なにかというと菅元総理をスケープゴートにしようという動きがあるようだが、稼働中の浜岡原発を停止させたこと、災害現場を放棄して、社員を撤退させるなどというような提案を打診してきた東電本社に乗り込んで、檄を飛ばしたことは、彼が首相としてやった唯一の貢献といっても過言ではない。財務省や経済界へのご機嫌取りをすること以外に脳のないどじょう内閣の元で、この大きな原発災害が起こっていたら、今頃日本は、東京はどうなっていただろうかと思うだけでも背筋が凍る。
総理が動かざるを得なかったのは、原子力ムラが無能でまったく機能しないことをいち早く認識したからであろう。安全神話に酔いしれるばかりの電力会社の原発担当も、保安院も、それを支えるはずの御用学者もみんなまごつくばかりで、全電源喪失という事態に対して、適切な対応ができるだけの英知を備えた専門家が原子力ムラの中に誰一人としていなかったことは、NRCの議事録を見ればよくわかる。
その菅総理とともに原発の災害対応に当たっていたのは今の経産大臣である枝野氏と、3月15日以降、東電本店に常駐して菅総理の手足になって動いていた今の原発担当相の細野氏であるが、両名は共同責任を問われないばかりか、この分野に関して全くのど素人であるにもかかわらず、いまだ原発再稼働や、国の原子力政策決定に大きな権限を持つ立場に君臨していることに、メディアが何も疑義をさしはさまないのは非常に大きな疑問である。
ストレステストは津波・地震対策用であり、このテスト自体の、あるいはそれを実施・チェックする仕組みの問題性、欺瞞については、京大の小出助教や、元原発設計者の後藤氏らが繰り返し指摘しているところであるが、細野氏に至っては、立地自治体や周辺自治体に対して、丁寧に「原発の安全性と必要性」を説明しさえすれば、大手を振って再稼働に舵を切ってもよいと考えているようである。
しかし、原発の安全性とは一体何なのか。隣国がミサイルを一機突入させたときに、宇宙ゴミと化した人工衛星の大きなかけらが降ってきたときに、あるいは航空機が事故で墜落した場合に、あるいは想定外の大きな津波や地震が原発を震源地として発生した場合に、日本の原子炉はどこまで安全といえるのか、
アメリカはテロや航空機突入に対する対応の義務化を10年前に実施しているというが、日本はそれについてもこれまで資料を国民に公開しなかったばかりか、まったく何ら対応してこなかったという。
アメリカやフランスと異なり、原発の立地にとって致命的な地震・津波大国であるという点を全く考慮せず、いったいどんな根拠をもってして、安全といえるのか。
再稼働についての丁寧な説明とは、立地・周辺自治体にどれだけ新たな税金をばらまき、生活保障をするかというネゴシエーションを意味するのだろうが、そういう非生産的な税金の無駄遣いは、いい加減に辞めてもらいたい。それだけの費用があれば、電力の自由化に注いでほしい。一時的な国有化をしてほとぼりが冷めたころにゾンビ企業を復活させるようなムダは廃して、さっさと東電に破たん処理をやらせ、その過程で発送電の分離を実施し、再生エネルギーの開発事業に全力をあげてもらいたいものである。そうすれば、そこに新たな雇用の場も創出されるはずである。
3.11ではっきりわかったことは、結局原発災害が発生したとき、放射能汚染の不安にも脅かされたうえ、最終的に高いつけ回しの被害を被るのは、電力会社でも、株主でも、取引銀行でも、大企業でもなく、立地・周辺自治体以外の地域で生活する勤労者なのである。ゆえに、立地自治体の意向などよりも、本来は、それ以外の地域に住み、所得に対する納税率が高い中流の納税者層の意向を何よりも優先させるべきではないのか。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/544986/
原発再稼働容認3町村のみ 原発相「地元の理解が重要」
2012/02/08 00:32
産経新聞が原発立地自治体に行ったアンケートで、ストレステスト(耐性検査)により安全性が確認された原発の再稼働を「容認する」としたのが3町村にとどまったことについて、細野豪志原発事故担当相は7日の閣議後の記者会見で、「原発のあり方そのものを含めて、地元の自治体の理解が非常に重要。できる限り丁寧な対応が求められる」と述べ、政府として地元に対する説明責任を果たしていく必要性があるとの認識を示した。
枝野幸男経済産業相は同日の会見で、「地元の説得にあたっては安全性が確認されることが前提で、まだ安全性が確認されているものはない。(説得は)その次の段階」と述べた。
本紙アンケートに対して再稼働を容認すると答えたのは、東京電力柏崎刈羽原発がある新潟県刈羽村、関西電力高浜原発がある福井県高浜町、九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の3町村にとどまった。
細野氏は「保安院でストレステストについて確認したうえで、地元の皆さんに説明していく」としたうえで、「できるだけ丁寧に多くのみなさんにご理解いただくことが重要」と述べ、立地自治体だけでなく周辺自治体の理解も求めていく考えを示した。
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2012年2月27日20時1分
首相がベント指示、「米ではありえぬ」 元NRC委員長
東京電力福島第一原発事故の原因を検証する国会の事故調査委員会は27日、参考人として米原子力規制委員会(NRC)のリチャード・メザーブ元委員長を招き、米国の安全規制や事故発生時の政府の対応などについて聴取した。
昨年の原発事故の際、原子炉から気体を出す「ベント」を、当時の菅直人首相が指示した。メザーブ氏はこれを念頭に「米国では考えられない。大統領が決めることではない」と明言。記者会見でも「米国では電力会社が決め、NRCが許可をする。日本の政治家のほうが知識があるのかもしれない」と皮肉った。
2012年1月27日9時4分
米の原発事故対策、保安院は把握 東電などに伝えず
経済産業省原子力安全・保安院が、テロによる原発の全電源喪失に備えて米国で義務化された対策を2008年までに研究していたにもかかわらず、電力会社などに伝えず、活用していなかったことが分かった。現実的な危機と考えず、「想定外」としていたためだ。この対策がとられていれば、東京電力福島第一原発事故の被害の拡大を防げた可能性があると、東電や政府関係者は指摘する。
政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)はこの経緯について、保安院担当者らから聞き取り調査を行った。事故調は7月の最終報告に向けて、災害対策の不備の背景要因についても調べを進めている。
このテロ対策は、米原子力規制委員会(NRC)が同時多発テロが起きた後の02年2月、原発に航空機が激突しても事故を拡大させないことを目指して義務化。この非公開の対策を義務づけた行政命令の条項から「B5b」と呼ばれる。
2011年9月29日15時3分
原発テロ、配管破壊を想定 97年、政府が極秘資料
原子力発電所のテロ対策を検討した、1997年の政府の内部資料が明らかになった。侵入者が配管設備を破壊し、放射性物質を外部に放出させる事態も想定したが、結論は「何重もの安全対策が講じられている」として原発の安全性を強調。これまで対策に生かされなかった。
資料は当時の科学技術庁と通商産業省が作成。橋本龍太郎首相のもと、97年9月の安全保障会議(首相や関係閣僚らで構成)の議員懇談会で配られた。「極秘」に指定されており、討議後に回収された。
不審者が原発の建屋に侵入した場合、(1)核燃料物質の持ち出し(2)放射性物質の外部放出――といった行動をとる危険性に言及。放射性物質を外部に放出する手段として「配管設備の破壊」や「原子炉の恣意的(しいてき)な運転操作」を挙げた。
一方で「格納容器は堅牢な構造で、不審者が入ることは困難」「配管を切断した場合も、放射性物質が直ちに建屋外に放出されることはない」と説明。不審者が中央制御室を占拠した場合でも「遠隔操作により原子炉の運転を停止できる」と結論づけた。
次の放射能汚染、災害より「テロ」で起きる可能性高い=米専門家
2011年6月24日
[ウィーン 23日 ロイター] 福島第1原子力発電所の放射能漏れで原発の安全性への懸念が国際的に高まる中、ハーバード大ケネディスクールの核問題専門家、マシュー・バン准教授は、原発には災害対策と同様、テロ攻撃への備えも緊急に必要だと警告している。
バン准教授は「アルカイダやチェチェンのテロリスト集団はともに、原子炉の破壊工作を繰り返し検討しており、そうした攻撃が引き起こすであろう恐怖について、福島は説得力ある事例を提供した」とブログ上で指摘。さらに「多くの国の原発産業は、事故や災害への対策に比べ、警備対策がおろそかだ」とし、一部の国の「安全対策は非常に脆弱(せいじゃく)」だと述べた。
国際原子力機関(IAEA)は20日からウィーンで閣僚級会合を開催しており、天野之弥事務局長は安全対策の強化を訴え、世界中の原発での不定期検査実施などを提言している。また、向こう1年半以内に加盟国の全原子炉について、福島原発を襲ったような自然災害に耐えられるかどうかを確かめるため、リスク評価を実施すべきだとも訴えている。
IAEA閣僚級会合は24日に閉幕するが、こうした天野事務局長の提言は、安全対策を国内の問題にとどめておきたい一部の国からは抵抗を受ける公算が高い。
バン氏は、天野事務局長の提言は賢明だと評価しながらも、重要なポイントを見落としていると指摘。「福島のような惨事は災害だけでなく、テロ行為によって起きる可能性もある」とし、「次の大規模な放射能漏れが誰かによって故意に起こされる可能性は、純粋に事故で起こる可能性より大きいだろう」と述べている。
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