2011年7月3日日曜日

未必の故意に加担した人間は罰せられるべきでは?:封じられてしまった原発事件回避の好機

去年、フクシマ原発が、大事故を回避する最後の大きなチャンスがあったという(WSJ)。にもかかわらず、それは原子力安全基盤機講の担当者によってあえなく封じられてしまったらしいし、審議会の出席者は推進派側の意見を是認してしまった。
マスコミや事故を調査する委員会は、名指しでこの審議会に誰と誰が参加し、何処の誰がどんな検査結果を提出し、原子力安全機講の誰がどんな発言をしたり、対応をして、大事故回避のチャンスを見過ごしたのかを明らかにすべきではないか。
「未必の故意」に加担した関係者は厳罰に処するべきである。
電力会社や、原子力推進者がすべてこの事件の収束にかかる莫大な損害費用を100パーセント、自分たちで責任を持って負担するわけでもなく、国民から電気代や税金を絞りとってそれを充当しようとするのであれば、国民は事の次第を知る権利がある。
そもそも誰のせいで、このような馬鹿げた状況が引き起こされたのか、誰も事の顛末の責任をとらず、責任を負うべき電力会社は地元首長を懐柔して、原発再稼働をしようとやっきになっている。玄海などは、専門家が大爆発する可能性があるとも言っているにもかかわらず、全く聞く耳を持たないどころか、経産相が地元にでかけて、積極にあたっているような始末だ。
危機管理も、危機意識すらもてないような金の亡者の暴走を国民はいつまで黙って看過ごすつもりなのか。新しい原発の建設はいうまでもなく、老朽化した原発、大事故が発生した場合人口密集地に影響が及ぶ地区、活断層や海抜の低い土地に設置された原発は直ちに止めてしかるべきである。

ましてや福島原発の事故の責任を問わないと最初に明言するような手緩い事故調査委員会などに、事故の調査を委ねていては、抜本的な問題が追及されず、同じような事故が繰り返され禍根を遺すばかりの結果になることは、はじめから目に見えている。

事故調査委員会のトップのセンセイは、事故の繰り返しによって、だんだん技術が向上するという思想の持ち主らしい。しかし、原発は、電車や車、回転ドアとは本質的に違う。原発で大事故がおこり、水蒸気爆発でも起これば、日本のような小さな国土は確実に消滅しかねない。その最も根本的なところを全く抑えておられないのではないかと思われてならないのは、 薔薇っ子だけだろうか。

福島原発―逃された事故回避のチャンス


【東京】日本の規制当局は気づいていなかったが、昨年、福島第1原発1号機の事故を未然に防ぐ最後のチャンスがあった。
イメージJAPANESE SELF-DEFENSE FORCE/AFP/Getty Images
福島第1原発1号機(3月末)
それは、東京電力の申請に基づき、経済産業省原子力安全・保安院が福島第1原発1号機の今後10年間の運転継続について検討したときのことだ。検査官が2日間をかけて原子炉を見て回り、あらゆる主要部分について技術仕様と損傷を精査、何百ページにもわたる報告書をまとめた。
原子力安全・保安院は通常の手続きの一環として、外部の専門家で構成する審議会を開催し、このデータの検討を行なった。審議会は経済産業省のビルの最上階にある会議室で9カ月間に5、6回、会合を開催、審議の時間は4時間におよぶこともあった。
日本政府は審議会の議事録の概要を公表したものの、議事録全文は公表されなかった。概要によると、最初の3回の会合は平穏無事に行なわれ、参加者は官僚が用意した山のような書類を受け入れた。
しかし、2010年11月5日、出席者の一人が現状に疑問を呈する場面があった。この専門家が誰であるかは議事録の概要では明らかにされていないが、技術基準を監督する立場にある原子力安全基盤機構(JNES)を厳しく非難したのだ。この専門家は福島第1原発に設置されている非常用電源の天候悪化時の備えについて、JNESの対応が甘いと指摘した。この非常用電源は3月11日の大津波の被害を受け、作動しなくなるものだ。
JNESは福島第1原発1号機の検査を実施した。他の原発の原子炉では雨や海水による腐食が記録されていたにもかかわらず、1号機の検査では雨や海水による腐食は可能性が低いとして検査から除外された。
審議会に出席したJNESの担当者はこの専門家の批判に対して、一言、「わかりました」と述べた。その後、何らかの措置がとられたかどうかは明らかではない。この審議会の会長を務めた東京大学大学院工学部の幹部はコメントを差し控えた。
この批判が再び取り上げられることはなかった。今年1月19日に行なわれた最後の会合で、東京電力の一人の幹部が耐震措置について説明をした際に、異論を唱えるメンバーはいなかった。外部の専門家で構成された審議会は原子力安全・保安院に最終報告書のとりまとめをまかせた。
原子力安全・保安院は審議会が原発全体の構造ではなく、特定の部品や設備の耐久性に注目し、議論が狭い範囲にとどまったことを認めている。
1971年に運転を開始した福島第1原発1号機の構造は時代遅れだ。しかし、米国の規制当局が、安全性の向上確保と機能改善で原発を安全な状態に維持するという条件で、運転開始から何十年も経過した原発の運転継続を許可していたことから、日本も安心していた。
原子力安全・保安院は2月7日、福島第1原発の原子炉は60年間、安全に運転できるとの結論を出した。その際に、米原子力規制委員会が米国内の同様の原発に関して出した提言を引き合いに出している。ここで言及された米国の原発は地震が頻発する地域にあるわけでもなく、また、津波の脅威にさらされているものでもない。
そして、原子力安全・保安院は福島第1原発1号機の運転継続を認可、2021年までの運転が可能であると判断した。3月11日に東日本大震災が起き、1号機で核燃料のメルトダウンが発生して、原子炉建屋が爆発したのは、認可の日からたった5週間後のことだった。

2011年7月2日土曜日

小佐古氏 vs.西山氏: フクシマ原発をめぐるインタビュー

 ウォールストリートジャーナルは7月2日、元内閣官房参与で放射線安全学の第一人者と言われる小佐古敏荘氏をインタビューした。政府の放射能問題対応に涙の抗議をして辞任会見後、メディアの取材に初めて応じたという。

氏は今後放射能汚染の脅威がさらに露呈する可能があると警告し、政府の意思決定メカニズムはとても民主主義社会のそれとは思えず、東アジアの途上国のような状況であると言い切っている。

海外メディアにあれこれ発信するのも結構であるが、日本の国民に対しても、出版その他の形で、専門的な立場からしっかりとした発信をしていただきたいと願う。莫大な研究費が国民の税金の中から支払われたものであるならば、研究成果を国民に還元することことが、研究者としての第1の使命であろう。

このインタビューと好対照なのが、以下のブログの中に収録されている経産省の元スポークスマン、西山審議官の最近のインタビューである。

気になるのが、日本のエリート官僚の中でも最高位にいるとされる彼が、かくも稚拙な答弁しかできないという点である。それよりも何よりも、専門的なバックグラウンドを持たないド素人で、東電が娘の就職先であるという極めて個人的な繋がりを持つ彼が、原子力の専門家のごとく、東電に対して客観的な公人という立場にあるかのごとくにふるまい、発言している点に呆れ果ててしまう。

とりわけ、日本のエネルギーの30%は原発に依存してきたのだから、これからも必要であるという理由にもならない理由で議論を締めくくっている点などは秀逸である。

モラルといい、品性といい、教養といい、英語によるパブリック・スピーチの能力といい、日本の上級公務員試験・採用方法の在り方、エリート官僚の育て方を抜本的に見直さなければならない曲がり角に来ているのではないか。



【インタビュー】日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏


【東京】菅内閣の元官房参与、小佐古敏荘氏(61)が原発事故に対する政府の対応を痛烈に批判し、今後、放射能の脅威がさらに露呈する可能性があると警告した
イメージAgence France-Presse/Getty Images
辞任会見で涙を見せる小佐古氏
 ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じた小佐古氏は、菅内閣は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除去コストを最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価していると述べた。日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディアの取材に応じたのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
 同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告されているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした。
 同氏は、「今年の秋の収穫の時期が来れば混乱がおきる。収穫した時に米の中に、どのようなレベルかわからないが、放射能が入っている。それがスキャンダルになり、東北の米は買わないということになれば、やっかいなことになる」と述べた。
 さらに、3月11日に原子炉が津波の被害を受けて以来、福島s第1原発の状況に対して政府がとってきた対応は、日本の政策決定のまずさを露呈したとし、「政府の意思決定メカニズムははっきりしない。どういう理屈で何を決めているのかはっきりしない。とても民主主義社会とは思えない」と述べ、東アジアの発展途上国のような状況になっているとの見方を示した。
 小佐古氏は、具体的に、校庭における放射能の許容水準を超える学校が17校にとどまるよう、政府は許容水準を比較的高いレベルに設定した、と述べた。同氏が主張していたようにより低い水準に設定した場合、何千校もの学校で全面的な放射能除去作業が必要になる。菅首相率いる民主党は補正予算の国会承認を得るために苦慮しており、同氏は、このようにコストがかかる選択肢は支持されなかった、としている。
 「今の内閣は生き延びるためだけに、色々な対策をうっているとしか私には考えられない」と同氏は述べた。
 本紙が小佐古氏の主張について政府のコメントを求めたところ、内閣府の高官が匿名で回答し、政府は海の放射能除去に向けて最大限の努力をしており、漁業従事者やその他関係者と緊密に協力していると述べた。
 同高官は、「特に主食の米には細心の注意をはらっている」と述べ、既に作付けは制限されているが、もし基準値を超える放射能が検出された場合は出荷を停止すると付け加えた。
 また、学校の問題については、政府は許容レベルの引き下げに向けて検討中であり、追加措置も考慮しているとした。
 今年4月30日、政府や学界の審議会などに数多く参加してきた東京大学教授の小佐古氏が菅内閣の官房参与を辞任したため、政府の原発事故対応をめぐる懸念に拍車がかかった。小佐古氏は、同氏を含む専門家が行った多くの申し入れは取り入れられなかったとしており、政府が定める校庭の放射能許容水準は「受け入れられない」とした。自分の子どもでもそういう目に遭わせることはできないと記者会見で涙をぬぐう同氏の姿は全国に放映された。
 その後2カ月間、同氏は東京大学で放射線安全学の講義に集中してきたが、まずは海外で心の内を明かす準備ができたと述べ、今後数週間は米国や台湾で講演を行う。
 同氏は、特に、被災した原子炉から周辺の海に廃棄された大量の放射性物質が海を汚染する可能性について懸念を深めている。政府は、福島第1原発の原子炉冷却過程で、何が海に廃棄されたのか、大ざっぱな報告しか発表していない。小佐古氏は、海水の監視や、汚染水の拡散状況の予想をこれまで以上に行い、海草から貝類、魚類にいたるまで様々な種類の汚染に対応するための措置を実行するように求め、「ずっとやれやれといってきたのに、やっていない」と述べた。
 同氏は辞任の際、官房参与だった6週間に行ったすべての申し入れをまとめた、「福島第一原子力発電所事故に対する対策について(参与提言を中心に)報告書」と題する分厚い文書を政府高官に提出した。本紙は独立した情報源からその文書のコピーを手に入れている。
 3月16日に官房参与に着任して以来、小佐古氏とその他の専門家の一部は幅広く様々な提言を行ってきたが、中には何週間も経ってから一般に知られるようになったものもある。例えば、3月17日には、政府の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で「合理的な最悪のケース」を使い、住民の被曝レベルを予想することを提言した。
 3月18日には、政府の原子力安全委員会に対し、SPEEDIによるシミュレーションに基づいて、当初の避難区域の妥当性を再考するように勧告した。
 しかし、SPEEDIデータは3月23日まで一般には公開されず、避難区域は4月11日まで変更されなかった。政府を批判する向きは、そうした遅れによって、何千人もの福島県住民が高レベルの放射能にさらされた可能性があるとしている。

2011年6月30日木曜日

原発の再開は株主総会の判断と地元の首長の方針だけで決めることですか?

各電力会社は昨日株式総会を開催し、脱原発提案を否定して、無事総会を終えたという。その後、電力株は軒並みに急騰、委任状を送りつけた大型株主にとっては、めでたしめでたしの結末ということだろうか。猛暑の中、わざわざ株式総会に足を運んだ多くの個人株主にとっては、全くの徒労であり、怒り心頭に発する結果に終わったようだ。

大型株主は電力会社から得られる既得権益を簡単に手放す訳もなく、株主総会の筋書きは最初から描かれており、個人株主はまさに無駄な抵抗、ごまめの歯ぎしりをしたということなのであろう。

こうした結果に勢いづいたように海江田経産相は今日、早速玄海原発再稼働のために現地を訪れ、玄海町の町長と佐賀県知事からおよその合意を取りつけたようである。政府は玄海の再開を弾みにして、一挙に全国の現在停止中の原発の再稼働に踏み切ろうという算段なのだろう。

100日以上たって収束の目処もたたない無様な対処しかできず、国民からの信頼が失墜した東電が原発継続の是非を大型株主の意向だけで、決めていいのだろうか。

冗談じゃないといいたい。事故の賠償を、会社と大型株主だけですべて負うというのであれば、まだしも、株主は責任を負わず、経営陣は高給に、高い企業年金、退職金ととれるものはなんでも分捕り、大きな負担と責任は、国民に押し付けておいて、何が原発継続の決議か。

地元の首長や県議会の決定で、原発の再稼働を決めるという旧態依然としたやり方も、原発事故の放射能被害が決して1つの県内にとどまらないことから考えれば、全くもっておかしいのではないか。

交付金をもらった自治体が、事故の被害を自分たちの市町村や県内だけにとどめることができ、何が起きても全責任をすべて自分たちだけで負うと確約するのであれば、こうした物事の進め方も理にかなっていると言えるかもしれない。

しかし、地元は交付金をもらえるだけもらい、さんざんいい思いをして危険な原発を容認し、事故が起きれば負担と責任だけを国民に押し付ける。そんな不公正なことが、いつまでも容認され続けていいのだろうか。

原発を継続するか、しないかは、消費税や電気代支払っている国民全体が投票で決めることであるし、そのためにテレビ中継による公開説明会、シンポジウムを何度も開催し、原発の専門家の中でも立場の違う専門家を入れて堂々と意見をたたかわせた上で、国民に最終的な判断を委ねる
べきではないか。







http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=ayZQ5BWhr3qU

電力株が軒並み急騰、東電の脱原発提案否決でコスト上昇懸念が後退

はてなlivedoorYahoo!Newsing it!Buzzurl
6月29日(ブルームバーグ):東京電力中部電力など電力株が軒並み高く、東証1部の値上がり率上位に多数入っている。きのうの東電の株主総会で、「脱原子力発電所」の株主提案が否決されたことから、燃料コスト高に対する懸念が後退した。
東電は前日比6%高の335円、中部電は5.1%高の1549円、東北電力は5.7%高の1134円、九州電力は5.4%高の1395円までそれぞれ上昇。東証1部33業種で、電気・ガスは午前の上昇率トップ。
大和証券投資情報部の高橋和宏部長は、「株主総会で原発阻止の方向性にならなかったことから、イベント通過を受けて買い戻しが優勢になっている。仮に可決されていれば脱原発でコスト高につながってしまう懸念があった」と話していた。
東電は28日夜、同日に開催された株主総会で株主が提案した「脱原発」議案について、賛成8%、反対89%、棄権や無効3%だったと発表した。





http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110628/dst11062821010022-n1.htm


【株主総会】
東電株主「茶番も甚だしい」怒りと落胆…荒れに荒れ 

2011.6.28 20:58 (1/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
福島第1原子力発電所事故の収束の見通しが立たない中、28日に開かれた東京電力の株主総会。怒声が飛び交い、議事進行に不満を持つ株主がたびたび経営陣に詰め寄るなど、6時間を超えた総会は荒れに荒れた。安全性への不信感が募る原発。暴落したかつての“優良株”。詰め掛けた9千人以上の株主の顔には怒りと落胆の表情が浮かんでいた。
会場となった東京都内のホテルには、午前10時の開始を前に大勢の株主のほか、反原発を訴える市民団体も詰め掛け、入り口では荷物検査が行われるなど物々しい雰囲気に包まれた。周辺では数百人の警察官が警戒。会場は入場制限が行われたが、それでも会場に入ろうとする人が後を絶たなかった。
総会は勝俣恒久会長の謝罪で始まったが、午前中に質疑に立った株主は全て反原発の立場。「本来なら東電は倒産している。(役員は)全財産を売却して賠償に充てるべきだ」との厳しい意見も出た。
総会が紛糾したのは東電側の議事進行をめぐってだ。
2011.6.28 20:58 (2/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
東電側が提案した取締役選任を求める議案で、勝俣会長が挙手で採決を求めたところ、賛成数が瞬時には判断できなかったにも関わらず、勝俣会長が「賛成多数とみなす」と即断。会場の株主から「茶番も甚だしい」「何のための株主総会なのか」といった怒号が飛び、十数人の株主が経営陣に詰め寄った。
また、株主総会の議事録の配布と公開を求めた株主に対しても、勝俣会長は「会社法に基づき、配布・公開の必要はない」と拒否し、会場がざわめく場面もあった。

Le plus important est invisible

Le plus important est invisible 「本当に大切なものは目に見えない」ーー有名な星の王子様の一節だが、今度の原発の放射能汚染にも当てはまる実に含蓄のある至言だと思う。


「影響が目に見えてわからないんだから、深く考えたくない」という人間がこの国には多いようだ。「どっちみち、3人に一人は癌になるというし、まぁ人生なるようにしかならないかぁ~~」などと安易に考えている大人たちが、原子力発電の再稼働を喜び、あるいは黙認し、あたかも何もないかのように振る舞い、与えられた既得権を享受し続けようとしている。

こんなに列島があちこちで揺れ続けているにもかかわらず、大型株主らは、今後どのような不始末をしでかすかわからないような信頼のできない私企業に危険な原発再稼働を委ね、国交省は首都機能移転を企画立案する首都移転課の廃止を決定したという。

「目に見えない大切なもの」は、愛や友情など、美しいものだけではない。

心して、目に見えないものに向き合う勇気を持たなければ、自分たちだけの問題ではなく、次世代に対して、取り返しのつかない不幸な課題を突きつけることになるのではないのか。


以下は小出裕章氏の「非公式まとめ」からの転載である。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

6月27日 「ストロンチウム内部被曝はホールボディカウンターではわからない」


内容要約
・(汚染水をいかにして浄化していくかという課題。本日も夕方始まったが1時間半で停止。感想を教えてください。)今日夕方からやったのはいわゆる循環冷却という試みをして、それがうまくいかなかった。その前にやっていたのが汚染水の浄化作業。これもトラブルを繰り返しながらここまできた。技術というのはトラブルを経験しながら一歩一歩行くしか無いもの。循環冷却もトラブルが続く。乗り越えながらなんとかやるしかない。うまくいって欲しい。
・(やり方を学んでうまくいくものなんですか?)わかりません。原子力発電所の事故は放射能を相手にします。普通の工場のトラブルであれば直して乗り越えていけばいいが、原子力発電所の事故の場合は放射能があり被曝は避けられない。トラブルがあれば被曝が重なる。そしてトラブルによって汚染が広がっていくので被曝がおおくなってしまう。
・(しかしこの方法しか今はないんですか?)循環冷却はずっとやって欲しいと言い続けていました。原子炉の炉心がまだ健全であれば絶対やらなければいけないし、やるべきだと思ってきた。しかし、5月の中頃に東京電力が既に炉心がメルトダウンをしてしまっていると主張を変えたわけですから、循環冷却には意味が無いかもしれないと思っている。
・(梅雨で水位が上がるが、溢れ出すという可能性がありますよね)なんとか避け無くてはいけないが、既にもう漏れてしまっているわけですから、汚染水を循環冷却をしようとしまいと循環冷却が成り立つか成り立たないか、そんなこととは全く無関係に汚染水を除去しなくてはいけない。これが進んでいないことが私には不思議です。
・(福島県民の被爆調査が始まった。調査のやりかた今のもので十分でしょうか)よくわかりません。いわゆる原爆被爆者の調査をずっとやってきたわけで、その経験を何とか活かしながらやろうとしているのだと思う。何月何日にどこにいたかということを聞き取り調査しながら、積み上げていくということ。考えて欲しいのですが、100日前のある時に自分がどこで何をしていたかを正確に思い出すことができるかというと、かなり不正確だろうと思う。かなりの誤差をもってしか評価できない事になっていると思う。内部被ばくを測定するということも、全く手段がないわけではないが100日も前の内部被ばくの量を評価するのはほとんどできないというか、相当な困難がある。
・(調べる放射性物質がヨウ素とセシウムだけでいいのですか)本当はよくありません。プルトニウムも敷地内で検出されたし、敷地外でも距離の近いところでは被曝はあったと私は思う。セシウムについで重要なのはストロンチウムだと思うが、これはホールボディーカウンターで測っても測定できない。(え? ストロンチウムはホールボディーカウンターではわからないのですか)わかりません。私たちのバイオアッセイという、おしっことかうんことかいわゆる排泄物を分析することでしかわかりません。仮にそれをやったところでもものすごい誤差がある。
・(ストロンチウムは大変人体に影響がある物質ですよね)そうです。(わからないんですか)はい。(影響が出てきて初めてわかる?)推測の手段はいろいろあります。土がセシウムでどれだけ汚れている。ストロンチウムでどれだけ汚れている。あるいは水がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ。食べ物がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ、ということを積み上げていけば、セシウムの汚染度とストロンチウムの汚染度がそれなりにわかる。人間の中に取り込んだ量がどれだけ。被曝がどれだけ。であると推定することはできる。しかし相当大きな誤差を含んでしまうことは覚悟しなくてはいけない。
・(調査結果だけで安心してくださいとは福島の人には言いにくいということですね)はい。言いにくいし、結果が出るのを見るのは何十年も調査を続けて、癌で死ぬ方の数を見るわけですから。大変な作業がこれから待っていると思わなくてはいけない。
・(原発で生み出される核燃料のゴミについて。使用済み核燃料が燃料プールで冷やす必要があるが、全国の原発で行き場のない使用済み核燃料がそれぞれの場所で保管され続けているという報道があったが、プールの7割はすでに使用済み核燃料いわゆる核のゴミで埋まってしまっているということですが、これどこへ持って行くんですか)これまでは原子力発電所の敷地には使用済み核燃料は残らないと国も電力会社も言ってきた。なぜなら再処理を必ずやるので、再処理工場に送りますと約束をしてきたから。従来はイギリスとフランスの再処理工場におくってしまって向こうで再処理をしてもらうということにしながらここまで来た。最近、イギリスやフランスに頼まず自分の国で再処理をしようと青森県の六ヶ所村に再処理工場をつくろうとした。だが、本来なら1997年から操業開始するはずだったが、難しい課題が次々に出てきて未だに実現していない。再処理工場には使用済燃料を受入れないと、原発の使用済燃料プールがどん詰まりになるというので3000トン分の使用済燃料プールを前倒しで作って、そこにすでに3000トン分だけ受け入れた。既に六ケ所の使用済燃料プールもいっぱいになっている。このまま行くともうすぐ各地の原子力発電所の使用済燃料プールがいっぱいになって、糞詰まりになって原子力発電所を止めなくてはいけなくなる、そういう状況に近づいてきた。
・(地上で保管しようという案。そんなことできるのか)それを私たちは中間貯蔵施設と呼んでいる。なぜ中間と呼んでいるか。その後再処理をするので再処理ができるようになるまでの中間的な置場。すでに東京電力は青森県のむつ市、下北半島の最北端。そこに5000トン分の使用済燃料の保管施設、中間貯蔵施設をつくろうとしている。既に建設が始まっている。(あぶなくないんですか)もちろん危ないです。5000トンなんていうのは、1つの原子力発電所が1年間で生みだす量に比べると160倍から170倍ある。とほうもない核のゴミを貯蔵するということになる。
・(地震で倒れたりして、地上にあるものがどうなるのか)可能性は0ではないわけで、だからどこの自治体でも受け入れたくないと言ってきた。しかし青森県のむつ市が受け入れるという決断をして建設している。









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2011年6月29日水曜日

原発の再開は株主総会の判断と地元の首長の方針だけで決めることですか?

各電力会社は昨日株式総会を開催し、脱原発提案を否定して、無事総会を終えたという。その後、電力株は軒並みに急騰、委任状を送りつけた大型株主にとっては、めでたしめでたしの結末ということだろうか。猛暑の中、わざわざ株式総会に足を運んだ多くの個人株主にとっては、全くの徒労であり、怒り心頭に発する結果に終わったようだ。

大型株主は電力会社から得られる既得権益を簡単に手放す訳もなく、株主総会の筋書きは最初から描かれており、個人株主はまさに無駄な抵抗、ごまめの歯ぎしりをしたということなのであろう。

こうした結果に勢いづいたように海江田経産相は今日、早速玄海原発再稼働のために現地を訪れ、玄海町の町長と佐賀県知事からおよその合意を取りつけたようである。政府は玄海の再開を弾みにして、一挙に全国の現在停止中の原発の再稼働に踏み切ろうという算段なのだろう。

100日以上たって収束の目処もたたない無様な対処しかできず、国民からの信頼が失墜した東電が原発継続の是非を大型株主の意向だけで、決めていいのだろうか。

冗談じゃないといいたい。事故の賠償を、会社と大型株主だけですべて負うというのであれば、まだしも、株主は責任を負わず、経営陣は高給に、高い企業年金、退職金ととれるものはなんでも分捕り、大きな負担と責任は、国民に押し付けておいて、何が原発継続の決議か。

地元の首長や県議会の決定で、原発の再稼働を決めるという旧態依然としたやり方も、原発事故の放射能被害が決して1つの県内にとどまらないことから考えれば、全くもっておかしいのではないか。

交付金をもらった自治体が、事故の被害を自分たちの市町村や県内だけにとどめることができ、何が起きても全責任をすべて自分たちだけで負うと確約するのであれば、こうした物事の進め方も理にかなっていると言えるかもしれない。

しかし、地元は交付金をもらえるだけもらい、さんざんいい思いをして危険な原発を容認し、事故が起きれば負担と責任だけを国民に押し付ける。そんな不公正なことが、いつまでも容認され続けていいのだろうか。

原発を継続するか、しないかは、消費税や電気代支払っている国民全体が投票で決めることであるし、そのためにテレビ中継による公開説明会、シンポジウムを何度も開催し、原発の専門家の中でも立場の違う専門家を入れて堂々と意見をたたかわせた上で、国民に最終的な判断を委ねる
べきではないか。


http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=ayZQ5BWhr3qU

電力株が軒並み急騰、東電の脱原発提案否決でコスト上昇懸念が後退

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6月29日(ブルームバーグ):東京電力中部電力など電力株が軒並み高く、東証1部の値上がり率上位に多数入っている。きのうの東電の株主総会で、「脱原子力発電所」の株主提案が否決されたことから、燃料コスト高に対する懸念が後退した。
東電は前日比6%高の335円、中部電は5.1%高の1549円、東北電力は5.7%高の1134円、九州電力は5.4%高の1395円までそれぞれ上昇。東証1部33業種で、電気・ガスは午前の上昇率トップ。
大和証券投資情報部の高橋和宏部長は、「株主総会で原発阻止の方向性にならなかったことから、イベント通過を受けて買い戻しが優勢になっている。仮に可決されていれば脱原発でコスト高につながってしまう懸念があった」と話していた。
東電は28日夜、同日に開催された株主総会で株主が提案した「脱原発」議案について、賛成8%、反対89%、棄権や無効3%だったと発表した。





http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110628/dst11062821010022-n1.htm


【株主総会】
東電株主「茶番も甚だしい」怒りと落胆…荒れに荒れ 

2011.6.28 20:58 (1/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
福島第1原子力発電所事故の収束の見通しが立たない中、28日に開かれた東京電力の株主総会。怒声が飛び交い、議事進行に不満を持つ株主がたびたび経営陣に詰め寄るなど、6時間を超えた総会は荒れに荒れた。安全性への不信感が募る原発。暴落したかつての“優良株”。詰め掛けた9千人以上の株主の顔には怒りと落胆の表情が浮かんでいた。
会場となった東京都内のホテルには、午前10時の開始を前に大勢の株主のほか、反原発を訴える市民団体も詰め掛け、入り口では荷物検査が行われるなど物々しい雰囲気に包まれた。周辺では数百人の警察官が警戒。会場は入場制限が行われたが、それでも会場に入ろうとする人が後を絶たなかった。
総会は勝俣恒久会長の謝罪で始まったが、午前中に質疑に立った株主は全て反原発の立場。「本来なら東電は倒産している。(役員は)全財産を売却して賠償に充てるべきだ」との厳しい意見も出た。
総会が紛糾したのは東電側の議事進行をめぐってだ。
2011.6.28 20:58 (2/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
東電側が提案した取締役選任を求める議案で、勝俣会長が挙手で採決を求めたところ、賛成数が瞬時には判断できなかったにも関わらず、勝俣会長が「賛成多数とみなす」と即断。会場の株主から「茶番も甚だしい」「何のための株主総会なのか」といった怒号が飛び、十数人の株主が経営陣に詰め寄った。
また、株主総会の議事録の配布と公開を求めた株主に対しても、勝俣会長は「会社法に基づき、配布・公開の必要はない」と拒否し、会場がざわめく場面もあった。



東電が総会で原発撤退の株主提案を否決、勝俣会長ら役員選任

2011年 06月 28日 16:32 JST
 
 6月28日、東京電力は定時株主総会で、株主から原発撤退の提案があったが反対多数で否決。勝俣会長など取締役17人を選任する会社提案が賛成多数で可決された。写真は都内の同社本社(2011年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 28日 ロイター] 東京電力(9501.T:株価ニュースレポート)は、28日午前10時から都内で定時株主総会を開いた。議長を務めた勝俣恒久会長は冒頭、福島第1原子力発電所で大事故が発生したことに対し「株主や立地地域、広く社会に多大な迷惑をかけ、心よりお詫びする」と陳謝した。
 株主から原発撤退の提案があったが反対多数で否決。勝俣会長など取締役17人を選任する会社提案が賛成多数で可決された。総会は約6時間で終了した。
 株主からは勝俣会長の議長不信任の動議が出されたが、否決された。会場では怒号が飛び交う中、株主からは経営責任についての質問が相次いだ。総会後も経営陣として留任する勝俣会長は「原子力の安全性に対する信頼性を損ない大変申し訳ないが、事態の収束に継続して取り組むことも必要」と弁明した。
 東電が過去に原発のトラブル隠しやデータ改ざんの不祥事を重ねたことに触れながら、「東電的体質を直さないと何度でも事故が起きる。事故の責任を取れない人たちに経営を任せていいのか」と問いただす株主もいたが、勝俣会長は「新しい人で、という考えもあるが、単に辞めるのではなく(会社を)更生させることで責任を取る」などとと釈明した。
 今後の賠償について勝俣会長は、異常に巨大な天災地変の場合、事業者の免責があるとする原子力損害賠償法第3条を指摘しながら、「免責されるとの解釈も十分可能だと考えるが、専門家の意見は分かれている。裁判が長期化すれば被害者が救済されず、当社の事業も立ち行かなくなる」などと説明。政府の支援を受けながら東電が損害賠償にあたる「原子力損害賠償支援機構法案」が国会に提案されており、同会長は「法案の早期をお願いしている」と述べた。
 総会後の退任が決まっている清水正孝社長は、今後の原発事業あり方について、「事故の調査結果、エネルギー政策全体の議論を踏まえていくべき問題と認識している」と語った。年金カットを求める質問もあったが、会社側は「全ての面で費用削減を目指しており年金は対象外ではないが、年金は法的な保護もある」(山崎雅男副社長)として、削減に踏み込むとの具体的な言及はなかった。
(ロイターニュース、浜田健太郎 編集:北松克朗)





2011年6月28日火曜日

他山の石:チェルノブイリ事故25周年

チェルノブイリ原発事故から25年、今も放射線への不安が続くという。各国はチェルノブイリや福島原発から多くを学んだというのに、日本はチェルノブイリを対岸の火事と見過ごし、他山の石としてこなかったばかりか、福島からも何も学ばず、途上国並みにいつまでも安上がりな原発に頼ろうとするのだろうか。


東海道新幹線のグリーン車で無料配布されている、アッパーミドルクラスの情報誌を標榜するJR東海の機関紙Wedgeの7月号には、「それでも 原発動かすしかない」という大見出しが躍る。

決して原発事件のつけが安上がりではないことを百も承知しながらーー。



チェルノブイリ事故から25年、今も続く放射線への不安

2011.04.27 Wed posted at: 09:48 JST

(CNN) 史上最悪となったチェルノブイリ原子力発電所の事故発生から25年目を迎えた26日、ウクライナの首都キエフで追悼式典が行われ、同国のヤヌコビッチ大統領、ロシアのメドベージェフ大統領らの一行が原発の跡地を訪れた。

式典は現地時間で事故発生時刻の同日午前1時23分に始まり、25回の鐘が鳴らされた。

福島第一原発の事故が収束せず、原発の安全性に対する不安が改めて世界に広がる中、ヤヌコビッチ大統領は「あれから25年が過ぎ、原発事故は住民にとてつもない結末をもたらした」「1国だけではこのような大惨事に対応できないことを世界が思い知った」と指摘。メドベージェフ大統領は、原発事故の再発を防ぐために新たな国際基準が必要だと訴えた。

原発から約50キロ離れたスラブティチの町でも慰霊碑前で追悼式典が営まれ、参列者が花束やろうそくを供えた。事故で犠牲になった作業員の多くはこの町に住んでいた。

現場周辺では、1986年4月26日の発生から25年たった今も、放射線への深刻な安全不安が消えていない。爆発が起きた4号炉を覆う石棺は老朽化が進んでひびやさびが生じ、建て替えが必要になっている。

国際原子力機関(IAEA)によると、当時事故処理に当たった作業員など28人が直後に死亡。強い放射線を浴びた20人以上がその後数年以内に死亡し、事故の影響によるがんで死亡した人は推計4000人に上るとみられる。放射性物質は当時のソ連や欧州にまで飛散した。

福島第一原発の事故を受けて、ドイツなど反原発の世論が高まっている国もある。しかしそれほど裕福でない国が大量に電力を必要とする場合、安上がりな原発に依存するほかないという現実もあるとの意見もある。

こんな国際協力って許されるのでしょうか?:あなたは汚れたものを弱者にあげますか?

私は今日も開いた口がふさがらない。政府が、26日ODA予算から、被災地でとれたサバやサンマなどの水産物の加工品(缶づめなど)を優先的に買い上げ、それを途上国に送ること、そして風評被害対策の一環として外国人研修員を被災地に受け入れるという方針を打ち出したからである。

たしかに途上国から義捐金を送ってもらわなければならないような状況にあるときに、見えをはって今年もODAに1兆何千万円もの国際援助を行うのはどう言うことなのかと前にブログにも書いた。

この方針は途上国を援助し、被災地の復興にもつながるから一挙両得と手放しで喜ぶ人もいるかもしれない。

しかしこの世の中には、やっていいことと悪いことというものがある。

震災のときに、汚れた下着や洋服をそのまま避難所に送りつけるような心ない人間がいるということが神戸のときにも、今回も問題になった。そのためか、今回は被災地に衣類を送る人々に対して、「新品か、それに準じるもの以外は送るな」というような指示がテレビ等を通して度々出されていた。

しかし、もし自分が避難者の立ち場で、着の身着のまま洗濯もできず、寒い避難所で震えているような状況であれば、きれいに洗濯さえしたものであれば、ぼろぼろに破れていたり、穴があいていたり、ジッパーが壊れたりしていない限り、古着であれ、なんであれ「送って下さる方々の行為を有難く思うし、自分の身体のサイズに合うものであれば、新品じゃないから嫌だとか、あれこれえり好みせず喜んで使わせて頂きたい」と思うのではと思う。

ちなみに私は、高校時代に来ていた古着を何十年たった今でも毎年引っ張り出してきて普通に愛用しているし、外に着て出て、お世辞とはいえ人に褒められることすらある。バブル期ならばいざ知らず、一般庶民は、皆苦しい家計をやりくりし、高い税金を払い、将来大きな不安を抱えながらなんとか生活しているような時代に、「被災地に、新品、またはそれに準じるものでなければ送ってはいけない」というのは、本当にどういうことなのかと個人的には思ってしまう。

もちろん、救援物資のために新しいものを買う人が増えて、繊維業界の景気を煽る一助にはなるかもしれないけれども。

もちろん被災地の人々の自尊心を守ってあげなければという気持ちはわかるし、「洗濯をするのが億劫だから」と不潔な衣類を被災地に送りつけるなんてことは、もってのほかである。ただ、多少垢やシミのついたしわだらけの衣類が送られたとしても、それを身につけることで避難者の健康が著しく損なわれるような危険性はまずないし、それで暖をとれるならば、ないよりあった方がいい。

しかし、被災地の水産加工食品は、人々の健康が著しく損なわれないという保証はどこにもない。
被災地の食品を摂取することの危険性については、武田邦彦氏がそのブログで度々訴えている。
京大の小出助教は、6月11日付で、「海の汚染を調べれば被災地の漁師の生活を壊す。私は躊躇する」とさえ言う。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/06/22/tanemaki-jun2/

政府は、海の汚染に関して、3.11から100日以上もたった今なお、風評を払拭させるような説得性のあるデータ収集・開示の努力はなんら行ってはいない。

いつ、どこで、誰が何をどんなふうに採取して、どんな状態のものを、どういうやり方で、どこのどんな装置をもって測定したのかもわからないようなごくわずかなデータのみを提示し、「基準値以下だ、安全だ」と繰り返すばかりである。

グリーンピースなど海洋調査のノウハウをもっている複数の国際的な調査機関と連携をとりつつ、被災地から数メートル間隔に広範囲に生えている海草を細かく採取し、世界に通用するような方法で、徹底的に汚染濃度の推移を測定し、世界の専門家の目から見ても、素人の目から見ても、誰が見ても安全であることを明示してこそ、初めて何が風評であり、何が風評でないか、何がどれほど安全なのかがおのずから明確になる。

現状では、当事者である東北地方の養殖業者や漁業関係者さえも、水産養殖業復興後、果たして本当にその地方でとれた水産物を全国の消費者がこれまでどおり買い続けてくれるのか疑問を呈しているぐらいである。

そのような状況下、東北の水産業者の復興を支えるがために、日本人が放射能汚染を恐れるような被災地の水産品を加工して、途上国に与え、国際協力を行うというである。

被災地の人々の自尊心は尊重するけれども、外国に暮らす弱者に対しては「何を与えても、すぐに死ななきゃそれでいい」ーーそれを国際協力などと言うことができるのだろうか。

もうひとつ、福島原発の作業員の被曝量が日々増加していくことで、危険な場所で作業する作業員不足の危機が近い将来、いつか訪れることは目に見えている。今回の国際協力の方針案は、その人員不足を、外国人研修員の受け入れで補おうとでもいうのであろうか。

一昔前、アメリカで知り合った女性の夫は、読み書きのできない黒人男性だった。しばらく定職がないため家でふらふらしていたが、仕事を始めたという。「どこで働いているの?」と誰かが聞くと、「原発に雇われたの」と答えた。

周りの人たちが彼女に聞いた。「えっ、ご主人、本当にあんなところで働いて大丈夫なの? 危なくない?」私の知人は「大丈夫じゃないかもしれないけど、給料がいいから。彼をそんな給料で雇ってくれるような場所は他にないからさ」と平然と答え、淋しげにほほ笑んだ。私はそのときの彼女のさびしげな様子がなぜか今も忘れられない。

「私の国では、そんな弱者の安全や命を札束で買うような阿漕なことはやっていない。やっていたとしてもそれは犯罪者と呼ばれる特異な人々だけである」とそのときは、自分の国を少し誇らしく思ったものだ。同じようなことが、自分の国の中でも長く行われてきたことを私は不覚にも何も知らなかった。

しかしこれからは、それがもっと国際的な規模で、国際協力という美名のもとに露骨におこなわれようとするのだ。ほんの一握りの人たちの莫大な既得権益を守らんがためにーー。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011062702000024.html

ODAで復興支援

2011年6月27日 朝刊
政府開発援助(ODA)配分など二〇一一年度の国際協力重点方針案が二十六日、判明した。東日本大震災被災地の水産加工食品などを購入して途上国に提供するなど、国際社会にも「開かれた復興に資するためのODA活用を最優先課題とする」と明記。被災地に外国人研修員を積極的に受け入れることで風評被害防止にも取り組むとした。
政府は二十七日に決定する。震災復興に巨額の経費がかかることからODAを削減すべきだとの意見が出ていることを意識し、復興への貢献を前面に打ち出した形。一部は一一年度第三次補正予算案に盛り込む考えだ。津波被害にあった宮城県の気仙沼、女川や青森県八戸など各漁港はサバやサンマの缶詰など水産加工品の産地で知られる。
方針案は、こうした加工品をODA予算で優先的に買い上げ、食料支援に充てることを想定。放射性物質の安全検査も実施し、輸入規制のかかっている国にも提供を働き掛ける。
円借款を含む全体の供与目標額は一兆三千七百七十五億円、地域別ではアジアが最多の八千六百五十億円と設定した。