確かに、東京地震や東海地震については長年あれこれ指摘されてきたが、神戸に地震が起こるなどということも専門家は誰も予知できなかった。東北の太平洋沿岸に大きな地震が来るという人はあってもせいぜいマグニチュード6か7程度のことで、未曽有の大地震が来ることを言い当てたのは、預言者だけであったという。
東大の物理学者は、そもそも今の科学の力で地震の予知など行うことは無理であると言い切っている。
にもかかわらず、2日前、原発関連の機講と電力会社は、以下のような非常に興味深い見解を公表している。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108300364.html
活断層を再評価「原子力施設の安全性、影響なし」
東京電力など電力会社8社と日本原子力発電、日本原子力研究開発機構、日本原燃は30日、東日本大震災を踏まえて活断層を評価しなおしても、原子力施設の耐震安全性に影響はないとの見解を公表した。今回の震災で東電が活断層ではないとしてきた断層が動いたため、経済産業省原子力安全・保安院が検討を求めていた。
震災の影響で、東北地方を中心に地下にかかる力が変わり、従来とは逆の東西に引っ張る力が働くようになった。4月11日にはこの影響とみられるマグニチュード(M)7の地震が福島県で起きている。
このため、東電は、福島第一、第二原発周辺の五つの断層が動く可能性を否定できないとして新たに評価。動いたとしても想定を超える地震の揺れは起きないと結論づけた。原発の西数キロを通る双葉断層南部については従来同様、地震を起こさないとした。
日本原電も東海第二原発(茨城県)について同様の評価を公表。東北電力も東通原発(青森県)や女川原発(宮城県)について、地殻変動はあるものの過去の調査から断層の活動は否定できるとした。
北海道電力や関西電力などの遠くの原発は、東日本大震災による影響は小さいとしている。九州電力は同様の結果をすでに報告済み。(佐々木英輔)
一体何の根拠があって、彼らはこんな断定ができるのだろうか。彼らは強力な予知能力を持った預言者でも抱えているのだろうか。
想定が崩れたときは、国民がどうなろうと、3人前に並んで「申し訳ございませんでした」と2,3度テレビカメラの前で頭を下げておきさえすれば、それで済まされるのだから、自分たちにとって都合のいいことばかりをでまかせに言っていればいいと思っているのかもしれないが、こうした発表を黙認して、後で泣きを見るのは決まって国民であることを我々は忘れてはなるまい。
今日は9月1日、関東大震災があった日だということで、この日になると毎年、地震と防災訓練がセットで論じられる。今日もその例外ではなかった。NHKの時論公論でも、何を言うのかと思ったら、これまでの地震・津波の常識が3.11以降全く覆されたので、それに対する抜本的な見直しが必要だといっただけであった。
大地震・大津波によって引き起こされる危険性が大きい最も広範囲かつ、経済的なダメージが大きく、長期にわたって国内はもとより国外にまで深刻な影響を与える事象は、何かといえば、6ヶ月たっても、収束するどころか逆に死亡者や高線度の被爆者を出し続けている他でもない原発の崩壊である。
にもかかわらず、原発と地震・津波の安全基準の問題があたかも別次元の問題のようにしか取り扱われず、大方のメディアもその尻馬に乗っていることは実に興味深い。
たとえば、原発に対して実施されることになったストレステストも、本来、地球環境学の専門家らによる安全基準の抜本的な見直しを行い、新らたな基準を設け、テスト項目を根本的に1から作成し直した上で、初めて実施されてこそ、一定の意味を持つものであるが、保安院さんのストレステストはそんな抜本的な見直しもせず、従来の安全基準がそのまま使われるそうである。
今日のモーニングバードで玉川徹氏のそもそも総研を録画しておいたのを見たが、この番組だけは別で、名古屋大学の地球環境学教授古本氏にインタビューを行い地震学の観点から、日本で原発を設置することがいかに荒唐無稽なことであるか、新しい地震学の常識に基づいて語らせている。
産業技術総合研究所の吾妻氏もまた、通常動きにくい活断層が動くことによって、断層の常識も変わったという。たとえば、福井の敦賀原発の真下には、いくつもの活断層があり、近くで大きな地震があれば、これが誘発されかねない危険性を孕んでいることを指摘していた。
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