバーを一掃し、児玉氏や小出氏、今中氏などを中心としたメンバーに対応を委ねるべきである。

http://jp.wsj.com/Japan/node_307587

日本の原発再稼働に潜むリスク

【東京】京都大学名誉教授で、原子力安全委員会の耐震安全性評価特別委員会で委員長を務める入倉孝次郎氏は、日本の原子力発電所に関するガイドラインについて、地震や津波の最悪のケースを想定しておらず、改定の必要があるとの考えを示した。運転休止中の原子炉の再開を目指す政府の動きがさらに遅れる可能性が高まることになる。
Reuters
福井県の原発
 入倉氏はインタビューで、「新規も含めて(原子力)発電所は、最低でもマグニチュード9の地震と15メートルの津波に対して対策を実施する必要性がある」と指摘した。原子炉のいわゆるストレステストに使われる基準の改定には、数カ月ではなく数年かかりそうだという。
 日本政府は地方自治体に対して、東日本大震災のあとに休止した原子炉の運転を再開するよう促してきた。福島第1原発に対する懸念は、ストレステストにより和らげようとしてきた。
 運転再開ができなければ、日本は原子力発電による電力をすべて失う可能性があるだけに、この問題についてのコンセンサスを得ることは非常に重要である。日本の商業用原子炉は、13カ月ごとに点検を受けなければならない。3月11日の大震災のあと定期点検のために休止した原子炉は、1基も運転再開を認められていない。その結果、全部で54基ある原子炉のうち、11基しか稼働していない状況となっている。これら11基も、来年5月までには定期点検のため休止される。
 規制当局は、すべての原子炉が来年はじめまでにストレステストを受けるよう命じている。ストレステストとは、原発が地震や津波、電力の欠如といった異常な状況に耐える能力を測るものだ。共同通信によると、これまでに休止している13基でテストが始められたという。
 だが、ストレステストの基盤となっている基準は、東日本大震災のような巨大な地震や津波を想定したものではない2006年にその大半が作成されたガイドラインは、政府内外の専門家から疑問視されている。入倉氏の委員会は来年3月までに報告書を出す予定だが、そこでは既存のガイドラインのなかで修正すべき箇所が示される。
 こうした状況により、政府が原子炉運転再開に向けて動いているにもかかわらず、地方自治体はためらいを見せている。
 福井県の西川一誠知事は15日、東京で枝野幸男経済産業相と会談したあと、現在のストレステストでは不十分と述べ、地方自治体は原子炉の再開の前提として、福島第1原発規模の災害を想定した厳しい基準を求める可能性があることを示唆した。福島県には日本の都道府県中最も多い、13基の原発がある。
 岩倉氏が委員長を務める委員会は、福島からの教訓について研究している。同氏は、新たなガイドラインをつくるプロセスは長期的なものになるだろうと言う。2006年の改訂にも5年がかかり、その後も津波に対処する基準を修正するため、2010年12月まで4年の歳月を要したという。入倉氏は2006年の基準を作成する委員会にも所属していた。取材の中で入倉氏は、そのプロセスに欠けていたと思われるものについて振り返った。
 入倉氏は、最悪のケースについては焦点を当てなかったと言い、津波のような異常値について評価はしたが、それらに注意すべきだとしただけで、必ずしもそれが起こることを考えるようにとはアドバイスしなかったと話す。
 大震災前に決めた基準が非常に楽観的なものとなった理由の1つとして、入倉氏は国内外の原子力業界からの圧力を挙げる。原発運営企業は、原子力安全委員会が過剰なルールを押しつけようとし、最新の工学技術に追いついていないとして批判した。
 入倉氏によると、原発の技術者からは基準を緩めるよう大きな圧力を受けたという。彼らは2006年の基準が厳しすぎ、商業用原子炉では経済的に見合わないと考えた。科学的なデータでは解明できない部分について原発エンジニアたちは、科学が解決できない疑問でも、先進的なエンジニアリングなら解決できる可能性があると話したという。
 業界が2006年に基準を緩めるよう圧力をかけたのに対し、一部では基準が甘すぎるとの批判もあった。たとえば、基準の緩和を求める声に押されて、原発は岩盤の上に建設しなければならないとの要件が、「十分な支持性能がある地盤」での建設に変更され、そうした点が批判された。委員会のメンバーだった神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は、ガイドラインが認可される前に、最後の会合で辞任した。同氏は規制が弱められたと考え、それに対する抗議を示したのだ。
 石橋氏はこの記事へのコメントは控えたが、福島第1原発の事故のあと、日本の原発はどれも安全とは考えられないと発言している。だが、入倉氏はこの結論を受け入れず、石橋氏の懸念は2006年のガイドラインにも生かされていると言う。
 入倉氏の委員会は、巨大地震や津波への防御の観点から、福島第1で何が問題だったのかに関して新たな見解を投げかける。東京電力の資料を用いて、同委員会は電源喪失を引き起こすきっかけとなった多数の弱点を発見した。電源喪失が原子炉3基のメルトダウン(炉心溶融)につながり、福島第1原発の大規模な損傷が起こった。
 取材の中で入倉氏は、これまであまり注目されていなかった問題点を指摘した。原子炉を冷やすのに必要な発電機が津波で使えなくなったことは広く知られているが、入倉氏は、地震により地盤が動いたことで外部の送電線が機能しなくなり、外部電源が断たれたという。
 発電所に向かって、あるいは発電所から伸びている送電線は、重要な機器としては分類されていなかった。したがって、送電塔は発電所の他の設備ほどしっかりとした場所には建てられていなかった。その結果、重要な送電塔の1つが、津波に襲われなかったにもかかわらず倒れてしまった。
 入倉氏は、その送電塔が倒れなければ、メルトダウンが起こる前に電力が回復できていたかもしれないと言う。同氏は、分類基準を一度破棄し、重要な原子力機器の定義を広げる必要があると話す。
 また、仮に福島第1原発の海水タンクが海岸近くの外部に露出した場所になかったとしたら、事故は防げたか、少なくとも小さくなった可能性があると、入倉氏は言う。10キロ先の福島第2原発では、海水タンクが頑丈な建物の内部にあり、津波の影響を受けなかったという。

大災害の救助・復旧にあたった人たちのケア

The Lancetによれば、Mount Sinaiの医師らによって9.11以降、9年間にわたって行われた健康障害に関する大規模なコホート調査で、WTCで救助・復旧作業に携わった2万7千500人ほどの警察官、消防隊員、復旧作業員、市職員らのうち、警官の7%は欝、9%がPTSD,、8%がパニック障害、それ以外では、欝が28%、PTSDが32%、パニック障害は21%に及んでいることが分かった。読みたい人のためにサマリーを最後に転載する。

もちろん一人で複数の障害を抱えている人もいるため、警官以外の人では8割が精神的な障害を抱えているわけではない。それにしてもである。

東北大震災の被害、原発災害は規模も災害の期間もグラウンドゼロの比ではない。東北三県で救助復旧の最前線に立っている・立った人たちへのケアは心身両面においてこれからの大きな課題になるに違いない。しかし、救助作業に携わった地元の人々への心身両面のケアという一点だけをとってみても、東北にそれができるだけの人材があるか大変疑問である。

復旧、復興に懸命になっている地元の人達に水を差すつもりはないし、フクシマで生まれ、フクシマで死にたいという郷土愛は特に年配の方々にとってはとても自然な物であると思うし、原発災害さえなければ諸手を挙げて応援したいという気になっていたと思う。しかし、広島原爆の168倍ものセシウムが漏出し、それが東海地方にまで飛散し、30年たってもやっと半分になるに過ぎないという状況の中で、「その地に留まって頑張れ」ということは、本当の意味で親切で思いやりのある言葉だろうか?

80にも90にもなった高齢者に新しい場所に移って一人で暮らしなさいというのは、あまりにも酷である。しかし、何処の地方でも、若者は東京を求め、大都会を求めて故郷を去るというのが、戦後65年の趨勢である。それを今までずっと黙認してきて、ここに来て今更のように、東北の若者にだけ、メディアや首相が「地元を捨てるな」とでもいうべきメッセージを盛んに送り続けることには、疑問を呈さざるを得ない。

何度も書くようだが、薔薇っ子は政府の判断で、原発震災が現実のものとなった段階で、即刻法律を変えてでも、東北の大規模な集団疎開が必要だったと思う。

たとえば第1次産業従事者に関していえば、東北でなくても、少子化で農業や漁業の従事者が減少して困っている農村漁村はいくらでもある。彼らがこれまでに取得した知恵や技術をいくらでも活かせる場所は山のようにある。

早い段階で、移るところに移っていれば、せっかく作った農作物や水産物が放射能汚染で、売れないなどというような問題も生じなかったはずである。明治・大正ではあるまいし、子どもや若者までが、新しい土地に引っ越すのは億劫だとか、望ましくないなどというのは、時代錯誤も甚だしい。

復興増税が政府の円高、単独介入同様、入れ仏事にならないことを祈るばかりである。

せめて原発の原子炉のそばで復旧作業に携わっている多くの作業員の人たちには、3月のブログにも書いたと思うが、造血幹細胞の凍結保存はするべきであったし、これから新たに作業に携わる人達には行うべきである。

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)61180-X/abstract
















The Lancet, Volume 378, Issue 9794, Pages 888 - 897, 3 September 2011
doi:10.1016/S0140-6736(11)61180-XCite or Link Using DOI

Persistence of multiple illnesses in World Trade Center rescue and recovery workers: a cohort study

Summary

Background

More than 50 000 people participated in the rescue and recovery work that followed the Sept 11, 2001 (9/11) attacks on the World Trade Center (WTC). Multiple health problems in these workers were reported in the early years after the disaster. We report incidence and prevalence rates of physical and mental health disorders during the 9 years since the attacks, examine their associations with occupational exposures, and quantify physical and mental health comorbidities.

Methods

In this longitudinal study of a large cohort of WTC rescue and recovery workers, we gathered data from 27 449 participants in the WTC Screening, Monitoring, and Treatment Program. The study population included police officers, firefighters, construction workers, and municipal workers. We used the Kaplan-Meier procedure to estimate cumulative and annual incidence of physical disorders (asthma, sinusitis, and gastro-oesophageal reflux disease), mental health disorders (depression, post-traumatic stress disorder [PTSD], and panic disorder), and spirometric abnormalities. Incidence rates were assessed also by level of exposure (days worked at the WTC site and exposure to the dust cloud).

Findings

9-year cumulative incidence of asthma was 27·6% (number at risk: 7027), sinusitis 42·3% (5870), and gastro-oesophageal reflux disease 39·3% (5650). In police officers, cumulative incidence of depression was 7·0% (number at risk: 3648), PTSD 9·3% (3761), and panic disorder 8·4% (3780). In other rescue and recovery workers, cumulative incidence of depression was 27·5% (number at risk: 4200), PTSD 31·9% (4342), and panic disorder 21·2% (4953). 9-year cumulative incidence for spirometric abnormalities was 41·8% (number at risk: 5769); three-quarters of these abnormalities were low forced vital capacity. Incidence of most disorders was highest in workers with greatest WTC exposure. Extensive comorbidity was reported within and between physical and mental health disorders.

Interpretation

9 years after the 9/11 WTC attacks, rescue and recovery workers continue to have a substantial burden of physical and mental health problems. These findings emphasise the need for continued monitoring and treatment of the WTC rescue and recovery population.

Funding

Centers for Disease Control and Prevention and National Institute for Occupational Safety and Health.

2011年9月15日木曜日

東大もやっと面目躍如ですね?:児玉教授の貢献

 東大出身のジャーナリストの立花隆氏は「私の東大論」「東大生はバカになったか」を執筆したのは、もうだいぶ昔のことになるが、3.11で、有事の対応が全くできずすっかり無能ぶりをさらけ出してしまった霞が関官僚、政治家、東電幹部、ジャーナリスト、原子力の利権に群がる恐るべき研究者集団など、日本の政官民のエリートたち。

とりわけ日本の最高学部である東大に対しては多大な国税を使って、一体どんな人材を育成し、どんな研究をやっているのかと世間の風当たりも強い。東大を出てエリートコースに乗れりさえすれば、国民の骨の髄までむしゃぼり尽くす特権を享受して当然とでも考えているような彼らの所業の数々。

その中で、今最も注目されているのは、7.23に衆議院厚労委員会で参考人として招致され、「国会は一体何をやっているのですか」と一喝した東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授である。

http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo

政府やメディア,原子力村の連中は、フクシマで水蒸気爆発が起こった当時、自らは安全な場所で高見の見物を決め込みながら、「被曝と被爆は全く違う。日本人は原子力といえば、すぐに原爆をイメージするが、フクシマで起きていることは、単なる被曝であり、人間は普通に生活していてもいくらかの被曝をしているわけである。原発による被曝などとは規模が全くちがう。やたら不安をかき立てるような発言をするのは問題である」と、フクシマでの事象を矮小化することに必死であった。

しかし現実はどうなのか。
児玉教授は、その席で、我が国を代表する専門家としての立場から原爆と原発のと福島の原発からは、熱量では29.8個分、ウラン換算では広島原爆の20個分(セシウムにおいては168個分)のものが漏出しており、さらに原発から放出された放射線の残存量は、1年で1000分の1程度に低下するのに対して、原発の放射性汚染物質は10分の1程度にしかならないと言い放ったのである。


3月以降、私大教授や国立大学の助教らが、フクシマ原発の放射能漏れについてしきりに警鐘を鳴らし続けていた、しかし、推進派たちは、やれ専門外であるだの、やれ学術的な研究業績がどうなの、人間性がどうだのと誹謗中傷や、取るに足らない挙げ足取りを繰り返し、何とかして彼らの梯子を外そうと懸命であった。


ところが、児玉教授の登場によって、ようやく日本政府も自分たちの国で一体何が起こったのか認めざるを得ない状況になったのである。残念ながら、この証言から既に2ヶ月の時が流れようとしているにもかかわらず、政府は政権交代や増税実施に忙しく、放射能漏れの拡大を防ぐための抜本的な措置は遅々として進んでいないけれどもーー。

少なくとも、児玉教授の登場で、東大はようやく面目躍如というところだろうか。

それにしても、情けないのは東大教授の発言だから、エリート集団の発言だから、黙って拝聴するというメディアの態度であり、国民の姿勢である。

どこの誰の発言であれ、「正しいことは正しいし、間違っていることは間違っている」というしっかりした判断力・洞察力を備えない限り、命取りになりかねないような恐ろしい時代であることを、国民はもっと自覚すべきである。

2011年9月14日水曜日

東電さん、電気料金値上げって、少しは企業努力をしたら?

 賠償スキーム、もう一度根本から、考え直すべきでは?
東電は来年から3年間、電気料金を15%引き上げるそうだが、金子勝氏によれば、原発が再稼働すれば、同時に賞与半減も2015年に修了する予定だという。


こんなことが許されていいのだろうか。国民は、増税に苦しめられた上に、電気料金アップでこの不況の中、2重に苦しめられるのである。電力会社は、「火力発電を増やすため」ということを理由に、電気料金の値上げに踏み切るそうであるが、それもいい加減なものである。そもそも、原子力だって決して安くはなかったという調査結果が出ているではないか。空前の円高であれば、当然化石燃料も安いはずである。東電を始めとする電力会社は、子どもでさえ納得できない適当な理由付けをして、気安く電気料金の値上げをするけれども、もっと企業努力をすべきではないのか。

http://www.asahi.com/national/update/0914/TKY201109130699.html

    原発コスト、従来の2倍以上の試算も

原子力発電にかかるコストは従来より高い1キロワット時12~7円台になるという試算が、13日に内閣府の原子力委員会(近藤駿介委員長)に報告された。電力業界の試算で、これまで5円台とされてきたが、原発の稼働率の低下や建設費の上昇などの影響を考慮すると上がったという。


新たな試算でも原発は他電源より安いか、同じくらいだったが、東京電力福島第一原発の事故で今後見込まれる安全確保の費用を考えれば、コストはさらに高くなる可能性もある。
2011年9月14日5時0分


 もちろん、上記のシンクタンクによる算出には、賠償や安全確保の費用はおろか、除染、事故で壊滅した原発や老朽化した原発の廃炉、放射性廃棄物の処分にかかる費用は全く含まれていない。


3K(危険、高価、汚い)も甚だしい原発を再稼働する必要などどこにあるのか。現存の官僚の天下り先や政治家の子弟の当面の就職先を確保するためか、9月の半ばになっても相変わらず関東から西日本にかけて、30度を超える厳しい残暑が連日続いている。にもかかわらず、全く電力不足のデの字も出なくなったのはなぜなのか。原発など7割がたストップしていても、電力は十二分に供給されているからではないか。


政府は、さっさと電力の自由化を進め、発送電分離を行い、電力会社の地域独占をなくせば、国民を今のような高い電気料金から開放すべきである。


 一体、電力会社の面々というのは、どういう神経の持ち主なのだろうか。除染も、まき散らした放射性物質の迷惑ゴミの回収すら行わず、世界中に放射性物質を撒き散らし、多くの人々を被曝させておいて、何が賞与か。


野田内閣は経団連のご意向通り、原発再稼働に前向きな枝野氏を経産相に据え、再稼働に向けてまっしぐらであるが、一体誰のための原発なのか。


未曽有の大きな事件を引き起こしながら原発の何が安定供給なのか。安定供給は当面天然ガスや化石燃料で十分に賄える。たとえ日本がフランスのような地震とは無縁の国であったとしても、東電のような体質の私企業に原発の再起動を許すなど、あまりに無謀過ぎる。


経団連や経済界は原発がなければ、電力の安定供給はできず、企業の生産活動は減退し、それが企業の海外進出を引き起こすと主張し続けている。


しかし実際は、原発がどうであれ日本の多くの企業が円高が原因で海外進出をすることは避けがたい。財務大臣は就任早々、円高対策を講じたいなんて宣うたが、円高は、所詮日本一国が単独で市場介入したところで、歯止めをかけることなど不可能である。つまり、企業の海外進出は不可避であり、むしろ円高を逆手にとった経済政策こそ必要とされているという意見もある。


多くの企業が海外に進出することが不可避なのであれば、企業のために多くの電力を供給をしなければならないという大前提も崩れるはずである。そもそも企業の経済活動のためには、国民の生
命や安全を犠牲にするのが当然という考え方自体が、大きな過ちである。人が人として生きる上で最も基本である健康で不安のない安全な生活さえ保証されずして、何が経済の繁栄か。



金子勝

@masaru_kaneko
慶應義塾大学経済学部教授の金子勝です。近著は『「脱原発」成長論』

来年から3年間、電気料金を15%引き上げ、原発が再稼働すれば 同時に賞与半減も2015年に 終了する予定だという。財務省・経産省が、除染もせず住民を被曝させたままで、賠償スキームで助けてくれるからと、究極の無責任です。
15時間前 webから

隠蔽、隠蔽、また隠蔽

 怖いことですね。原子力関連施設で事故が起こったとき、フランスの田舎の地元住民たちは近くの薬局にポタシウム・アイオダイドを買いに、駆け込んだというのに。福島の原発周辺住民はそんなことさえ知らなかったのです。
 東電がベントに難渋して間、多くの人達がツイッターなどで、福島第1は危険だといい、ワカメを食食べろとか、遠くに逃げろとか、マスクをしなきゃと玉石混淆の意見が飛び交いました。このたび経産省にご就任あそばされた枝野氏は、それらを、人命にかかわるデマだ、風評だ。流せば逮捕されるぞと恫喝し、公共放送局を始めとする大型メディアがその尻馬に乗って、言動統制をしようとした事実はまだまだ記憶に新しいところです。
 たしかにワカメやうがい薬はどうかと思いますが、しかし、それさえ、当たらずといえども遠からずで、むしろ「圧力容器は絶対に壊れない、絶対安全」などと原子力ムラのスポークスマンがしきりに流し続けた、何ら科学的根拠のないデマ、風評こそが、悠然と政府を信じて自宅待機などして被曝し続けた地元住民に大きな被害をもたらす結果になったのです。風評被害の元凶は、原子力村の方々であり、そのスポークスマンであった官房長官ご本人であったのではないでしょうか。


 隠蔽、隠蔽、また隠蔽。
東電、保安院、政府、安全委員会、原子力むら、そしてそれを擁護しようとする財界には全く開いた口がふさがりません。


それにしても、単に口が上手いだけの、ころんでも失言することがない弁護士さんに経産大臣が務まるのでしょうか。メディアでは大変人気のある政治家であるかのように評されていますが、3月12日にすでに事態の深刻さが十分にわかっていながら、正しい情報を全く国民に与えず、多くの人達を無為に大量被曝させてしまったことについて、彼自身、一人の人間として、どう考えているのか、是非お尋ねしたいものです。そして、そんなことをしておきながら、なおも原発再稼働に加担しようとする彼の如き政治家に、国政が託せるというのでしょうか。










http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00020.htm

原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日夜、「16日朝に20キロ・メートル圏内からの避難者にヨウ素剤を投与するように県に指示した」と説明した。しかし、15日昼過ぎには、避難は完了していた。県の担当課長は「今更、服用させても効果がないと判断し、実施を見送った」と話した。これに対し、同院は「予防的な措置として投与を決めたが、結果として対象者がいなかった」と釈明した。
 19日には、世界保健機関の緊急被曝医療協力研究センター長の山下俊一・長崎大教授が県の災害対策本部を訪れ、報道陣に対し「放射能のリスクが正しく伝わっていないが、今のレベルならば、ヨウ素剤の投与は不要だ」と話した。
(2011年3月21日03時06分  読売新聞)

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110914ddm002040071000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故 ベント失敗で敷地線量数シーベルト 3月12日試算

 東京電力福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は13日、事故発生当初に1号機の格納容器の圧力を下げるベント(排気)が失敗した場合、敷地境界での被ばく線量が「数シーベルト以上に達する」との試算を3月12日に実施していたと発表した。数シーベルトを一度に浴びると死ぬ恐れがある。
 ベントが難航していた12日午後1時ごろ、保安院職員が試算の文書を作成。官邸にいた平岡英治・保安院次長(当時)に知らされ、原子力安全委員会に文書がファクスされた。
 試算では、ベントできない状態が続くと約10時間後の同日午後11時に格納容器内の圧力が上限値(約4・2気圧)の3倍に達し格納容器が破損。大量の放射性物質が放出されると想定した。被ばく線量は敷地境界で数シーベルト以上となり、気象条件次第で原発から3~5キロで「著しい公衆被ばくの恐れがある」と記している。【岡田英】
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110913ddm012040055000c.html

東日本大震災:東電、別の手順書も黒塗り 保安院「開示命令は可能」

 東京電力が福島第1原発の「事故時運転操作手順書」の大半を黒塗りして開示した問題で、再開示を要求していた衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)は12日、同社が別の「シビアアクシデント(過酷事故)発生時の手順書」でもほとんどすべてを塗りつぶして開示したことを明らかにした。
 一方、経済産業省原子力安全・保安院がこの日の同委員会理事会で、原子炉等規制法などによって手順書の開示命令ができるという初めての説明をしたこのため、同委員会は経済産業相に対し、初めて同法に基づいて開示命令を出すように請求した。開示請求は通算4回目。
 理事会では、保安院と東電幹部がシビアアクシデント手順書を持参して説明した。資料は表紙と目次のA4判3枚で、目次50行のうち開示されたのは「消火系」と「不活性ガス」と書かれた2行のみ。両者から内容についての説明はなく、東電は会議後に資料を回収し、「核物質防護と知的財産上の問題」と説明したという。
 川内委員長は「これだけの事故を起こしておいてまったく資料開示に応じないのは遺憾。保安院も法的権限があるのを知りながら、これまで何もしていなかったということで理事からも怒りの声が上がった」と話した。
 一方、この日の会見で東電は「あくまで運転操作にかかわる手順書は社内文書。一般的に公開するものではないと考えている」としている。【関東晋慈】
毎日新聞 2011年9月13日 東京朝刊

2011年9月13日火曜日

フランスの核施設爆発:サルコジさん、他国に技術を売ってるけど大丈夫なんですか。

フランスの核処理施設が爆発し、死傷者を出す大きな事故となった。日本同様、政府の原子力関連省庁である原子力庁は火消しに躍起になっているそうだ。

福島震災後、混乱でお手上げ状態の日本に早々と来日して、世界最新の原子力技術のセールスをやってのけたサルコジさん。

日本は、故障が絶えないちゃっちい汚染水装置を信じがたいような売値で有り難く購入したそうだが、京大の小出助教曰く、こんな装置を入れたところで何の抜本的解決にもなっていないという。

サルコジさんも、再選を狙うなら方向転換が必要なのではありませんかね。フランスも利権絡みで、そうそう簡単に原子力を諦めることはできないのかしら。

それから、フランスでさえ国民の60%が脱原発に向いているのですよ。日本の推進派の方?

以下毎日(電子版)とブルームバーグの関連記事を転載する。

http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/09/12/20110913k0000m030149000c.html
仏核施設爆発:原発大国に衝撃 政権、担当相を現地へ急派

フランス南部ガール県マルクールの位置
フランス南部ガール県マルクールの位置
 「フクシマから6カ月後、原子力が人間生活に受け入れがたいリスクをもたらし続けていることがまたも明白になった」--。フランス南部の低レベル放射性廃棄物処理施設「セントラコ」での爆発事故は、原発大国のフランスを大きく揺さぶり、来年の大統領選の新たな混迷要因となる可能性が出てきた。
 「代替エネルギーは存在する。脱原発にかじを切るべき時が来た」。来年の大統領選候補者の一人、「欧州エコロジー・緑の党」のジョリ氏は事故後すぐに声明を出し、冒頭の発言をした。ジョリ氏は「住民や職員の状況、リスクについて透明性を確保し、リアルタイムで情報を開示することを求める」と述べた。
電力の約8割を原子力に依存し、原子力発電所の数で世界第2位、また原発輸出大国でもあるフランスでは、ドイツのような脱原発のうねりは起こらなかった。サルコジ大統領ら首脳は東京電力福島第1原発事故を原子力の最新技術を売り込む「商機」ととらえた。日本では汚染水処理機などの販売、老朽化した原発を数多く抱える米国でも次世代原子炉の販路拡大を狙った。
 それだけに、今回の事故は大きな衝撃波となって政権を揺さぶった。サルコジ政権は事故からわずか2時間後にコシウスコモリゼ・エコロジー相を現地へ急派し、原子力を推進する原子力庁は爆発事故直後から「原子力事故ではなく産業事故」と位置づけ、火消しに躍起となった。
 サルコジ大統領は来年の大統領選をにらみ、仏ドービルで開かれた5月の主要8カ国首脳会議(G8サミット)で安全基準作りを提唱するなど、「フクシマ後」の世界の原子力政策で主導権を握ることで、脱原発の動きを抑えるとともに、国内向けに指導力をアピールするもくろみだ。
 だが世論調査では、社会党のオブリ第1書記、オランド前第1書記に後れを取り、極右「国民戦線」党首のルペン氏にも迫られている。「欧州エコロジー・緑の党」は現在のところ支持を伸ばしていないが、福島事故直後は原発反対派が6割を占めるなど、潜在的な支持層は存在する。「原発」が争点化した場合、大統領選はさらに混迷を深めそうだ。【宮川裕章】
 ◇IAEA、緊急事態対応センター設置
 一方、国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)の天野之弥事務局長は12日、仏当局に事故の詳細報告を求める一方、緊急事態対応センター(IEC)を設置したことを明らかにした。IECは事故状況を迅速に分析し、当事国や周辺国に的確な関連情報を提供する。【ウィーン樋口直樹】
フランス核処理施設で爆発、1人死亡-放射能漏れはないとEDF (2)
  9月12日(ブルームバーグ):フランス南部のマルクール核廃棄物処理施設で12日に爆発が起き、1人が死亡、4人が負傷した。同施設を運営するフランス電力公社(EDF)が明らかにした。
  EDFの広報担当者、キャロル・トリビ氏は電話取材に応じ、放射能もしくは化学物質の漏出はないと発言した。爆発があった施設は低レベル核廃棄物の処理に使われている。欧州最大の電力会社である同社の株価はパリ市場で一時7.8%下落した。
  同施設はフランス第2の都市マルセイユから約130キロに位置する。ここを運営するEDFの部門が発表したところによると、火災は現地時間午後1時6分に鎮火した。負傷者の1人は重体という。
  また、フランス原子力安全局(ASN)は「施設外の放射能漏れはなかった」との声明を発表した。
  電力需要の4分の3を原子力に依存するフランスでは、原子力関連施設が洪水や地震、停電や冷却機能の停止にも耐えられるか、全国の施設で原子力当局が安全性点検を実施している。EDFのほか、核燃料供給で世界最大手の仏アレバと研究機関CEAは施設の対応能力に関する報告書の提出期限を今月15日に迎える。
  国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長はウィーンでの会見で、この日のフランスでの爆発は安全性について協議するだけでなく、行動に移す必要性を浮き彫りにしていると指摘した。
  コシウスコモリゼ環境相は声明で爆発が起きた事実を確認。現地を視察することを明らかにした。
記事に関するエディターへの問い合わせ先:Vidya Root atvroot@bloomberg.net
更新日時: 2011/09/13 00:02 JST