2012年3月9日金曜日

東電、メインバンクは債権放棄すべきでは?

東電の取引銀行団は、1兆円余の追加融資支援を行う基本合意を行った。家庭用電気料金の値上げと原発再稼働が融資の条件だそうである。

東電はそこまでして、守る価値のある、あるいは存続の必然性がある会社なのだろうか。まず必然性という点からいえば、竹中平蔵はWSJのインタビューで東電は100%国有化すべきという主張をしている。

週刊ポストも、「東電を潰してしまったら、被害者に賠償金を支払う会社がなくなる」という奇妙な屈で、東電を擁護しているが、それは国民に大きな負担を強いる以上の何ものでもないことを指摘している。一時国有化して、ほとぼりが冷めたらまた東電に経営を任せ、その収益から賠償金を長期返済させるなどと言われているが、100年たっても返済できるような額ではなく、東電のつけは、どの道国民が高い電気料金か税金か、その両方または、いずれかで支払わされることになるという。

東電は守る価値のある会社かということであるが、むろんこれまでろくな仕事もせず、破格の高待遇を受けてきた社員や、電事連などの組合員、利害に群がる官僚や政治家、御用学者やメディア、株主や取引銀行にとっては守る価値が十分にある会社には違いない。しかしTOPCOの社会的な信用は世界的に見てもすでに地に落ちているし、これだけの迷惑を国民に及ぼしながら、「東電原発災害1周忌」に、西澤社長や勝俣会長は、公式な記者会見の場で、国民への謝罪を行う予定すらないという。

原発を再稼働させなければ、電力不足に陥るということがまことしやかに言われているが、竹中氏は、小泉構造改革の時代に、東電が猛反対をしたが故に、電力の自由化や発送電分離ができなかったという。もしそのときに今の西澤社長ら電力会社の連中が、反対していなければ、今頃は電力不足などというような事態は生じなかったはずだという。その1点をとってみても、西澤氏の責任は大変重いものがある。燃料費にしても、これは東電1社の問題ではないが、日本全国の電力会社ができるだけ安い燃料を買いつけるための企業努力をしていれば、今のように、世界一高い価格で天然ガスを買い取るなどというようなおかしなことにもならなかったはずである。

責任者が責任の所在をあいまいにし、都合の悪いことは何もかも隠ぺいする、尊大で、でたらめな電力会社は、債務超過になるまで放置すべきであり、こんな不良企業にこれまで多額の融資をしてきた銀行がなすべきは、債権放棄であり、株主もまた応分の責任を負うべきである。

そして、そうすることこそが、日本が世界の国々から信頼を取り戻すための最初の第一歩に他ならない。

3.11以降福島原発への対応をめぐって、この国が法治国家であること、民主主義国家であること、そして自己責任を原則とする資本主義国であることが疑わしいような出来事が次々に現実のものとなっている。

大変嘆かわしい限りである。個人の言論が監視され、言論・表現の自由が脅かされ、大きな社会的責任が問われるような重大な過失を怠慢によって引き起こしながら、責任をとらせる仕組みを作らず、一部の権力者の私利私欲のためだけに、それ以外の国民が健康で安全な暮らしを脅かされ、どこまでも犠牲を強いられるーーそんな閉塞感と欺瞞に満ち溢れた国に、いったい誰が振り向いてくれるだろうか。

大変残念なことながら、現行を維持する限り、日本は国際社会の中で、ますます疎んじられ、衰退の一途を辿るであろうことは目に見えている。

http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204276304577265043898920490.html


Japanese Utility Tepco to Get Help From Banks




TOKYO—Japan's biggest banks are finalizing proposals to provide Tokyo Electric Power Co. with new loans and rollovers worth billions of dollars, a key part of efforts to improve the utility's financial health after the Fukushima Daiichi nuclear accident last year.
But people familiar with the matter say the proposals, expected to be submitted to Tepco and the government by Wednesday, won't be enough to address the company's more fundamental problems over the longer term: its massive outstanding liabilities and the huge cost of dealing with the aftermath of the disaster.


http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_404849?mod=WSJ3items


【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授

東京電力と原子力損害賠償支援機構が今月まとめる「総合特別事業計画」に、東電の財務基盤強化を目的とする1兆円の公的資金注入申請が明記される。これに伴い、東電の経営形態や経営トップの人選をめぐる駆け引きが交錯している。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は8日、小泉政権で金融機関の再生を目指した政策案「金融再生プログラム」を立案した元金融担当相の竹中平蔵慶応大学教授に、東電の処理について話を聞いた。
──金融担当相当時、経営難に陥った金融機関に公的資金を注入し、大胆な不良債権処理を進めた。今回の東電の処理をどうみるか。
よく、りそなの例を出されるが、東電はりそなのケースではなくて、完全に足利銀行のケースだ。
竹中平蔵氏Hajime Yamaguchi/The Wall Street Journal
竹中平蔵氏
金融の場合は特殊だ。預金保険法102条に基づき、自己資本が不足したら公的資金を注入する。債務超過、つまり資本金がゼロ以下になった場合は、一時国有化する。(注釈:前者はりそなホールディングス、後者は足利銀行に相当する)
電力会社にはこういった法律はない。それを現行の法律の枠組みでできるかどうかは微妙な法律判断になる。それがもしできないと判断するなら、新しい法律を作ればいい。法律はすぐできる。預金保険法102条に準じた、公的な機能を持った電力会社に関する法律を作ればいい。
──国はどの程度の議決権を握るべきか。
東電の場合は銀行ではないので、資本が少なくなってもかまわない。債務超過になるまでは放っておけばいい。債務超過になれば、価値がゼロになるわけで、一時国有化する必要が生じる。その場合、議決権は100%国が持つべきだ。
「実質的」国有化という言葉がよく使われるが、これはおかしい。名目的に、完全な国有化が必要だ。要はこのような問題を起こしてしまったが、電力を供給するという機能は公的に必要だから、国が一時、それを肩代わりしましょう、ということだ。国有化している間、つまり議決権を100%持っている間に経営者に責任を取らせ、新しい経営者を入れ、必要なリストラを全部行う。その上で、それを民間に売ればいい。ストラクチャーは非常に簡単だと思う。まさに足利銀行の時にそうした。
(現在のプロセスは)東京電力という会社を残すためのものだ。国民からみれば、電力会社は必要だが、それが東京電力という会社である必要はまったくない別の会社でもいい。その機能を一時国が担って、きちっとした形にして民間に売ればいい。こんな問題を起こしたのに、公的資金で生き残るというのでは国民が納得しない。
──東電の経営を担える人材を外部から登用するのは困難との見方もある。
だからこそ、100%国有化する必要がある。そうすれば、政府が任命責任を完全に握ることができる。政府が全責任を負うということだ。全面的に責任を負っている国が人選をして、(登用した人材が)ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続けるということだ。
今のような形だと、いったいだれが責任を負っているのか分からない。最終的な責任は東京電力にあるわけだが、責任の所在は非常に不明確だ。公的な機能を負っている以上、電力会社そのものをなくすわけにはいかないのだから、今回は国が全部責任を持つ。そのような形で責任の所在を明確にしなければならない。
──国有化後の東電の姿はどうあるべきか。
東電を民間に売るということが極めて重要だ。国有化はするが、それは一時的なものだ。ただし、その間は政府がすべて責任を持つ。リストラをできるだけ行い、価値を高める必要がある。
売却の際には、発電の部分と送電の部分を分ける必要がある。送電については規模の経済性があるから、これは1社でやる方がいい。これは公的な機能を持った民間会社になる。しかし発電に関しては規模の経済性はない。むしろできるだけ競争してもらう方がいい。それを商社が買っても関西電力が買っても、どこが買ってもいい。実際、足利銀行は野村証券を中心とするグループが買った。そういう形で、きれいにしてできるだけ高く売ればいい。
1つ問題になるのが原子力発電所だ。原発については国の方針がまだ決まっていないのでこれは当分、国の組織が持ち続けるというのが選択としてはあり得るものだと思う。
東電をモデルケースにして、同じような枠組みを全国の電力会社にあてはめていく。10年前、小泉内閣のもと、経済財政諮問会議ですでに、電力の新規参入や発送電の分離に関する議論を散々行った。それに最も強く抵抗したのが東電だったあの時、もっと発電に競争原理を導入し、たくさんの発電業者を入れていれば、電力不足にはならなかった。


東京電力:社員食堂運営、子会社が丸投げ 電気料金に上乗せ--都調査で判明

東京電力が、同社OBの受け皿となっている子会社の利益をかさ上げするため、この子会社に委託した社員専用レストランの運営を、実際は別会社に丸投げし、東電に入るべき利益が入らず、結果的に電気料金上乗せにつながったことが5日、東京都の調査で明らかになった。都は「他の子会社とも、こうした取引が常態化し、電気料金に上乗せされている」(猪瀬直樹副知事)として、近く枝野幸男経済産業相に調査を要請する。【永井大介】
都によると、問題の子会社は東京リビングサービス。東電独身寮の運営や旅行事業など東電の福利厚生や介護、保育園事業にも乗り出している。社員数は1000人で、10年度の売上高は約140億円。「東電OBの受け皿で、取引の7割は東電が相手」(東電関係者)という。
リビング社が、東電から運営を委託されていたのは東京・渋谷の社員専用の高級レストラン「渋谷東友クラブ」。リビング社は実際は、別の会社に高級レストランの運営業務を丸投げし、一部の利益を吸い上げていたという。
都は、東電がOBのいるリビング社に利益が生じるよう、こうした取引をした結果、東電に入るべき利益が大幅に減ったとみている。
レストランは昨年5月末に東電がリビング社との契約を解除したため、現在は外部業者の直営店となっている。東電広報部は子会社を間に挟む取引を認めた上で、「リビング社は売却する方針。今後も取引形態の見直しは進める」としている。
子会社の絡む不明朗な取引については、東電の経営状況を調査した政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」の報告書でも「(子会社を含めた)関係会社は東電向け取引で稼いでいる」と分析。都の調査で不透明な取引の具体的事例が浮かび上がった形だ。
毎日新聞 2012年3月6日 東京朝刊

東電1兆円追加融資 銀行団と支援機構、基本合意 

2012.3.1 01:37
 東京電力への経営支援をめぐり、三井住友銀行などの取引銀行団が計約1兆円の追加金融支援を実施することで、政府の原子力損害賠償支援機構と基本合意したことが29日、分かった。3月中にまとめる総合特別事業計画に盛り込む。金融支援は1兆円の公的資金による資本注入と並ぶ経営再建の柱。
銀行団は支援の条件として、家庭向けの電気料金の値上げや原発の再稼働による収益改善を求めていた。いずれも見通しは立っていないが、計画取りまとめ期限が迫るなか、要請を受け入れざるを得ないと判断した。
支援機構と東電は、3月7日を回答期限として追加金融支援を要請していた。原発停止に伴い増大している火力発電用燃料の調達費や福島第1原発の廃炉費用などに充てる資金で、実施されないと、資金繰りに行き詰まる恐れがある。
支援の内訳は、(1)新規融資5千億円(2)必要時に随時引き出せる融資枠4千億円(3)既存融資の残高維持のための借り換え1700億円-計1兆700億円。これまでの協議で、日本政策投資銀行が約5千億円、三井住友銀行が約1千億円、みずほコーポレート銀行が約600億円、三菱東京UFJ銀行が約400億円を負担し、残る約2千億円を日本生命保険や三井住友トラスト・ホールディングスなどが引き受けることが固まった。
支援機構は銀行団に平成24年度中に家庭用を含め平均10%の料金値上げを実施することや25年度以降に柏崎刈羽原発を再稼働させることを提示している。値上げには政府が反対姿勢を崩していないうえ、再稼働も地元の同意を得られるかは不透明だ。ただ、銀行団が支援を拒否すれば、事業計画の策定が行き詰まるのは避けられず、銀行団は公的資金の投入決定に先駆ける形で支援を受け入れた。

放射能汚染、どこまで隠すのか?:コピペ

http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204603004577268902086566084.html



A Job Becomes a Mission


Wall Street Journal reporters revisited some people featured in coverage over the past year, whose lives were upended by the events of last March 11. Here's an update on a nuclear scientist who blew the whistle on the government's handling of the accident.
The nuclear accident in Fukushima turned Toshiso Kosako's life upside down.
The 62-year-old nuclear scientist, accustomed to a quiet academic existence at Tokyo University, found himself trailed by paparazzi, hit by half a dozen death threats and besieged by thousands of phone calls seeking advice on radiation safety (overwhelming his fed-up secretary).
Mr. Kosako became an overnight sensation last April when he resigned as emergency nuclear adviser to then-Prime Minister Naoto Kan to protest Tokyo's handling of the accident. Specifically, he criticized the government's decision to set the limit for children's annual schoolyard exposure at 20 millisieverts.

Read the Earlier Article

"I could not expose my own children to that level of exposure," he said at a press conference, as he wiped tears from his eyes.
Government officials dismissed his criticism as "an individual opinion."
[0307profile07]Agence France-Presse/Getty Images
Toshiso Kosako resigning last April
Mr. Kosako spent the next two months hiding within the walls of his university, working with students. When he re-emerged in public in July, he actively began to raise his profile, attending a number of academic conferences both in Japan and abroad and giving media interviews.
"Until 3/11, I just saw this as my job," said the chatty, bespectacled professor. "Now I have a sense of mission that I need to help a lot more people understand."
He is currently working with the National Council on Radiation Protection and Measurements, a Bethesda, Md. organization of independent scientists, to establish an international commission of nuclear experts to investigate the Fukushima accident, similar to one that probed the accident at Chernobyl.


Back to Normal for a Fukushima Cleanup Crew

Wall Street Journal reporters revisited some people featured in coverage over the past year, whose lives were upended by the events of last March 11. Here's an update on the workers called in during the early days of the Fukushima Daiichi nuclear disaster.
When explosions rocked the Fukushima Daiichi nuclear plant a year ago, Masayuki Sakamoto was one of the first people called in. Although the owner of 35-person construction firm didn't know it at the time, the March 11 earthquake and tsunami had just precipitated meltdowns at three of the plant's reactors.
Mr. Sakamoto spent the next month inside the contaminated plant compound clearing debris, setting up water tanks, and doing other heavy work to help tame the overheating reactors.
He had never dealt with radiation before, and though conditions after the accident were extremely hazardous, he was given very little training on what to do. By June, workers at his company, Hokuriku Koki, were being tested to see how much radiation they'd been exposed to.
These days, Mr. Sakamoto says life is largely returning to normal for Hokuriko Koki, with most workers back to their regular labors of laying drains for dams and other construction projects. He and his employees stopped working inside Fukushima Daiichi in December, he says, around the time that plant operator Tokyo Electric Power Co. declared reactor temperatures had fallen to a "cold-shutdown" level, with little radiation being released.
Radiation levels in most areas inside the compound have gone down dramatically since the initial days after the accident, and the dirt-and-rock-moving crews called in for emergency response have been replaced by the kind of specialists and technicians who'd been working at the plant before, says Mr. Sakamoto.
"They probably fled when it was dangerous and used us," he says.
Some five or six of his employees have been working this year inside the 18-mile danger zone around the stricken plant, decontaminatiing roads, houses and rice fields. Rice-field decontamination, Mr. Sakamoto says, largely involves scraping off the top layer of soil and putting it in a bag for storage somewhere. The Japanese government still hasn't come up with a plan for permanent storage and disposal of all the irradiated dirt, rocks and wreckage littering the region.
Mr. Sakamoto says that he and his workers registered relatively low levels of accumulated radiation exposure. He didn't reveal details, but says their levels have been under the 100 millisievert limit the government has set as permissible for nuclear-plant workers.
"We're pretty much all fine," he says.

2012年3月6日火曜日

米専門家「フクイチ原発災害は防げた」「東電には計駅責任がある」: コピペ

http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012030601001892.html


原発事故防げたと米専門家 津波リスクを過小評価


 【ワシントン共同】経済産業省原子力安全・保安院や東京電力が国際的な基準に沿って津波などに対する安全対策を強化していれば、福島第1原発事故は防ぐことができたとする専門家による報告書を米シンクタンク、カーネギー国際平和財団が6日発表した。
 報告書は各国の対策や国際原子力機関(IAEA)の指針を示した上で「日本は国際基準や対策事例の導入が遅れており、これが事故の原因となったことを示す証拠が多くある」と指摘。さらに「なぜ津波のリスクを過小評価したのかを探るのが最も重要な課題だ」と問題提起している。2012/03/06 23:00   【共同通信】

米国で「東電には経営責任がある」株主代表訴訟も

2011.3.30 22:44 (1/2ページ)
 【ニューヨーク=松浦肇】東京電力の経営責任を問う声が米国内で強まっている。東日本大震災で事故を起した福島第1原子力発電所への対応処理、情報開示の遅さに対して、エコノミスト、大学教授からウォール街関係者まで批判的だ。東京電力が昨年9月に実施した公募増資では米国の投資家も東電株を購入しており、海外発で株主代表訴訟が起きる可能性も出てきた。
 「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」。米国家経済会議(NEC)前委員長のローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授が23日、ニューヨーク市内の講演で断言すると、会場が静まり返った。
 米国では、震災後の落ち着いた日本の社会秩序が評価される一方で、経済の先行きが懸念されている。
 米国のエコノミストは第2四半期(4~6月)の日本の国内総生産(GDP)が前年比約3%減るとみているが、減少率の半分、1・5%分が東電「発」によるネガティブ要因。放射能漏れや停電が都心部の経済活動を妨げ、消費の低迷につながるという見方だ。
 経済への影響だけではない。コロンビア大学が22日開催した日本セミナーでは、出席した法律、経済、政治の専門家3人が口をそろえて、「東電には経営責任がある」と主張した。
会社法を教えるカーティス・ミルハウプト教授は「原発の安全監督など内部統制ルールに従っていない場合は取締役責任を問える」と指摘。日本政治研究のジェラルド・カーチス教授も「昨年メキシコ湾で原油流出事故を起こした英BPと同じ構図だ」とする。
 経営責任はあくまで相対的な基準で問われる。大津波よりも高い場所に設置された東北電力の女川原発や、日本原子力発電の東海第2発電所が原子炉を安全に停止できたのに、福島第1原発だけで被害が拡大した点が問題視されている。
 原子力損害賠償法に従って、数兆円規模に上るとされる周辺地域への補償などを国が負担すれば、東電は事実上の国有会社となる可能性が高い。巨額赤字に伴う無配はもちろん、経営トップが退陣を迫られるのは必至だ。
 しかも、東電は昨年秋に4千億円超を株式調達したばかり。取締役が経営のプロとして通常期待される「善管注意義務」を果たしていなかった-として国内外の株主から代表訴訟を受ける可能性がある。
 清水正孝社長が昨年9月の記者会見で述べた「社会的貢献と収益の両立」がとも倒れとなった今、「(東電の)公益会社としての経営責任の果たし方、企業統治のあり方が問われている」(米公認証券アナリスト協会のロビンソン博士)という声が高まっている。

5兆5000億円賠償請求 東電株主 経営陣に代表訴訟

                                 2012年3月6日東京新聞

福島第一原発事故で東京電力が巨額の損失を出したのは経営陣が安全対策を怠ったためだとして、東京都や神奈川、静岡、愛知、福島県などに住む株主四十二人が五日、勝俣恒久会長ら現・旧経営陣二十七人に対し、約五兆五千億円を東電に賠償するよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。
 株主側弁護団によると、国内の民事訴訟では過去最高の請求額。株主らは勝訴して賠償金が東電に支払われたら、被災者への弁償に充てるように同社に求めている。
 訴えによると、東電は二〇〇八年、マグニチュード(M)8・3の地震が福島県沖で起きれば福島第一原発が最高一五・七メートルの津波に襲われると試算。しかし、歴代経営陣は、地震で想定される大災害の危険を認識しながらも、防波堤のかさ上げなど十分な安全対策を講じず、重大な原発事故に備えた訓練も怠り、事故で巨額の損害を生じさせた、と指摘。地震が頻発する日本で原発を建設し、運転したことの責任も重大だと主張している。
 株主側弁護団の河合弘之弁護士は「歴代役員個人の責任を追及することで、原発業界にはびこる集団無責任体制を是正し、原発の再稼働を阻止したい」としている。
 株主側は昨年十一月、東電の監査役に歴代経営陣への損害賠償請求訴訟を起こすよう求めた。だが東電は一月、「事故は対策の前提を大きく超える津波の影響。津波対策などについて全取締役の責任は認められない」として、訴訟を起こさないと通知していた。
 東京電力は「株主の方が提訴したとの報道は認識しているが正式に承知していないとコメントした。


耐震性2割減「妥当」 伊方3号機耐性評価で保安院方針
経済産業省原子力安全・保安院は20日、四国電力伊方原子力発電所3号機(加圧水型炉、出力89万キロワット、愛媛県)のストレステスト(耐性評価)について、1次評価の論点をまとめた。四電は原発が耐えられる地震が想定の1.86倍と主張したが、2割程度低い1.5倍に下がる可能性が高いことがわかった。
 保安院は近く、現地調査をしたうえで全体的には「妥当」との評価案を示す方針。保安院による判断は関西電力大飯原発3、4号機に続き3基目になる。ただ、当初の主張より安全性の余裕が減るため、再稼働に向けて地元の理解が得にくくなりそうだ。
 四電は昨年11月14日、評価書を保安院に提出。伊方3号機について、想定する地震の揺れの1.86倍、津波は高さ14.2メートルまでは、核燃料が壊れる事故にならず、耐えられると評価していた。
http://www.asahi.com/business/update/0306/TKY201203060686.html

伊方原発2号機、30年超運転認可へ 震災後初めて


経済産業省原子力安全・保安院は6日、今月19日に運転開始から30年を迎える四国電力伊方原発2号機(愛媛県)について、今後10年間の運転延長を妥当とする審査結果案をまとめた。専門家会合で了承された。東京電力福島第一原発の事故後、原発の運転延長が認められるのは初めて。
 四国電力は昨年3月に運転延長を申請。原発事故後、保安院は11月から専門家会合を開いて審査してきた。同原発3号機で02年と04年にポンプの主軸が折れるなどのトラブルが起きたため、点検の充実などを同電力に求める意見が出たが、保安院は近く運転延長の認可を出す。
 原発は運転開始から30年目以降、10年ごとに高経年化(老朽化)対策の報告書を作り、保安院から認可を受けている。国内の原発全54基のうち、30年を超えて運転が認められるのは20基目。






2012年3月4日日曜日

東京電力は粛々と法的整理を進めるべきでは?

震災以来、東電の今後の動向が大きく注目されてきた。会長は災害発生後、大きな過失があったことが明るみに出てもいまだその職を退かず、西沢社長は国税から1兆5千800万円もの支援金を拠出させるだけでは足りず、電気料金の値上げは電力会社の権利と宣う始末である。

今年になって勢い、東電の発送電分離を視野に入れた社内分社化のアイデアや、国の一時的な国有化の話が浮上している。以下、関連記事を転載するが、2つめに転載した現代ビジネスの町田徹氏の東電の国有化を茶番とし、東電は淡々と法的整理を進めるべきという主張には、納得させられる点が多い。

債務超過会社には破たん処理をすればいいのであって、東電関係者や株主や銀行が身銭を切らず、理不尽に国民に高いつけを回すようなことは断じて避けるべきである。

今回大災害を巻き起こしたのは、東電にはちがいないが、原子力・エネルギー産業をめぐるシステム自体の構造的な問題は、何も東電に限定されるものではない。

地域独占、発送電分離、総括原価方式、原発産業と大企業、政府、官僚、研究者との癒着、立地自治体の電力会社への依存、燃料買い取り価格をめぐる問題など、国のエネルギー政策の大きな転換と全国の電力会社の構造改革を英断を持って早急に進める必要がある。理由はこれまで、さんざんこのブログに記してきたので、改めて繰り返す必要もないと思うが。。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120222-00000004-fsi-bus_all

東電、部門別に社内分社へ 発送電分離を視野に

フジサンケイ ビジネスアイ 2月23日(木)8時15分配信

東電、部門別に社内分社へ 発送電分離を視野に
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カンパニー制も検討されている東京電力本店=東京・内幸町(写真:フジサンケイビジネスアイ)
政府の原子力損害賠償支援機構と東京電力が、3月に策定する総合特別事業計画に、東電を火力発電や送配電など部門ごとに社内分社化する「カンパニー制」への移行を盛り込む方向で調整に入ったことが22日、分かった。部門ごとの採算意識を高め、福島第1原発事故の賠償資金捻出などに向けた合理化を加速させる。同時に送電部門の独立化を進め、将来的な「発送電分離」への布石とする狙いだ。

支援機構がまとめた総合特別事業計画の骨子案に、3年後の黒字化や5年後の社債市場への復帰などの経営目標とともに、カンパニー制を導入した企業改革案を示した。

この制度は、商社などで多く採用されている。部門ごとへの権限と責任を委譲して外部との競争にさらすことで、独自の経営計画や管理会計を徹底させる。地域独占で「どんぶり勘定経営」とも揶揄(やゆ)される東電経営陣の意識改革を促す。

具体的には、20カ所程度所有する火力発電所をカンパニー化し、外部からの投資資金を取り込みやすくする。電気料金の3割以上を占める燃料調達費についても、独立採算化することで海外企業との共同調達などを促しコストダウンを目指す。

支援機構は週内にも運営委員会(委員長・下河辺和彦弁護士)を開催してこれら骨子案の了承を得たうえ、来週にも東電首脳と3月に策定する総合特別事業計画を話し合う経営改革委員会を開き、説明する。

一方、政府は既存電力会社の送電網を新規発電事業者にも開放して自由競争を促す「発送電分離」を検討中だ。分離方式では、運用を中立的な外部組織に委ねる「機能分離」が有力視されている。東電の送電部門の社内分社化はこの制度改正にも沿った内容となる。

ただ、
カンパニー制への移行は、東電の経営権温存につながりかねない。透明度の高い発送電分離には、送電部門の経営を完全に切り離す「所有分離」が適しているとされる。また、東電の経営権についても枝野幸男経済産業相は1兆円規模の公的資本注入に際し、会社分割が単独でできる議決権の「3分の2以上」の取得へ強い姿勢も示している。

 これに対し、東電は「発送電一貫体制が安定供給にふさわしい」(西沢俊夫社長)との基本姿勢を崩しておらず、支援機構によるカンパニー制移行への調整は難航が必至だ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31913

「現代ニュース」

エネルギー改革のノド元に刺さった棘:「東電国有化」という茶番

 町田徹「ニュースの深層」(2012.02.28)



この冬、何度も広域停電の危機に瀕してきた東北電力や九州電力、最終赤字への転落が続出している電力会社経営、秒読み段階に入った電気料金の値上げ、そしてLNGの購入代金がかさんで31年ぶりの赤字に転落した日本の貿易収支・・・。
冷静に捉えれば、我々はすでに、深刻なエネルギー危機の入口に立っている。原発の運転再開ルールの早期確立を含めた、短期、中期、長期のエネルギー戦略の再構築は喫緊の課題だ。
しかし、いたずらに国民の不信感を煽り、エネルギー戦略の立て直しの議論の本格化に影を落としているのが、政府と東電が「経営権の取得」を巡って対立の構図を演じている「東電国有化」の茶番だ。
 枝野幸男経済産業大臣は即刻、不毛な議論に終止符を打つべきだ。手始めに、資本主義の原則に従って、東電をきちんと法的整理に処すことを進言したい。
原子力、火力の主力発電所が東日本大震災の直撃を受けたことから、昨年3月11日以来、電力供給で薄氷の綱渡りを続けてきたのが、東北電力だ。
河北新報などによると、東北電は暑いさなかの昨年8月8日、午前中に供給余力が2.8%まで低下して、110万キロワットの電力を東電から融通して貰うピンチがあった。
同社は、冬の暖房需要に備えて、他社からの融通の容量を拡大したり、仙台火力発電所4号機の復旧を急ぐといった対策を講じてきたものの、十分といえず、この冬は最初から余力の乏しい日が続いていた。
そして、厳しい寒波に襲われた今月(2月)1日、ついに中部電力から電力融通を仰ぐ緊急事態に追い込まれた。融通量は最大30万キロワットだった。
翌2日も、綱渡りは続き、午後5時に最大電力使用率が94.7%(90%以上は「警戒水準」)に上昇、今度は北海道電力から最大28万キロワットの融通を受ける有り様だった。
綱渡りは、決して東北電だけの問題ではない。世界最悪の事故を起こした東電福島第1原発の影響で、全国で定期点検に入った原発の再稼働が認められないため、原発依存度の高かった電力会社ほど深刻な事態に直面している。
例えば、東北電が初の中部電からの支援を仰いだ2月1日には、中部から融通を受けたところが他にも2社あった。関西電力が前日より20万キロワット多い最大60万キロワットの融通を、九州電力も最大40万キロワットの融通を、それぞれ受けている。
加えて、2月3日。この冬最も危うい状況が全国的に勃発した。「警戒水準」とされる最大電力使用率が90%以上の状態に、全国の10電力のうち、東北電、中部電、北陸電、関西電、四国電、九州電の6社が陥ったのだ。
寒波の襲来に加えて、燃料を送る配管の凍結のため、九州電の新大分発電所の火力発電設備が13基すべて緊急停止したことが原因だった。九州電への緊急融通は、関西電、東電など6社の合計で240万キロワットにのぼった。
付言すれば、火力発電では、北陸電の七尾大田火力発電所でも15日、計器周辺で水漏れが見つかり、補修のため、緊急停止するトラブルが発生した。北陸電は、自社の供給力を確保するため、関西電への融通をとりやめざるを得なかった。
企業でも、家庭でも、ユーザー側が真摯な節電努力を続けているのは間違いない。
しかし、大分、七尾の両火力発電所のトラブルは、そうした努力だけでは、突発的な全国規模の停電を防ぎきれないリスクが存在していることを浮き彫りにした。
原発停止の代替措置としてフル稼働させている火力発電の燃料費の増加と、節電要請に伴う売り上げの減少が、電力各社の経営を直撃していることも憂慮すべき問題だ。
各社の決算発表によると、東電の2012年3月期は、最終赤字がこれまでの予測より950億円拡大して6950億円に膨らむ見通しだ。本コラムのアップ前(27日)に、2012年3月期の業績予想を発表する見通しの関西電も、過去最悪の2900億円前後の最終赤字が見込まれているという。
すでに確定した今年度の第1~3四半期(2011年4~12月期)の決算では、全国10社のうち、四国電と沖縄電を除く電力8社が最終赤字を記録した。
家計や企業にとって、あるいは経済全体にとって、深刻なのは、こうした赤字が値上げに直結しかねないことである。
東電に続いて、4月からの新年度には、各社が相次いで大幅な電気料金の引き上げに踏み切ることが確実視されている。
国富の流失も目を覆いたくなる状況だ。昨年は、貿易収支が31年ぶりの赤字に転落した。事態の一段の悪化を象徴するかのように、今年1月も、貿易収支は単月で過去最大の赤字を記録した。欧州危機を主因とした輸出の減速の一方で、化石燃料の購入を主体とした輸入が増えているためだ。
イランがホルムズ海峡の封鎖に踏み切れば、原油の確保が難しくなる懸念もある。
こうした様々な問題を打開するために原発の運転再開を認めるのか、それとも原発封印の代償として様々な問題を甘受するのか、 エネルギー戦略を巡る国民的な議論が必要な段階を迎えたことは、もはや誰の目にも明らかだろう。
しかし、筆者も含めて、そうした議論に素直に応じる気にはなれない問題が残っていることも、また事実だ。のど元に刺さった棘のような問題が、資本主義の原則を無視した政府の「東電の国有化論議」である。政府のあまりにも露骨な東電擁護姿勢は、我々国民に政府への不信感を抱かせずにおかないのだ。
ここからは、その問題を検証しよう。そもそも「東電の国有化」論議は、福島原発事故の発生直後から、株式市場で東電株の売買材料として取り沙汰されていた。その後、折に触れて、話題にのぼった問題だ。
今回、改めて新聞やテレビで大きく扱われることになったきっかけは、枝野大臣が2月13日に、西沢俊夫東電社長を呼び、国による東電への資本注入について、「十分な議決権が伴わない計画を認定するつもりはない」と申し渡したことにある。
枝野大臣は翌14日の記者会見でも、議決権取得に関して「一般論として申し上げれば、りそな銀行に資本注入をしたケースが、国が資本注入する場合の基本的な考え方だ」と見栄を切った。
地域独占、発・送電の分離、総括原価主義の見直しといった電力制度改革と、抜本的な自社の経営改革の両方に、以前から難色を示してきた東電に対し、経産省では昨年春から、「いっそのこと国有化して経営権を取得してしまえば、メスを入れやすいはずだ」という意見があったことは事実だ。筆者も早い段階の取材の際に、複数の関係者から意見を求められて、「血税を浪費しかねない施策を安易に採ることは反対だ」と述べたことがある。
それだけに、新聞やテレビの記者は今回の枝野発言に関して、経済産業官僚から「実現すれば、東電に鉄槌が下る」といった類の解説を刷り込まれ、早とちりしたまま、枝野発言を大きく取り上げてしまったようだ。
しかし、話はそれほど単純ではない。というのは、枝野発言がこのタイミングで行われたことには、東電に甘いとの批判をかわしたいという同大臣の意図が読み取れるからだ。
そもそも、13日に、枝野大臣が西沢社長を呼んだのは、昨年秋に続く2度目の手厚い賠償支援の決定を伝えるためである。これによって、1回目とあわせた政府の支援額は、1兆6000億円に膨らむことになった。
また、翌日の枝野発言は、前日の交付金の受給決定によって、東電が経営悪化批判を免れることができた第3四半期決算の発表日である。
 この両日、政府が淡々と2度目の東電支援だけを公表していれば、どれほど大きな政府批判が新聞紙面を飾るか予測できない局面だった。
だから、次の支援策である公的資金の投入に伴う経営権の取得要求という、一見したところ東電に厳しい議論と映る話を、批判回避のために持ち出したと見るのが妥当なのだ。経営権を取得したところで、東電国有化が国民に余分な負担を求める東電救済策であることにかわりはない。
実際のところ、先週末の終値で株価が250円弱に過ぎない東電が増資によって1兆円を調達しようとすると、発行する株式は単純計算で約40億株となる。
 しかし、東電の定款第6条が定めた同社の株式発行枠は18億株。一方、同社はすでに16億株を発行しており、追加できる枠はわずか2億株しかない。実現には、臨時株主総会を開いて定款を変更しなければならないが、3月末という国有化までに、臨時総会を開くことなど事実上、不可能だ。つまり、最初から、3月末までの増資や国有化、それを前提とした経営権の所得など、すべて絵に描いた餅なのだ。
むしろ、この問題が再び、ヤマ場を迎えることがあるとすれば、それは定時株主総会がある6月か、総会の議案を決める5月だろう。2度目の賠償支援によって、今年度末の東電の資金繰りには目途がついたはずで、3月末がヤマ場になるとは考えにくい。
にもかかわらず、枝野大臣が威勢の良い発言をしたため、新聞とテレビは、増資を巡る東電の内情を確認することもなく、あたかも政府と東電の間で激しい攻防が繰り広げられているかのように報道したのだろう。
報道を真に受けて、大物財界人が口角泡を飛ばしてそれぞれの応援演説をしたのは気の毒だった。
将来の税金投入を懸念する財務省が東電、メガバンクと手を結んで経済産業省のけん制に動いたのは事実のようだが、それは過剰反応で、記事として報じられたことも、枝野大臣の発言に踊らされたに過ぎない。
過去1年を振り返ってみても、政府や銀行の東電擁護は目に余る。
 発端は、昨年3月。経済産業省、メガバンク、東電から、歯止めのない停電を招くと迫られた金融庁が、昨年度末に向けた東電の資金繰りをつけるため、メガバンクに対して国による事実上の債務保証をほのめかしたことだ。はっきり言って、金融庁の対応は「資本主義の番人」の立場を自己否定する失態だ。
次いで5月にかけて、政府は、3月の失策を覆い隠すため、監査法人の口を封じ、東電の事実上の債務超過状態を隠し通そうとした。決算発表を乗り切らせる狙いもあり、この段階で、本格的な公的支援の導入を繰り返し公約する挙に出たのだ。
そして、昨年夏、急きょ根拠法を可決・成立させて、秋に設置したのが、あの原子力損害賠償支援機構である。
 当時は、経済産業省の政務3役にさえ、同機構の設置を失策と認めて、1年程度の間に抜本的な見直しをすると確約する向きもあった。が、そんな約束は、菅直人前政権の崩壊とともに、官僚たちによって葬られた。
 昨年11月になると、賠償支援機構は自らの存在意義を示すかのように、東電支援の第1弾を断行した。
ちなみに、この第1回支援で、約8900億円の資金が交付されたのに、機構と東電によると、実際に東電が今年1月までに被災者に支払った賠償金は4分の1にも満たない2132億円にとどまっている。 
ところが、枝野大臣は、こんな賠償の遅さを問題とするどころか、逆に、2月13日に6900億円の追加支援を決定した。これほど被災者や国民を無視した、東電に手厚い支援策はない。
国民感情からすれば、このうえ、国有化など容認できるわけがない。
 加えて、何よりも問題なのは、政府によるバックアップの代償だ。政府は、事故処理の費用対効果に無頓着で、除染費用などで大盤振る舞いを進めている。かかった費用は東電に請求する仕組みになっているからだ。肝心の東電も、値上げで資金を回収すればよいと考えているためか、そうしたツケ回しに表立った抵抗をしていない。こうしたことは、これまでに本コラムで何度か言及しているのでこれ以上の言及は控えたい。ただ、重荷を、被災者を含む国民に転嫁する話であることだけは、ここで再度、指摘しておきたい。
 本来、こうした理不尽な国民への重荷のツケ回しは、法的整理など、資本主義の原則に従った債務超過会社の破たん処理を断行すれば、おのずから歯止めが効く問題だ。 
最終的に、公的資金を用いた資本注入が必要になる可能性がゼロというわけではないが、枝野大臣が主張するように、破たん処理もしないで、いきなり公的資金を投入するのは、手順が間違っている。下ごしらえもせずに料理をするようなものだ。
仮に、破たん処理をせずに、公的資金を投入すると、その資金が、本来の趣旨に沿って賠償に充当される保証はない。これまでだって賠償のペースは呆れるほど遅いのだ。おカネに色はついていない。浮いたキャッシュフローが資金繰りに使われたり、金融機関の融資回収に転用されるかもしれないのだ。
そして、いざ、破たん処理となった時には、その公的資金(事実上の血税)が、自動的に紙屑になってしまう。
公的資金による資本注入は、東電が過去に地域独占企業として溜め込んだ身銭や、銀行融資、株主負担などによって、債務整理を進めて再スタートする新会社を身軽にしたうえで、再スタートに必要な資本が民間から集まらなかった時に初めて検討すればよい問題である。
東電の場合、発電所をすべて売却したとしても、送配電事業の地域独占企業として再スタートできる公算が大きく、高くて安定的な収益性が見込まれるため、民間からの新会社への出資が集まらないとは考えにくい。つまり、資本主義の原則通りやれば、公的資金による資本注入がいらない可能性が小さくない。
 法的整理をすれば、社債市場が混乱するとか、電力の安定供給が難しいといった議論もよくなされているが、これらはいずれも真実と言えない。
というのは、東電の社債はすべて担保が付いており、元本がきちんと償還される仕組みになっているからだ。
 法的整理を行った日本航空(JAL)で運行ダイヤが守られていた前例を見れば、法的整理の期間中、電力の供給が維持されることも理解できるはずだ。
最後に、法的整理は国民負担を何兆円も減らすメリットもある。昨年12月末のバランスシートによると、東電には9800億円弱の純資産と、使用済核燃料再処理等引当金など所要の手続きを踏めば福島原発事故の処理に使える可能性がある引当金が総額3兆7300億円程度残っている。
加えて、金融機関に対して債権カットを要求できる長・短借入金も3兆8300億円存在する。
つまり、最大で、これらの合計の8兆5400円に相当する分だけ、国民負担を軽減できることになる。
 もちろん、福島原発事故の被害は甚大で、これですべての賠償や除染を賄えるとは思わない。が、東電や株主、金融機関に身銭を切らせないまま、政府が支援し、そのツケをすべてを国民に回すという「国有化」は、許される行為ではない。
枝野大臣は、口先だけで勇ましいことを言うのはやめて、淡々と法的処理を進めるべきだ。
そして、もし、野田佳彦首相が政権の維持に成功して、あなたがもうしばらく、大臣の椅子にとどまるのなら、この問題で何かを決断して、これ以上の東電支援を行うという間違いさえ犯さなければ、よい。そうすれば、資金繰りからみて、1~2年の間に、東電に残された道は、破たん処理だけになるはずである。