年金が霧や靄のように、自然に消えるわけでもなく、忍者のように、自分で姿を消すはずはもないのに、「消えた年金」などという言葉が普通に使われていること自体が変である。
責任の所在を曖昧にし、国民を煙に巻いてしまうくための巧妙なレトリックの一つだと思うのは、穿った考え方だろうか。
年金が消えるはずはない、誰かに「消された」のである。
他人の年金を着服し、消した人間が、盗人猛々しい組織が、存在するのである。
年金業務に携わる行政に関わる公務員が国民の年金を着服し、記録を末梢してしまうという許しがたい大罪を犯しながら、誰一人としてその責任を問われた者はいないのである。
民主党政権になって、年金問題の改善に真剣に取り組もうとした大臣もいたが、官僚のブーイングとサボタージュに抗しきれない軟弱な内閣のおかげで、さっさと降格させられてしまった。
以来、社保庁が日本年金機講と名前替えをしただけで、もっとも肝心の「消された年金のゆくえ」やその責任の所在の追究については完全に不問に附されることとなってしまった。それどころか、野田氏が財務相、総理に就任以来、官僚による公金の着服や無駄遣いは不問に付し、増税によって問題解決をはかろうという短絡的な増税一辺倒の議論が始まったのである。
しかし、年金問題の現実はといえば、自分で年金納付のレシートを何十年間にもわたってきちんと保存していないと、年金を払ったことさえ証明するすべはなく、何十年にもわたって収め続けた年金が支払われないという理不尽な状況が、この国ではあたかも当然であるかのように正当化されてしまっているのである。
預金通帳をなくしたら最後、預金がゼロになってしまう恐ろしい銀行に、一体誰が大切な貯金をしようという気になるかという日本の年金という社会保障制度の大きな問題は何も解決していない。
厚労省は子どものときから年金を納めることの必要性を説くために、無駄な検討会議を組織して、小中高の副教材を作成するという、実に馬鹿げた新たな税金の無駄遣いをするそうだ。
多くの国民は有給休暇さえまともにとらず、汗水流して真面目に働き、納税しているというのに、どうして財政がこんなにひどく逼迫するのか、誰が国の経済を誤った方向に導いたのか、誰が、あるいはどの組織が、どんな無駄遣いをしているのかを摘発し、厳しく責任を問う仕組みを抜本的に作らない限り、消費税を20%にしようが、30%に釣り上げようが、出世や天下り先を確保するために、霞が関は大手を振ってやりたい放題、税金の無駄遣いを繰り返すばかりである。
国民もバカではないし、子どもをバカにしてはいけない。
こんなことを大人が許している限り、どんなに素晴らしい副教材を作ったところで、若者の年金ばなれに歯止めをかけることなど不可能である。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111016/t10013289341000.html
厚労省 社会保障学ぶ副教材作成へ
10月16日 5時41分厚生労働省は、年金や医療などの改革を進めるにあたって、子どもの頃から社会保障制度を理解してもらう必要があるとして、小学生から高校生に向けた副教材を作成することになりました。
厚生労働省は、先に政府・与党が決定した社会保障と税の一体改革案に沿って、年金や医療、介護などの具体的な改革案作りを進めています。ただ、厚生労働省では、年金記録問題などをきっかけに、「年金制度は破たんするのではないか」という不信感や、「社会保険料の負担が重すぎる」などといった不満が広がっているなかで、改革を進め消費税率の引き上げなど新たな負担を求めるためには、子どもの頃から社会保障制度を理解してもらう必要があるとしています。このため厚生労働省は、有識者による検討会議を設置して、社会保障制度に関する副教材作りを進めることになりました。会議では、社会保障制度に対する理解がどうして深まらないのかを検証したうえで、学んでもらう内容などを検討することにしています。そして来年3月までに、小学生、中学生、高校生のそれぞれの年代に応じた副教材を作成し、各学校で活用してもらいたいとしています。
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