2012年4月2日月曜日

フクシマと福島: フクシマは差別ですか?

 原発の立ち入り制限区域が4月1日を持って、また再編された。誰がいつ、どこで、どんな状態のときに、どこのどんな計測器を、どんなふうに使って計測した数値に基づいているのか、何も示されぬままに、これまで立ち入りが制限されていた一部の警戒区域が、居住制限区域と避難指示解除準備区域に分けられ、後者には、自由に出入りできるようになったという。

よほどの事情がない限り、自分の家に帰りたくないと思っている人はいない。
だからといって、簡単に警戒区域をころころ変えてよいものなのだろうか。原発災害後、菅政権より、3キロ圏内からの退避が示されて以来、一体何回立ち入り制限区域が塗り替えられてきたことだろうか。

「家に帰らせることはいいことだ」と言わんばかりの政府やメディアの姿勢は、いかがなものか。

本当ならば日本の大型メディアがきちんと取材をし、声を大にして報道し続けなければならないことであるが、日本では、住民への賠償金や帰村、復興、がれき処理の問題ばかりが焦点化されている。

3.29のNew York Times ウェブサイトでは、日本政府が行なったフクシマ原発の冷温停止状態や安全宣言に対して、大きな疑問を呈している。ここでは、京大の小出裕章氏がこれまでに主張して来られた事柄と同様のこと、すなわち冷却水の漏れによる地下水や海洋への放射能汚染の問題が深刻であることや、昨今の余震による目下半壊状態にあるフクイチの使用済み燃料プールなどの建造物への影響や、さらなる大地震によって齎されるかもしれない大量放射能漏れの危険性についての指摘がなされている。

「フクシマ」を差別用語だと言い立て、カタカナ書きを廃して「福島」に戻すべきであると、とんちんかんな主張をする声の大きなジャーナリストがいる。

薔薇っ子は福島で出会った欲もなく、優しく心ばえの美しい人たちを、智恵子がこよなく愛した阿多多羅山や、阿多多羅山の上の青い空を、決してフクシマなんて呼びはしない。

強欲で無力で厚顔無恥な電力会社とその利権に群がる企業家と官僚と政治家と御用学者と、ジャーナリストと地元自治体のせいで、世界の科学史上例を見ない未曽有の原子力災害を引き起こし、全国各地に放射能を撒き散らし、国民を不安に陥れたフクシマ原発とその災害は、断じてその「福島」と分かち書きして、示し続ける必要がある。

フクシマを福島に矯正させ、済んでしまった過去の出来事として何事もなかったかのように風化させようとする圧力にこそ、良心のあるジャーナリストは、断固として抵抗すべきではないのか。

http://news24.jp/nnn/news89033465.html


福島・川内村と田村市の「警戒区域」解除
(福島県)

福島第一原発事故で立ち入りが制限されていた福島県の川内村や田村市の「警戒区域」は、1日午前0時に解除された。住民らは早速、自宅の様子を見に帰っている。  川内村の警戒区域は「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」に再編され、寝泊まりはできないが、自宅などへの行き来ができるようになった。避難生活を続け、朝から自宅に帰った横田香苗さんは「ゲートがなくなったというだけでいい。掃除して、それから戻りたい。(自宅は)安堵感っていうか、安心します」と話していた。  人が自由に出入りできる分、防犯態勢の強化が求められている。



Japan Nuclear Plant May Be Worse Off Than Thought


TEPCO, via European Pressphoto Agency
A handout image supplied Thursday by Tokyo Electric Power Company shows conditions at the Fukushima Daiichi nuclear plant.



TOKYO — The damage to one of three stricken reactors at the Fukushima Daiichi plant could be worse than previously thought, a recent internal investigation has shown, raising new concerns over the plant’s stability and complicating the post-disaster cleanup.
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The government has said that the plant’s three badly damaged reactors have been in a relatively stable state, called a cold shutdown, for months, and officials say that continues. But new tests suggest that the plant — which was ravaged last March when a powerful earthquake and tsunami hit the area — might not be as stable as the government or the operator of the plant, Tokyo Electric Power Company, or Tepco, had hoped.
The key to keeping the reactors stable is keeping their fuel rods cool with water.
The company announced this week that an examination of one reactor, No. 2, showed that the water level in an outer containment vessel was far lower than estimated, which could indicate that the already badly damaged uranium fuel might not be completely submerged and, therefore, is in danger of heating up.
Cooling water in that vessel, called the drywell, was just two feet deep, rather than the 33-foot level estimated by Tepco officials when the government declared the plant stable in December. That is probably not a problem for the fuel that the company says has leaked into the drywell from an inner containment vessel because Tepco says that melted fuel is unlikely to be higher than two feet.
But Tepco officials said the low water in the drywell left open the possibility that the water level in the leaking inner containment vessel, where most of the fuel is thought to be, was also low. Experts say that could leave the fuel there exposed and lead to more damage. The fuel would likely then leach more radioactive materials into the water that is flowing through the reactor to cool it.
That scenario would be particularly problematic since the company has long feared that some of the tons of water it is using to cool the reactors is escaping into the ground or into the ocean at the seaside plant.
Throughout the nuclear crisis, both Tepco and the government were accused of playing down the dangers posed by the meltdowns at the plant. Subsequent disclosures that the event was indeed far more severe than they let on have badly damaged their credibility.
Fukushima Daiichi’s vital cooling systems were knocked out in the early stages of the crisis last year. The cooling systems there now were put in place months after the accident. Although they are designed to be closed loops, circulating water in and out of the reactors, the reactors themselves were damaged when operators lost control of the plant and are likely leaking.
The internal investigation also found current radiation levels of 72.0 sieverts inside the drywell, enough to kill a person in a matter of minutes, as well as for electronic equipment to malfunction. The high readings could be a reflection of the low water level, since the water acts as a shield against radiation.
The high levels of radiation would complicate work to locate and remove the damaged fuel and decommission the plant’s six reactors — a process that is expected to take decades.
Cleanup will probably require flooding the inner reactor vessel and lowering tools into it to scoop up parts of the radioactive rubble. That strategy worked well at Three Mile Island after the 1979 accident there. But at Fukushima, the reactor vessels are known to have cracked, because they were overpressurized. Filling them with water would be difficult, unless the surrounding drywell can also be filled.
The fact that the drywell at No. 2 has so little water could mean that technicians will need to develop a new technique. “With levels of radiation extremely high, we would need to develop equipment that can tolerate high radiation,” Junichi Matsumoto, an executive at Tepco, said Tuesday.
To gauge water levels inside the drywell at reactor No. 2, workers in hazmat suits inserted an endoscope equipped with a tiny video camera, a thermometer, a dosimeter for measuring radiation and a water gauge.
It is unclear if they will be able to perform the same test at the other badly damaged reactors — No. 1 and No. 3 — because nearby radiation levels are higher there.
Experts also worry about a fourth reactor that was not operating at the time of the tsunami, but nevertheless poses a risk because of the large number of spent nuclear fuel rods stored in a pool there.
The spent fuel rods pose a particular threat, experts say, because they lie outside the unit’s containment vessels. Experts have become especially worried in recent weeks, as earthquakes continue to hit the area, that the damaged reactor building could collapse, draining the pool and possibly leading to another large leak of radioactive materials.
Tepco has been working to fortify the crumpled outer shell of the building of that reactor, No. 4.
The plant is still in a precarious state,” said Kazuhiko Kudo, a professor of nuclear engineering at Kyushu University in southwestern Japan. “Unfortunately, all we can do is to keep pumping water inside the reactors,” he said, “and hope we don’t have another big earthquake.”

Matthew L. Wald contributed reporting from Washington.









2012年4月1日日曜日

「お友達が辞めるなっていったから、ボクやっぱり辞めないことにするぅ」:斑目委員長続投の理由

現政権が存続する限り、規制庁もどっちみち、これまでどおり原発推進派の官僚や政治家のシナリオ通りに発足されるだけのことである。したがって、いくら税金を投入して、そんな組織が新たに作られようが、全く何の期待も持てない。

それにつけても、規制庁の発足まで「ストレステストの審査など、原子力の規制機関として全力を尽くしていく」という、保安院の原子力災害対策監の言い草はふるっている。

規制庁は、大手メディアを上手く利用して、反原発、脱原発を唱える人たちを十把一絡げに、原理主義者だの、左翼だの、ひきこもりだのと、こき下ろして規制し、日本の原発の安全神話を復活させるための機関として、甦るのであろう。


「国防のために原発は必要」なんておっしゃっている政治家や官僚の皆様、そんなに国防が大切なのでしたらば、もっと真面目に真剣に、国を守る姿勢を、形にして示して頂けませんかしら、そして、これまでいい加減な危機管理をしてこられた責任者を処分すべきではないのでしょうか。

「『お友達が辞めるな』って言ったから、やっぱり委員長を続けるわ」なんて方、フクシマで水素爆発しているときに「アチャー」とおっしゃって、呆然と頭を抱えたとか、抱えないとか言われているような方を、いつまでも国の原子力安全委員会のトップに据えておくなんて、対外的に見ても、「国辱もの」なのではないでしょうか。

班目委員長 退任撤回で続投へ

3月30日 18時49分

3月いっぱいで廃止される見通しだった国の原子力安全委員会が、来月以降も当面、存続することになったことから、班目春樹委員長は退任の意向を撤回し、委員長の職務を続ける考えを明らかにしました。
しかし、先の見通しが立たないとして、伊方原子力発電所のストレステストの結果の審議をすぐに始めるのは難しいという認識を示しました。
これは、30日開かれた原子力安全委員会の会合のあとの記者会見で、班目委員長が明らかにしました。
それによりますと、安全委員会は、福島第一原発の事故を受けた国の安全規制の見直しで、原子力安全・保安院とともに今月末で廃止される予定でしたが、国会審議の関係で見通しが立っていません。
これを受けて、班目委員長は「3月末で区切りを付けたいと話していたが、ほかの委員から慰留され考え直した」と述べ、退任はせず、来月以降も当面、委員長の職務を続ける考えを示しました。

しかし、保安院から確認を求められている四国電力伊方原発3号機のストレステストの結果の審議については「外部の専門家にも意見を聞く必要があり、先の見通しが立たない中で、すぐに取りかかることは困難だ」と述べ、審議をすぐに始めるのは難しいという認識を示しました。
一方、来月16日で5人の委員のうち3人の任期が切れることについて、班目委員長は「行政の空白期間を作っては国民に迷惑をかける。今後の対応は、細野大臣と話し合っていく」と述べました。

保安院“全力尽くす”

「原子力規制庁」の来月1日の発足が困難になったことについて、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、30日の記者会見で、「保安院が存続するかぎり、福島第一原発の安全確保の維持やストレステストの審査など原子力の規制機関として全力を尽くしていく」と述べ、規制庁ができるまでは安全規制に責任を持つ考えを示しました。

保安院、原子力防災指針の改定に反対していた

内閣府原子力安全委員会が2006年の原子力防災指針の改定作業時に、原発事故発生時に住民が即時に避難する半径5キロ・メートルの区域(PAZ)の導入を検討しながら、経済産業省原子力安全・保安院の反対で断念していたことが15日わかった。
PAZが導入されていれば、東京電力福島第一原発事故で、住民が迅速に避難できた可能性がある。
 安全委が公表した文書などによると、国際原子力機関が05年、PAZの導入を盛り込んだ新たな防災対策の考え方を示したため、安全委は06年3月に防災指針の見直しを開始した。だが、保安院は同4月、「国民の不安を増大する」と検討の凍結を申し入れた。
 安全委は、「防災体制の向上のため(に見直しは必要)」と拒否したが、保安院は同6月、「現状の防災体制に問題はない」と抗議する文書を送付。結果的に、安全委は導入を見送った。
(2012年3月15日20時26分  読売新聞)



日本の原発、テロ攻撃対策も不十分-ウィキリークスの米外交公電


Reuters
福島第1原子力発電所
ウィキリークスの公表した一連の外交公電では、米当局者は日本政府側に対し、安全対策を強化するよう繰り返し促していたが、そのたびに日本側から拒否されていたという。
米国務省はコメントを拒否している。日本政府のコメントは8日現在、得られていない。
2007年2月26日、東京の米大使館は本国の国務省に送った公電で、「原子力施設の物理的な保護をめぐる米国の懸念」を伝えている。こうした懸念に対し、日本の文部科学省の原子力安全担当者は米側に対して「地元のニーズと資源から判断して、現場に武装警官を配備しなければならないほどの脅威はない」と述べたという。
問題となったのは、茨城県東海村の核燃料再処理工場で、プルトニウム貯蔵施設の役割も兼ねている。
ウィキリークスの公表した米外交公電によると、日本では一部の原子力施設に武装警官を配備しているが、東海村の施設を含む54カ所の原子力発電所の警備状況をみると、民間の警備会社と契約している場合、武装していなかった。日本では民間の警備会社の武装は禁じられている。
同じ公電によれば、日本側は、扱いに注意を要する情報に触れることのできるすべての原発職員に対する素性調査をするよう求めた米側の要求も拒否した。一部の原発運営会社は自主的に職員の履歴を検査したが、こうした素性検査は日本の憲法上、法的に義務付けられなかった。また、極めて微妙なプライバシー問題を提起しかねないと懸念する日本政府の意向もあったという。ただし、文科省当局者は、「非公式ならば」職員の素性を検査できるかもしれない、と譲歩したという。
北朝鮮が不安定で攻撃的な核政策を追求していることと、イラク、アフガニスタンでの米国主導の作戦に対する日本の役割を受けて、日本政府は近年、テロ対策を強化した。しかし、一部原子力施設で物理的な対策を強化したとはいえ、東京の米大使館から送られた公電では、欠陥と考えられる点が詳述されている。
例えば、日本はテロ攻撃に対してどう対応するか大規模な訓練を実施しているが、2006年に訓練を見学した米当局者は、訓練の台本があまりに周到に計画され過ぎていて、訓練の現実味がかえって薄れてしまっていると公電で書き送っていた。
日本が初めて政府肝いりで核テロに対する訓練を実施したのは2005年11月のことで、福井県の美浜原発で2000人近くが参加した。
この訓練の模様を詳述した2006年1月の公電によると、東京の米大使館当局者は訓練前に現地を訪問した。その際、福井県の当局者は米側当局者に対し、北朝鮮の潜水艦が周辺水域に出没していたことがあると述べ、北朝鮮によるテロ攻撃の脆弱性を懸念していると語った。米当局者は「この期間中、警備体制が敷かれたが、欠陥があるようだ」とし、「訪問した当日、商業原子力施設で警官がいたのを目撃したが、6人ばかりの警官の乗った軽装備車両で、警官の一部は居眠りしていた」と伝えた。
また、一部の原子力業界の幹部の中には2005年にこうしたテロ対策訓練を開始した際、その意味を疑う向きもあった。
例えば、2006年9月の訓練後に送られた米大使館員の公電によれば、東海村のトップは「私見」として「現地の住民にとって放射性物質の放出のほうがテロ以上に現実的な脅威だ」と述べ、どちらのシナリオを優先すべきか迷うと語ったという。

2012年3月26日月曜日

「事故がなくても、原発は悲惨」:小出裕章氏

毎日がやっと3.10に京都で開かれた原発問題に関する市民集会での小出助教の講演をまとめた。新聞社ともあろうものが2週間以上もたって発表するとは、いかがなものかとは思うが、何も発表しないで、素知らぬ顔でスルーする他のメディアよりはましと言わざるを得ない。

小出氏の主張は、首尾一貫して全くぶれない。新しく発足する規制庁は、専門的な知見を踏まえ、しかも金にも権力にも媚びない、小出氏のような立派な人物を中心に人事を進めるべきであるが、そうなると情けないことに、たちまち人手が足りないことになってしまう。日本には、後藤氏、工藤氏、今中氏などごく僅かな人材しか残らないからである。それでも、その人達を核にして、規制の機能を働かさなければ、我々は取り返しのつかない汚れた国土を次世代に送り続けることを是認することになる。

小出氏は言う、「事故がなくても原発は悲惨だと」。

66年の原発操業以来既に作りだされてきた広島原発110万発分の核分裂生成物のゴミを、電力会社や政府は一体この小さな国土のどこに、どのような形で処分するつもりなのか、その議論すらまともになされないままに、保安院は伊方原発のストレステストの結果が妥当であるという審査書を安全委員会に提出した。

政府の広域がれき処理に対しても、小出氏は、放射能は隔離して閉じ込めるという大原則に反するという。汚染地に特別の焼却施設を作って処理するべきであるが、政府の怠慢で建設計画さえ立てられてこなかったのである。

自治体ががれき処理を引き受ける際の2つの条件を挙げているが、各自治体は国から特別の補助金がもらえるからという理由で、安易にがれき処理を引き受けるのではなく、住民の健康を守るという観点から氏の言う、2つの条件をしっかり踏まえてもらいたいものである。

1放射性物質が外に出ないフィルターなどの特殊な装置を必ず増設すること。
2焼却灰は各自治体で適当に処分。利用するのではなく、東電に返すこと。

焼却施設の運転員は小出氏のような専門家に放射性物質の漏出を防ぐフィルターの正しい取り付け方や、安全なフィルター交換の方法や、交換後のフィルターの取り扱い方を事前に習い、実際に個々の焼却現場で試験的に焼却してみて放射性物質が漏れでていないか、確認し、がれき焼却中は継続的に線量計測を継続する必要がある。

むろん汚染されたフィルターを自治体で適当に処分するのではなく、これもまた東電に返す必要もあるであろう。

今すぐ直ちに健康被害はなくても、10年後、20年後、焼却施設の風下の地元住民のがんの罹患率が急増し、原発の二次被害が出るなどということになれば、取り返しがつかないのだからーー。

以下、小出氏の講演に関する記事と、原発推進の日経新聞ウェブ版の伊方原発ストレステストに関する記事を転載する。

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20120324ddlk26040702000c.html


講演:子供の被曝減らせ 原子力容認、大人に責任--小出・京都大助教 /京都

京都市内で今月10日あった原発問題に関する市民集会「バイバイ原発3・10京都」で、小出裕章・京都大原子炉実験所助教が演説や講演をした。東京電力福島第1原発事故の影響や現状など、発言のポイントをまとめた。【太田裕之】
■事故を振り返って
 私は41年前から原発は危ない、撤退すべきだと言い続け、廃絶させたいと考えてきたが、できないままここに至った。私たち大人には原子力を容認してきた責任がある。福島で今、放射能まみれの大地に子供たちが住んでいることを忘れず、できることを探そうと思う。私は非力だが、あきらめない。若い世代への責任だと思う。
■事故の大きさ
 日本政府がIAEA(国際原子力機関)閣僚会議に出した報告書で、大気中に放出されたセシウム137は広島原爆の約170発分とされているが、これは過小評価。世界の研究者が出している数字の大半は、その2~3倍の数百発分に相当する。海への放出量も同程度あると思う。
福島県の東半分を中心に、宮城、茨城、群馬、千葉、新潟、埼玉各県と東京都のそれぞれ一部地域が放射線管理区域以上に汚染された。私の仕事場である実験所は放射線管理区域で、そこでは飲食も寝ることも、子供の立ち入りも許されていない。汚染地域はまるで逆転した世界になっている。
 被曝(ひばく)放射線量には「これ以下であれば安全」という値はない。どんなに微量でも危険というのが現在の学問の到達点だ。
■第1原発の現状
 4号機は使用済み燃料プールが埋め込まれた階まで破壊された。使用済み燃料は膨大な放射能の固まりで広島原爆の4000発分だ。プールがさらに破壊され水が抜けたり、崩れ落ちれば、防壁のないところで大気中に吹き出す。そういう危険と隣り合わせで私たちは生きている。
 1号機は約100トンのウランなどが圧力容器の中から溶け落ちた状態。格納容器の下の厚さ1メートルのコンクリートの床について東電は70センチは壊れたが30センチは大丈夫と言うが、近寄ることはできず測定器もない。この床を突き抜ければ防壁はない。危機的状況が続いている。
■「原発」とは
 熱効率が33%に過ぎず効率の悪い蒸気機関で、生命体に圧倒的に危険な核分裂生成物を出す。出力100万キロワットの原発で毎日燃やすウランの量は3キロで、広島原爆(核分裂したウランは800グラム)3~4発分。また、原発は冷やし続けないと壊れるが、300万キロワットの発熱量のうち21万キロワットは核分裂生成物から生じる「崩壊熱」で、原発を停止しても止められない。日本では66年の東海発電所の営業運転開始から今日まで広島原爆110万発分の核分裂生成物を生み出した。事故がなくても原発は悲惨なのだ。
■除染とがれき処理
 政府は汚染地に人々が戻れるかのような幻想を与える「除染」という言葉を使っているが、放射能は人間がどんなに手を加えても消せず、放射性物質は無毒化できない。できるのは汚れを移動させる「移染」だ。もう戻れないのだと説明し、生活を補償すべきだ。
 私が最も訴えたいのは、事故に何の責任もない子供たちを守ることだ。校庭など子供が集中的に過ごす場所の土は必ず取り除き、東電の敷地にお返しするのが筋だ。
 政府はがれきの広域処理で、各自治体に、現行の焼却施設で燃やしたうえで猛烈な放射能の塊となる焼却灰を処分させようとしている。放射能は隔離し閉じ込めるという原則に反する。汚染地に専用の焼却施設を作って処理するべきだ。だが、政府の無策の結果、福島を中心とした汚染地にがれきが取り残されたまま、現在も子供たちは被曝を続けている。もはや子供全体の被曝をどう減らすかしか選択の道はなく、全国の自治体が引き受けるしかないだろう。
 それには二つの条件がある一つは放射性物質が外に出ないフィルターなど特殊な装置必ず増設すること。もう一つは、焼却灰は各自治体が勝手に埋めるのではなく、東電に返すこと。福島第1原発の事故処理には膨大なコンクリートが必要で、その部材にすればいい。

http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819890E0E4E2E6EB8DE0E4E2E1E0E2E3E09E93E2E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4EB


四国電原子力本部長「一つの通過点」 伊方3号機「妥当」判断 

2012/3/27 1:41
経済産業省原子力安全・保安院が26日、四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の安全評価(ストレステスト)の1次評価結果を妥当とする審査書を原子力安全委員会に報告したことについて、四国電力の柿木一高・原子力本部長は同日、記者団に対し「国の審査の一つの通過点と認識している」と語った。
安全委での今後の審査については、「審査が円滑に進むよう真摯に対応する」との方針を示した上で、「地元の理解を得て、一日も早い運転再開に向けて全力で臨む」と述べた。
愛媛県の中村時広知事は、「原子力安全委員会は厳正に確認作業を進め、四国電力は国の指摘に真摯に対応するとともに伊方原発の安全確保に努めてほしい」というコメントを発表した。

2012年3月25日日曜日

コピペ March 11, One Year On: WSJ

http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/03/10/march-11-one-year-on-occupy-meti/



March 11, One Year On: Occupy METI


At an intersection in central Tokyo, the concrete towers housing a group of Japan’s most influential government ministries rub shoulders.

Associated Press
Anitnuclear protesters gathered outside tents to rally against the use of nuclear power on the premises of the METII on Jan. 27.
In a leafy plaza by one of them, the powerhouse Ministry of Economy, Trade and Industry, known as METI, sits a ramshackle tent, festooned with colorful banners demanding an end to nuclear power in Japan.
Welcome to “Occupy METI,” Japan’s take on Occupy Wall Street.
March 11 marks the one-year anniversary of the natural disasters that triggered Japan’s worst-ever nuclear accident at Fukushima Daiichi, igniting a growing movement to protest the country’s reliance on atomic energy. It’s also six months to the day since the makeshift tented structure was set up in the confusion of a rally by 2,000 anti-nuclear protesters.
The occupiers say they didn’t think it would last more than a week. But to their surprise, METI didn’t evict them. Instead, in the consensus style of Japan’s politics, government officials sought negotiations — emboldening the occupiers to stick it out.
For ministry officials, the makeshift tent structure is an eyesore and something of an embarrassment, out of place in the heart of the well-appointed government district of Kasumigaseki, a seat of power visited by many foreign diplomats and business people.
The tent stands on land owned by the national government. Every day, police officers and plain-clothes detectives pay a visit  to check who is inside and remind the occupiers that the place needs to be vacated. But the occupiers say they are determined to stay on. “The land we are sitting on is national property. There is nothing wrong about using it for public debates on nuclear energy,” said one occupier in the tent during a recent visit, declining to disclose his/her name.
METI officials say that they actually share a common goal with the occupiers, now that the government has formally adopted a policy of reducing dependence on nuclear energy.
But the occupiers are unconvinced. They want to ensure the government will not restart idled reactors. “We won’t leave the place until the government promises not to restart any reactor,” said Taro Fuchigami, anti-nuke activist and leader of the occupy movement, in an phone interview with JRT.
The tent is sealed with extra tarp at the opening, but inside it remains cold as spring comes unusually late to Tokyo this year. At least two occupiers remain alert at all times to guard against a late-night or pre-dawn raid by police. “You can keep yourself warm with 10 hot pads on the body,” one occupier said, referring to adhesive self-heating strips commonly used and available from Japan’s convenience stores.
There are blankets, mattresses and sleeping bags to allow at least five people to sleep inside. With a dozen coats on the tent’s wall, paper cups and dishes on two foldable desks, and cartons of food, hot pads, documents on shelving structures, the place looks like a college dorm room. A large sign on one tent wall reads, “The rules on the use of the tent house: keep the place in good order, suitable for a public space.”
“We never thought we could stay on for this long,” said one gray-haired occupier coming off overnight guard duty. “METI couldn’t force our eviction probably because they feel guilty about the past nuclear development,” said another.
METI officials acknowledge that they are concerned about the image that might be conveyed if they use force to remove the tent. “That would make us look like we’re trying to quash the anti-nuclear movement, which we are not,” one official said.
Relations between protesters and officials seem cordial for the most part. But one incident toward the end of last year brought a tense standoff.
Over the six months it has been there, the tent has served as a focal point for anti-nuke activists. On Dec. 30, when a movie event was held for a year-end rally, a fire broke out, burning for nearly a minute before being put out, much to the irritation of METI officials.
After the New Year’s holiday, METI issued an ultimatum, ordering occupiers to leave by Jan. 27. But when the due date came around, some 800 protesters gathered at the site, according to the occupiers, making it impossible for METI to enforce the eviction without fuss.
METI officials say they are now considering filing for a court injunction to seek the tent’s removal.
In post-March 2011 Japan, attitudes toward public protest have clearly changed, the anti-nuclear campaigners say. “Such an occupation was never possible, even during the 1960s and 70s, when the social protest movement was very active,” the gray-haired tent occupier said.


2012年3月24日土曜日

原発再稼働の驚くべき障害:国際基準を下回る周辺住民710万人に対する緊急時計画

安全委員会派ストレステストによる一時評価を妥当と認め、再稼働は、政治家の政治判断に委ねられる局面を迎えている。

いよいよ野田政権は原発再稼働に向かって本格的に動き始めるというが、昨日のWSJのウエブ版によれば、再稼働の驚くべき障害として、国内原発の周辺住民710万人に対する緊急時計画は国際基準をはるかに下回っていることを指摘している。

日本の立地自治体には、小さな事故に対処する計画しかないというのである。そもそも、アメリカの原発とは異なり、日本は原発建設の場所を選択する際の基準として、集団避難が可能ということを全く考慮していなかったのだという。

現在新しい防災指針を原子力安全委員会の本間主査が中心となって改訂しているという。WSJによれば、その政府の新しい防災指針はようやく4月にも出されるそうであるが、その新しい国際基準に準じた指針の改定が行われば、大事故が起こった場合の避難区域は30キロにまで拡大されることになるが、そうした広い地域の住人のための緊急時の対策が全く講じられていないのである。

このブログに何度も書いたが、福井原発の30キロ圏内には大阪、滋賀、京都、奈良、兵庫の重要な水源である琵琶湖が含まれているのである。

しかし、2007年にIAEAが、日本の原発の防災対策重点地域を29キロ圏にまで拡大すべきであると勧告したにもかかわらず、原子力安全委員会は、この勧告を本間氏ら専門家の助言に基づいて拒絶したと言う。「日本の技術では深刻な事故は起こりえない」等という、傲慢極まりない、3.11以降の専門家の情けない対応の数々を知っている我々から見ても実に恥ずかしいような貧弱な理由付けによって。

今回の福島原発の災害は、偶然の重なり合いによってかろうじて最悪の事態に至らずにも済んだ。しかも当初はアメリカやフランスの技術や専門家の知見に頼らなければ、日本の専門家は手も足も出なかった。日本の専門家は砂を投入するつもりだったようだが、アメリカの専門家の指摘のおかげで水で冷却する必要があることをやっと認識できたほど、お粗末であった。そういったことをすべて考慮に入れれば、アメリカの専門家が設定した、大事故の場合は30キロ圏内という設定さえ少なすぎるのではないか。

いずれにしても、こうした日本の錚々たる専門家の方々のおかげで、放射性物質が拡散、被曝の被害が拡大したにもかかわらず、こうした人々が、今尚この国の原子力政策を左右するような要職にあるということが、許されてよいものなのだろうか。

以下、WSJのウエブの関連記事と、朝日新聞の大飯原発再稼働に関する記事を転載する。本来WSJが掲載してくれたような、こうした原発の安全性に関する記事は、日本のメディアが、もっとしっかり取材を行い、積極的に取り上げて、国民に広く知らしめなければならないことではないのだろうか。

http://jp.wsj.com/Japan/node_413390/?mod=Right_pickfree


国内の原発事故対策、依然進まず

【福井県敦賀市】国内の原子力発電所の再稼働をめぐって重要な決定がなされようとしているが、驚くべき障害が明らかになっている。国内原発の周辺住民数百万人に対する緊急時計画は国際基準をはるかに下回っている。
イメージChester Dawson/The Wall Street Journal
関西電力大飯原発(福井県おおい町)
 その結果、福島第1原発事故の際の避難区域内に十分入っているとしても、自治体の多くは今後発生する可能性のある同様の事故への準備が十分でないとみられる。
今後数週間以内に、野田佳彦首相は福井県に当地の原発再稼働を正式に要請する見通しで、さまざまな論議を呼ぶことになるだろう。また、4月上旬までには、緊急時計画の不足に対処するために防災指針が改定され、新指針では、国内の原発再稼働が一段と難しくなる可能性がある。それぞれの自治体に地元で原発を容認する意向があるかどうかについてさらに意見を求めることになることが一因だ。
昨年の福島第1原発事故を受けて、国内では原発の稼働停止が相次ぎ、国内の発電能力は3割ほど落ち込んでいる。現在稼働中の2基の原発についても来月下旬までには停止される予定となっている。電力各社は原発のストレステスト(耐性検査)の実施を求められ、経済産業省原子力安全・保安院の専門家による意見聴取会が原発の安全基準の再評価を始めている。
 こうした再評価で明らかになった最も厄介な事実の1つは、国内原発に最も近い50の立地自治体には、福島第1原発事故の規模ではなく、小さな事故に対処する計画しかないということだ。さらに、政府および自治体の当局者とのインタビューならびに、原子力安全委員会がまとめたデータによると、原発に最短の地域より外側の数十の地方自治体では、福島第1原発のような事故に対処する計画が全くない。
 原子力安全・保安院のデータに関するウォール・ストリート・ジャーナルの分析によると、国内原発から20マイル(約32キロ)圏内に位置する121の市町村の最大710万人の住民は、警告や避難、空中に飛散する放射性物質に対する医薬品による保護について信頼できる手段を持ち合わせていない。
例えば茨城県では東海第2原発から18マイル(約30キロ)圏内の14の市町村に約100万人が暮らしている。茨城県の橋本昌知事はインタビューで、「うちの県の場合には、前々から自家用車を使わないと実際的な避難というのは無理だろうということで自家用車を使った防災訓練などもやっているけれども、一般的には自家用車を使えば交通混雑でとんでもないことになるので自家用車を使わないと言われている。ただ、そういったことについて果たして方針を変換していくのかどうか、そういう重要な要素がさっぱり分からない」と語った。
新設される原子力規制庁の指揮の下、避難区域の拡大基準が来月にも発表される見通し。しかし政府当局者は原子力規制庁によるこうした政策の十分な実行を待たずに、閉鎖中の原発の再稼働を求める見通しだ。野田首相は今夏の電力需要がピークを付ける時期に間に合うように原発の稼働を再開すると公約している。
ただ、その時期までに原発が再稼働されるかどうかはまだはっきりしていない。国内の電力各社は、再稼働の方向性は認められているものの、世論の反対を受けて態度を保留している
 政府は原発依存の低減を公約しているが、イタリアやドイツのように、原発の全面廃止には言及していない。計画停電や電力不足を経験せずに夏のピークを乗り切ることができれば、わが国には原発が必要だという政府の主張が弱まることにもなりかねない。
 現在の防災指針で定められている「防災対策重点地域(EPZ)」の半径10キロメートルに代わり新たに半径30キロメートル圏内の「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定される圏内に入る地方自治体の多くは、災害対策が整うまでは原発再開には反対の意向だ医薬品の蓄積といった基本項目で6カ月、新たな避難ルートの整備といった一段と大きなプロジェクトでは数年かかるとみられている。
 4月の指針改定では国内で採用されている現行の半径10キロのEPZに代わり、2段階からなるシステムが採用される見通しだ。つまり、小さい事故の際の3マイル(約5キロ)の緊急避難区域と、大事故の場合の18.6マイル(約30キロ)に及ぶ避難区域だ同計画では新たな避難ルートおよび放射性物質を避ける避難所、放射線予防薬の準備、放射線測定場所のネットワーク拡大などが必要となる。
 この指針改定により、初めて国際原子力機関(IAEA)の勧告に沿うものになるとともに、10マイル(約16キロ)の避難区域と50マイル(約80キロ)の食品・水の汚染地域を指定する米国の規定に近いものとなる。
 福島第1原発事故を受けて、原子力安全委員会が原子力防災指針の見直し作業を進めている。同委員会は、既存の指針では現行の避難区域内に位置する地方自治体に対し、「日常生活に支障をきたさない」方法で、小規模な事故に備えるよう求めているにすぎない、と指摘した。また、委員会の調査で、原発の立地自治体のなかにはその程度の計画もないことが分かった。
福井県の場合は、海岸沿いに13基の原子炉が位置し、なかでも敦賀市には原発2基が存在する。敦賀市に派遣された原子力安全委任命の専門家による昨年11月の調査では、緊急時計画は「不十分」との判断が出された。
例えば、この専門家チームの追加報告によると、敦賀市の避難センターの1つは原発の入り口からわずか0.5マイルしか離れていなかった。また、敦賀市街の約8万人の住民に屋内にとどまったり、避難するよう警告する拡声器は全くなかったという。
さらに同報告書によると、山地が海に迫る半島に位置する原発には、緊急救援隊が到着して住民を救出するのに狭い曲がりくねった道が1本あるだけだ。敦賀市立石地区の原発の裏手数百メートルの地域に住む72人の住民のうちの1人で漁師の浜上秋良さん(92)は、「1つの道しかないんで、逃げる方法がない」と話す。
 敦賀市の緊急指令センターは同原発から8マイル(約13キロ)の海沿いにあり、海抜わずか6フィート(約1.8メートル)に過ぎない。そこには無線のコミュニケーション手段はなく、放射能で汚染された大気を浄化するフィルターもついていない。
敦賀市の状況は海岸線に位置する原発の多くの典型とも言える。米国の場合と異なり、原発の場所を選択する際の日本の基準は集団避難の可能性を考慮したものではなかった。防災指針の見直しを進めている国の原子力安全委員会防災指針検討作業部会の本間俊充主査はそれについて真剣な検討がなされなかったことは今では明らかだろう、と語った。
イメージChester Dawson/The Wall Street Journal
大飯原発近くの避難場所を示す標識
 原子力安全委員会は、最近では2007年に、原発の防災対策重点地域を18マイル(約29キロ)以上に拡大することを求めるIAEA勧告を、本間氏をはじめとする専門家の助言に基づき拒絶した。委員会は日本では深刻な事故は「技術的に起こり得ない」とする既存の指針を堅持した。
その翌年、こうした政府の自信の証拠が示された。08年10月、福島第1原発で2日間に及ぶ防災訓練が実施された。この訓練では、原発の送水ポンプが壊れ、冷却システムが作動せず、50ミリシーベルトの放射線量(原発作業員に対する年間の平均上限の2倍超)が放出されたと仮定された。
訓練シナリオでは、漏れた放射線は原発から1.2マイル(約1.9キロ)以内にとどまり、原発事業者による迅速な対応で被害は数時間のうちに食い止められた。周辺の2つの町の全住民1万8109人のうち、ごく一部の約1858人が、保育園と体育館の2カ所に避難した。ともに、原発から2マイル以内の距離にある。
 しかし、福島第1原発が震災に見舞われた昨年3月、こうした仮定が楽観的だったことが証明された。福島第1原発周辺では毎時400ミリシーベルトと極めて高い放射線が観測された。これは訓練での想定量を8倍上回るものだ。実際の事故では原発から最大30マイルの周辺住民数万人が避難を余儀なくされた。
 近く改定される指針では、避難計画地域が、現行指針で規定される原発立地自治体の範囲をはるかに超えるものに拡大される。30キロ圏内となる改訂後の同地域は、原子炉2基の敦賀原発周辺の場合、琵琶湖の北端に達する。琵琶湖は京都府や大阪府の住民をはじめ約4100万人の飲料水の水源となっている。
長期的な影響については依然明らかではないが、これまでのところ福島では放射線の被曝による死亡や病気の報告はなされておらず、健康への影響も現時点では懸念されたほどではないようだ。
原発周辺地域の地方自治体の当局者のなかには指針の改定に異議を唱えている者もいる。住民や企業が懸念を深め、土地を離れてしまうのではないかとの思いが背景にある。敦賀市の河瀬一治市長はインタビューで、立地自治体は危険な地域だとみられるのは避けたいと語った。さらに、原子炉が最高の安全基準を満たす限りは、周辺自治体には懸念はない、と強調した。
河瀬市長が率いるグループ(数十の原発の立地自治体を代表する)はここ数カ月間、原子力安全委員会に対し2回にわたって避難計画地域の拡大を再考するように嘆願するとともに、集団避難は実行不可能だと批判した。
また、改定後の新規定でも十分ではないとの見方もある。既存指針の下では、原発の運営事業者は原発の立地自治体と話し合う必要があるが、近隣の風下の自治体との協議は義務付けられていない。そのため風下に当たる都市の自治体関係者らは苛立ちを強めている。というのも、原発を運営する電力会社に対し意見を表明する正式な手段がない上、原発立地自治体に交付される政府や業界からの補助金の対象ともならないからだ。
藤村修官房長官は16日、定期検査で運転停止中の原発の再稼働手続きで、事前に説明して合意を得る地方自治体の範囲を、原則として原発から半径10キロメートル圏の自治体に限る考えを示唆した。これを受けて、10キロ圏外ながら原発に比較的近い一部自治体から反発の声が上がっている。
 緊急時の対応計画について現在、見直しを求められている自治体の1つは京都府の舞鶴市だ。人口は8万7000人で、自衛隊の舞鶴基地もある。
 舞鶴市の境は高浜原発から6マイル(約9.7キロ)圏内にあり、舞鶴市には数百世帯を避難させる基本計画はある。同市は住民に原発事故に関し、「窓を全部閉めてください」とか、「口にハンカチを当ててください」「帰宅したら顔や手をしっかり洗って下さい」といった基本的なアドバイスを記したハンドブックを支給している。
 原発の防災指針で定められている「防災対策重点地域(EPZ)」の半径10キロメートルに代わって新たに半径30キロメートル圏内を「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定する案が実現すれば、初めて舞鶴市全体が重点地域内に入ることになり、深刻な事故が発生した場合には市全体が避難の対象となる可能性が高まる。
医師でもある舞鶴市の多々見良三市長は、5月までに市の暫定計画を策定すると表明した。計画には、市役所の全機能を一時的に他の場所に移したり、避難ルートを策定し始めることなども含まれる。多々見市長はインタビューで、「(深刻な事故に際して)われわれ全部が逃げなければならないのであれば、(周辺自治体ではなく)立地自治体だ」と述べ、「同じ被害を受けるものについては、(立地自治体と)同じような(原発)再稼動判断をさせていただくのが普通ではないか」と語った。
近い時期の原発再稼働が可能か――そして、周辺自治体の準備が整っているか――を試すケースは、福島県おおい町に位置する大飯原発の4基の原子炉だ。大飯原発はかつて京都府と大阪府の消費電力の最大20%を供給していたこともあった。
国内の公益事業関連当局者や原子力安全・保安院(NISA)は、大飯原発の2基の原発について再稼働を検討している。公益企業の幹部やNISAの当局者らは、大飯原発の第3号機と第4号機は、福島第1原発事故後に導入された「ストレステスト」を最初に合格する見通しだとしている。
NISAの報告書は、ストレステストで、大飯原発とその使用済み燃料棒が「想定基準の1.8倍の地震に見舞われても」引き続き冷却可能であることが示されたと指摘した。
また同報告書によると、11.4メートルの津波にも持ちこたえられる見込みだ。同報告書は、歴史的な記録では、福井県おおい町では同水準を超える津波は示唆されておらず、同原発には災害の脅威に対処する「十分な余地」があると結論付けている。
 しかし、地元当局者らは、災害の可能性は小さいかもしれないが、可能性への十分な備えはできていないと語っている。敦賀市の場合と同じように、大飯原発周辺住民に対し指定された緊急避難所は原発の入り口から0.5マイル(0.8キロ)弱の学校となっている。また、おおい町の災害警告システムは約2.4メートルの位置に設置された拡声器に主に頼っている状況だ。
緊急時指令本部は海辺から数メートル程度しか離れておらず、海抜は約1.8メートルだ。大飯原発が位置し周辺住民が暮らす半島からの唯一の避難ルートは8キロほど続く崖に面した道だけで、この道は約640メートルの2車線の橋につながっているが、冬場はこの橋は凍りつく。
おおい町総務課の新谷博樹主査は「今調査中だ。数年前から新しい道路が必要だという話があったが、今まで作っていない状況だ」と語る。

大飯原発、再稼働手続きへ 野田政権、4月から地元説得

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図:原発再稼働までの流れ拡大原発再稼働までの流れ


 野田政権は23日、内閣府原子力安全委員会が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の安全審査を認めたことを受け、再稼働に向けた検討を始めた。来週中にも関係閣僚で安全性を確認し、再稼働可能と判断。4月上旬にも地元自治体の説得に入る。再稼働に反対する大阪市の意向も考慮する考えで、早期に踏み切れない可能性もある。
 政権が原発再稼働の前提としているストレステスト(耐性評価)の1次評価について、原子力安全委は23日、大飯原発3、4号機を「妥当」とした経済産業省原子力安全・保安院の審査を認める文書を公表した。安全委による確認は初めて。大飯原発の再稼働に向けた、国の技術的な安全性の確認作業は完了した。
これを受けて、藤村修官房長官は23日夕の記者会見で「まず技術的な分野について、政府としてヒアリングしないといけない」と表明。原子力安全委などの判断を確認したうえで、再稼働の検討に入る。