一方、原発推進団体のIAEAが現実的な除染計画を日本政府に要請したことは、まったく問題視されていない。原発災害が発生して以来すでに7ヶ月以上の時が流れているのに、まともな線量計測も行われず、首都圏では業を煮やした一般庶民が線量計を入手して、自分たちで線量を計測を行っている。
除染作業が上手く進んでいるという報道は頻繁に行わるが、放射能にまみれた土や草木や作業服を貯蔵する場所については、まだ何も具体的なことは決まっていない。汚染物質の取り扱いについては、もっとも専門的な知見を持っているはずの東電にいたっては、汚染された作業員の防御服を山積みにしたまま放置し、それをまたご丁寧に録画し公開しているのだから、何をかいわんやである。作業服の録画を計画、編集、配信しているような暇があれば、本店の社員総動員で、敷地内に汚染物質を貯蔵するための穴掘り作業に励んでいただきたいものである。
汚染物質は、鉛のドラム缶につめて密閉し、もよりの原子力発電所の敷地内に運びこむことが、もっとも現実的な対応であろう。原発のある自治体や地域住民には、過去何十年にもわたってその迷惑料は電気代や税金から支払われ、恩恵に浴してきたのだから。
森林地域が多い東北での除染は周到にやろうとすれば、気が遠くなるほど費用のかかる大変な作業となるし、恐らく不可能に近い。
何度も書くが政府は、スピーディの計測結果をすぐに国民に公開し、迅速に法改正をして、高線量の地域に住む住民は集団疎開させ、その周辺何十キロ圏内は、すべて立ち入り禁止地域とすべきだったのである。
否、今からでも、それをやったほうが、食料の線量計測をして安全宣言を出しているのにもかかわらず、被災地周辺でとれた水産物や農作物が一向に輸出できない、風評被害で売れない、地元の復興が進まないなどと地団駄を踏み続けているより、はるかに賢明である。
http://jp.wsj.com/Japan/node_324914?mod=MostPopularBlock
IAEA報告書、現実的な除染計画を政府に要請
【東京】国際原子力機関(IAEA)は14日に公表した報告書で、東京電力福島第1原子力発電所周辺地域の放射能汚染への対処について一段と焦点を絞った現実的な政策を取るよう日本政府に要請した。
12人のメンバーからなるIAEA除染専門家チームが作成した同報告書では、「被曝量の削減にそれほど効果的でない可能性のある過度に保守的な方法を避けることが勧められる」と言及した。同チームは政府ならびに地方自治体が行っている様々な除染プロジェクトをここ9日間にわたって視察した。
環境省は先月、年間の被曝量が5ミリシーベルト以上の地域を除染する場合には、2400平方キロメートル超の面積の土地が除染される必要があるとの試算結果を示した。政府試算によると、その費用は1兆円を超える見通し。また、対象地域の大半は人口の少ない森林地帯だ。
環境省は年間の被曝量をさらに1ミリシーベルトまで引き下げるという圧力にさらされている。そうなれば、政府の資金援助が必要な除染作業の量がさらに増大することになる。
しかし、今回のIAEAの報告書では、放射性廃棄物の処理場が不足しているために、「有効な除染活動が過度に制限され、損なわれることになり、国民の健康と安全が危険にさらされることになりかねない」と指摘した。IAEAの専門家チームは日本政府に対し、一段と現実的な目標を設定するとともに、土を全部除去するというよりも表面の土を地下に埋めるなど、実施が比較的容易な除染方法を採用するよう提案した。
IAEA除染専門家チームのホアン・カルロス・レンティッホ団長は記者会見で、「森林など一部地域で(除染の)プロセスを調節する余地があることが分かった」と述べた。
レンティッホ団長は、「慎重になり過ぎることを避けるという観点から戦略を最適に調節することが非常に重要だ。利益と負担のバランスを図ることが重要だ」と語った。
同団長はさらに、金銭的コストだけを考慮するのではなく、かかる時間や発生する廃棄物、作業員の被曝についても検討する必要があると強調した。
同報告書はまた、課題が膨大なにあることを考慮し、地方自治体や地域社会の一段の協力を呼びかけた。
IAEAの視察は、3月の福島第1原発事故の発生以来、今回が2回目となる。
日本の食品輸出が引き続き、海外で安全性のイメージにかかわる深刻な問題から打撃を受けるなか、除染作業は急務だ。中国を訪問中の枝野経産相は14日、中国に対し日本の魚介類や農産物の輸入が事実上停止している状態の改善を要請した。日本にとって主要市場の1つである中国向けのこうした品目の8月の輸出は、前年同月比で30%超減少した。
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